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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■隊長達の受難編■
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Episode06-1 お節介な騎士達

 客間のある廊下を駆けていたアルベール。そんな彼を、唐突に引き留めた声があった。

「すいません、少しお話が!」

 振り返るとそこにたのはキアラ。どこか思い詰めた表情の彼女にアルベールが歩みを止めると、彼女はそばの階段を指さした。


 聖騎士の守護天使であるラファエルの像を望む屋上。キアラがアルベールを連れてきたのはそこだった。

 アルベールとともに外へと出たキアラは、素早く周囲を確認する。

 敵影はなく、殺気も感じない。あたりまえだが、アルベールがいる建前、確認せねばという義務感があるのだろう。

「ここは安全です」

「ヴィンが言っていた通りだな」

 そう言いきる彼女に、アルベールは苦笑する。

「ガリレオの騎士は優秀だって」

 その言葉に、キアラの胸は高鳴った。好きだといわれるのはもちろんうれしい。だがそれと同じくらい、彼に認められているのはキアラにとって喜ばしいことだった。

 そしてそんな彼女の気持ちに気づいたアルベールは少し哀しそうに笑う。

「君たちは良いな。素のままの自分をみとめあっている」

「わ、私とヴィンセント様はそう言う関係では…」

「でも好きでしょ?」

 アルベールのまっすぐな言葉に、キアラは思わずうなずいてしまう。

「どこがすき?」

 ヴィンにはいわないからと念を押され、キアラは観念した。

「まっすぐなところです。騎士としても人としても彼は常にまっすぐに生きている。だからこそ間違える時もあるけど、そう言うとき、側で正してあげられたらって、そう思うんです」

 キアラの答えに、アルベールは心の底からうれしそうに笑う。

「ヴィンのこと、ちゃんと見てるんだね」

「一緒に剣を振ったからわかるってだけです。言葉よりも剣は多くのことを教えてくれるから」

 そういってから、キアラは躊躇いがちな視線をでアルベールを見つめる。

「だから、アルベール様も隊長と向き合って欲しくて…」

 たぶん、恋の仲裁などしたことはないのだろう。だがそれでも、アルベールを引き留め彼女は伝えたかったのだ。

「向き合えば隊長の良いところ分かって貰えると思うんです」

「レナスさんは本当に慕われているんだね」

 アルベールの言葉に、キアラが大きく頷いた。偽りのないその視線と、ようやく浮かべた彼女の笑顔に、ヴィンセントが惹かれたもう一つの理由が分かった気がした。

「安心して、僕も彼女もそのつもりみたいだから」

 そう言うと、アルベールはゆっくり背後を振り返る。

 振り返った先、そこに立っていたのはレナスだった。

「まったく、どいつもこいつもお節介ばっかりだ」

 その目に涙がないことを確かめてから、キアラはほっと息をつき、彼女に駆け寄った。

「私は、周囲の警備に戻ります」

「うん、たのんだ」

 入れ違いにバルコニーに出るレナス。その手には自分の剣とヒューズの剣が握られていた。

 それ彼女はまっすぐにアルベールを見て、大きく息を吸う。

「あの子じゃないけど、私もこんなやり方しかわかんないの」

 自分の剣をアルベールに投げれば、彼はそれを片腕でキャッチする。

「僕も、確かめたいって思ってたんだ」

 そう言って、アルベールは剣を抜いた。

 視線の先には、すでに剣を構えたレナスがいた。


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