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「あ、あのね・・・」


 小さく、小さく話すみゆの言葉を聞き逃さないように洸はみゆのおでこに自分のおでこをくっつけて、続く言葉を待つ。

 お願いだから。と、洸の心臓は壊れてしまいそうなくらい早く脈打って。

 けれど、洋服越しに伝わるみゆの心臓も同じくらい早いもので。


「コウのこと、好き・・・なのかな?」


「ぶはっ!そこ、疑問形なんだ」


 思わず、間髪入れずにツッコんでしまう洸だったが、その表情は確実にすっきりとしたいい笑顔。


「えっ!ご、ごめんね、でも・・・えっと」


 慌てふためくみゆを見て、微笑む。

 そんな、天然なとぼけっぷりが、みゆらしくて。

 優しく、そのふわふわの髪を撫でる。


「いいよ、ありがと、みゆ。今はこれで充分。

 でも、必ず恋人になるから、覚悟しといて!」


 そう言って優しく目を細めて笑う洸を見て、みゆもホッとしたようにふんわりと笑う。


 だが、洸はこの時点で少し余裕がなくなってきていた。


「ごめん、みゆ。オレ退くからベッドから降りてもらっていい?

 マジで、このままだとみゆのこと喰いたくなっちゃいそう」


 冗談めかした本音を告げる。


「うっ、うん・・・」

「あれ?もしかして・・・期待してた?」


 カーッという音が聞こえそうなくらいの勢いで顔を赤くしたみゆが、ぶんぶん手を振る。


「やっ、そんなんじゃないんだけど!」


 必死な姿、可愛すぎる。萌える。


 だから、正直に言う。


「ホントはめちゃくちゃしたいよ。・・・襲っといてなんだけど、今準備もしてないし、絶対にできない。風邪も移しちゃうかもしれないしね。

 みゆのこと、真剣だから責任ちゃんと取れるようになるまで、そこはきちんとしたいから」


 茹でタコのようなみゆを見つめて、続ける。


「大切にしたいんだ、みゆのこと」


 そう言って、ベッドから降りて立ち尽くしたままだったみゆをぎゅうっと抱きしめる。


「コウ・・・」


「って、ホントちょっと前まで襲ってたオレが言うセリフじゃないけどね。

 まだ、高校生のガキだけどみゆのこと想う気持ちは、本物だから。それだけは信じてほしい」


 そう言って、みゆの顔を覗き込む。


「ふっ、真っ赤だよ、みゆ。かわいい」


 顎を掴み、上を向かせてそっと唇を味わう。


「オレ、めちゃめちゃみゆに溺れてるんだけど。同じように、みゆにもオレに溺れてほしい。

 オレの、オレだけのみゆになってほしい」


 畳み掛けるように、甘い言葉を、告白をする。

 そんな洸の腕の中で赤くなって照れまくっているみゆ。

 もう何度目かわからない口付けを落とす。

 何度も。

  

 今日は、我慢する。


 でも・・・みゆの全部、オレに頂戴。


 その言葉だけは、まだ言わないでおいた。





*******


 そして。


 見事に風邪がぶり返した洸は、その後も高熱が続いてしまい、学校に行けるようになるころにはすっかりダンパの余韻などもなくなっていた。


 さらに言っていた通りに、みゆにも見事に風邪が移ってしまい2日間寝込んでしまったのだった。


 みゆ、ごめん・・・。

 と思いつつも、顔は終始ニヤついている洸。


 その体調の報告も、ようやくみゆと直接連絡を取り合うようになり、毎日がバラ色のようだ。

 ・・・付き合っているのか、まだ付き合えていないのか微妙なところだが、そこはプラス思考に戻った洸。

 

 大丈夫!オレはみゆが好きだし!

 みゆも(多分)オレが好きだし!


 そんな浮かれた王子様は、学校に出てきてすぐに自称兄と自称弟に報告をしていた。

 二人から、よかったな、と満開の笑顔で言われ、王子様らしく性別問わず魅了する笑顔を大盤振る舞いしたのだった。

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