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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■隊長達の受難編■
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Episode03-4 不器用な告白

「作戦は成功しているようですね」

 一等客室内の様子をうかがっていたキアラの言葉に、ヴィンセントは何ともいえない顔をしていた。

「強引、過ぎないだろうか」

「安心してください。貴族のお嬢さんは大体ああいう感じです」

「いや、まあ、さすがにあそこまで変身すればガリレオの隊長が二人も護衛についているとは思わない」

 思わないが、隊長2名をこんな使い方をしてもいいのだろうかとヴィンセントは悩む。

「レナス嬢はまだしも、ヒューズ隊長をあんな」

「ヴィンセント様は、ヒューズ隊長をご存じなんですか?」

「ガリレオの獅子隊長とまで謳われた方だぞ。何度か手合わせをしたが、あの人に勝てた試しがない」

「確かに武術と剣術はすさまじいけど、そこまでとは…」

 そう思ってしまうのは、常日頃からレナスに虐げられ、蔑まれ、こき使われているヒューズの姿ばかりを見ているからだろう。言われてみれば隊長としての仕事を間近で見るのはこれがはじめてだ。

「たしかに、ああやって小綺麗にしていると、少しマシには見えますけど」

 思わずこぼれたつぶやきにヴィンセントが信じられないという顔をする。

「ガリレオ騎士団は、本当に変わっているな」

 騎士としての覚悟も仕事も一流。だが何か決定的に間違っている部分もある。

 だが逆にそのかけている部分がガリレオの良さでもあるのかもしれないと思い直し、ヴィセントはそれ以上の追求をやめた。

「では、我々は他の車両の見回りに行くか」

 ヴィンセントの言葉に頷き、キアラは先に歩き出す。

「そう言うところ、君らしいな」

 食堂車を横切りながらつぶやかれた一言に、キアラはちらりとヴィンセントを振り返る。

「普通の女性は、男性の後ろに付き従いたがるが」

「それでは、何かあったとき、私が盾になれません」

「いいかげん、王子様扱いはやめてほしいんだが」

「…でもその」

 唐突に口ごもるキアラに、ヴィンセントとは軽く小首をかしげる

「もし背後からの敵がきたら、私の背中を守っていただきますから」

「君にしては上出来な告白だな」

「告白じゃありません!」

 ムキになるキアラ。それを笑いながら、ヴィンセントは彼女をさっと追い越す。

「でも、前は俺だ」

「ですが!」

「俺の背中を守るのは嫌か?」

 ヴィンセントの言葉に、キアラは小さく首を横に振った。


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