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「コウが優しいから周りの人たちも優しいんだろうね。

 なんか、羨ましいな」


 笑顔のままそう言うみゆを見て、洸も優しい表情カオになる。


「みゆだって優しいよ。オレのためにこうして来てくれた」

「全然優しくなんてないよっ。私のせいでコウを傷つけちゃったし」

「えオレなんかのことは気にしなくていいんだよ。それに、こうして来てくれただけで充分!ホント、ありがと」


 洸がみゆを見つめてそう言うと、みゆは真っ赤になって俯いてしまった。

 

 あぁ、マジでかわいい。どうしよう。


 ・・・どうにもならないけれどそんなことを考えながら。

 段々自分を制御できなくなりそうで焦りだす。

 

 熱!高熱出てるんだから我慢しろ、オレ!

 ここでこんなに可愛いみゆを襲わないようにすることが今日のオレの最重大任務だ!!


 そんなアホのようなことばかりを考えている見た目王子。


 それを、そんな洸を試すかのように今日のみゆは揺さぶりをかけてくる。(無自覚で)


「あのね、私、コウにたくさん迷惑かけちゃったからお詫びしたいの」

「そんなのいいんだって。今、こうしてここにいてくれるだけで・・・」

「だ、だからね!・・・して、いいよ?」


 えっ?


 あまりにも声が小さくて聞き取れなかった。

 だが、さらに頬を赤く染めていくみゆを見て、明らかに気が動転していく。

 あまりにも自分に都合のいい想像ばかりが膨らんで。


「みっ、みゆ?声が小さくて聞こえなかったんだけど・・・」


「えっ!もう一回言わないとダメ?!」


 ダメです!


 そんな洸の心の声が聞こえたのか、小さな声で「恥ずかしいのに」と言いながら上目遣いに洸を見て。


 ・・・襲ってもいいですか。この、可愛い人を。


 熱とか眩暈も感じなくなってきていた。

 この続きを、聞きたくないような・・・いや、絶対に聞きたくて。


「だから、ね。・・・私に、風邪、移してくれていいよ」

 

 赤く潤んだ瞳に、理性の糸はあっけなく切れた。


「んっ」


 気づいた時にはもう、洸はみゆの腕を掴んで自分のほうへ華奢な身体を引き寄せ、久し振りにその甘く柔らかい唇に自分の唇を重ねる。


 みゆをベッドに座らせ、洸はみゆの細い腰に腕を回して逃げられないように覆いかぶさり、何度も、何度も角度を変えて口付ける。

 それを受け入れて瞳を閉じているみゆ。


 みゆ。みゆ。


 もう、何も考えられなかった。

 息が苦しくなったのか酸素を求めるかのように開いたその小さな口に、舌を入れてさらにみゆを味わう。

 ピクン、と身体を震わせて洸の洋服にしがみつくそのみゆの姿に、さらにノックアウトされる。


 静かに、そっとその身体を押し倒し、口付けは段々激しくなる。

 

 もっと、もっとみゆを味わいたい。


「っはぁ、・・・こうっ」


 キスの合間に紡みがれる甘い声に、洸の全身が痺れる。

 遠慮がちに洸の舌に応えてくれるみゆのことが、堪らなく恋しくて。


 愛しくて。


「みゆ・・・好きだ。好きなんだ。お前が愛しくて、おかしくなりそうだ」


 抱きしめて、キスをしながら囁く。


「コウ・・・」


 赤く潤んだ瞳に涙が溢れそうになっているのを見て、ようやくはっとした。


「みゆ・・・ごめん、なんか、つい夢中になっちゃって。怖かった?」


 そっと涙を指で拭いながらみゆを見つめて聞くと、ぶんぶん、と首を横に振るみゆのその姿にホッとする。


「ごめっ・・・、なんか、こんなにコウに想ってもらえてるんだって思ったら、なんか嬉しくて」


「!!あー、もうっ!!」


 洸は思わず叫び、ぎゅっとみゆを抱きしめる。


「どこまでオレを堕とす気?!」

「お、堕とすって、そんなつもりじゃ・・・」

「そんな表情カオも、みゆの声も。仕草も。全てが堪らないんだけど。

 ねぇ、みゆ?オレ、少しは自惚れてもいいの?

 オレの事、どう思ってくれてるの?」


 押し倒したままの体勢で、甘い声で、唇をみゆの耳につけて囁く。


 オレに、恋して?

 オレを、求めて?

 もう、お前しか求めてないから。

 

 オレに、溺れて?



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