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腕の中におとなしく収まるナルの顎を持ち上げ、初めてのキスをした。唇が僅かに触れ合う軽いキス。
「気持ち悪いとか、ない?」
「・・・あるわけねーだろ!」
その言葉にホッとし、再び口づけると、舌で歯列をなぞった。
「んっ」
激しく口腔内を貪ると、ナルの口から切ない声が漏れる。
「ちょ・・・恥ずかしい・・・」
自分らしくない声に照れて顔を隠そうとするナルを覗き込み、軽く口づけてから顔を離す。
「元カノを引きずってたんじゃねーの?」
視線が合うと、ナルが不安そうに尋ねる。
「この一ヶ月、ナルの事しか考えてなかったって。悔しいけど」
それを聞くと、ナルが背に手を回してきた。わかってくれたんだろう。
「―――ベッド、行こう?」
「・・・ああ」
ナルをベッドへと促し、上から覆いかぶさった。心臓の音が煩い。近づいたら聞こえてしまうのではないか、ふと、そんな気がした。