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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■隊長達の絆編■
89/139

Episode00   始まりの約束

 酷い顔だと、男は足に縋り付く少女を見下ろした。

 高価なドレスを泥だらけにして、1時間もかけて結った美しい金糸の髪もボサボサにして、彼女は行かないでと繰り返しながら泣き叫んでいる。

 どうしてこうなったのかと、男は少女を見下ろした。

 縋り付く腕は細くひ弱で、男が本気になれば意図も容易く突き放すことができる。

 1時間前まで、男は少女を守る護衛の騎士だった。

 しかしその契約は期限付きの物であり、もはや少女と男には何の関わり合いもない。

 ならば振り払うことなど造作もないと考えて、男は少女に腕を伸ばした。

 少女の腕を引きはがそうと、密着する体を遠ざけようと思っていた。

 思っていたはずなのに、伸ばされた腕は少女の乱れた髪を撫でていた。

 行くなと、少女がもう何度目かになる言葉を繰り返した。

「わかった」

 なぜそう答えたのか、男にもわからない。

 だが短いその一言で、少女の涙が途端に消えた。

「ここにいる」

 少女の目線に合わせて男が膝を折れば、少女が男の首に思い切り抱きつく。

「ずっとよ」

 それが永遠と同じ意味を持っている事に男が気付いたのは、もう少し後のことだった。

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