メーデー
「はぁ…」
外を見ながら、ため息をついているのは、高校2年生の宮司宮司だ。
「どうしたんだ、ため息ついて」
そこへすかさず来るのは、宮司の友人の井野嶽幌だ。
「なんだ幌か」
「どうしたんだ、よかったら相談乗るぞ」
笑いながら幌が宮司のすぐ前の空いている席に座る。
「ああ、今日って5月1日だろ」
「そうだな、なんかあったっけな」
「五月祭りっていうのが、神社であってな、それに呼ばれたんだ。でも、ここから行って帰ってくるだけで1日仕事だからな…」
「なる。五月祭りで思い出したけど、今日はメーデーだったな」
「メーデー?緊急を知らせるあれか?」
「違うって、労働者の日のことさ」
「ああ、あれか」
考えるのもだるそうな宮司を見て、幌が言った。
「ま、此処で言うのも何だな」
「いや、教えてくれよ。暇だしさ」
やってきたのは、永嶋山門だ。
「山門はさ、メーデーを英語で書いた時どうなるか知ってるか」
「さあ」
「May-Dayなんだ。つまり5月の日っていうことだな。昔は五月祭のようなお祭りと一緒に行われていたものが、1880年代から90年代にかけて、8時間労働を奪取すべくストライキを始めたのがメーデーの嚆矢とされてるな。まあ、始まりとなったアメリカとか一部の国では、9月とか10月をメーデーとしてたりするし、名前だってレイバーデイ(Labour Day)って感じだったりするけどな」
「そうなんだ」
山門は一言だけ言った。
「自分らはまだ労働者とかじゃないからな、そういわれたって分かんねえや」
「まあな」
そう言って、3人は空を見上げた。