Episode02-2 護衛任務は破局の予感に満ちて
「どういう事ですか!なんでよりにもよってウチの隊なんですか!」
レナスの怒鳴り声がガリレオ騎士団の団長室から響いたのは、彼女とアルベールのデートがお釈迦になった翌日のことであった。
変わりの休暇を貰おうと騎士団を訪れたレナスに、突然舞い降りたのは騎士団長からの呼び出し。
お世辞にも綺麗とは言えない第4小隊の隊室よりも、若干片付いている団長室に入るなり、騎士団長ヴィートはレナス以下第四小隊に任務を与えた。そしてそれがレナスの怒りの原因である。
ヴィートから与えられた任務。それは、王子の護衛であった。
だがその王子が問題だった。何せ護衛の対象は、レナスが身分を隠して交際している第4王子アルベールなのである。
「第5小隊との合同だっていってんだろ」
「2小隊も必要な案件だとは思いません」
「俺はまだ事件の詳細を伝えてねぇが?」
遠回しに落ち着けと言いたいのだろうが、今日のレナスは完全に頭が血が上っていて気がつかない。
「それに、アルベールは騎士でしょう。それもガラハドの。それをウチの騎士団で護衛ってどういう事ですか?」
「お、名前呼びかよ。青春だねぇ」
「殺しますよ?」
笑顔で言い切るレナスに、ヴィートが豪快に笑う。
「ウチの騎士団って、ホント統率ねぇよなぁ。騎士団長に向かって剣を向けるとかありえねぇ」
「笑い事じゃなくマジでやりますよ」
「まあ、俺が死んだところで担当は変わらんから」
渋々剣をおろしたレナスに「じゃ、そう言うことで」と笑うヴィート。
これ以上彼に何を言っても無駄だと悟ったレナスは、奥歯をかみしめ団長室をあとにした。