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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■隊長達の受難編■
21/139

Episode01-2 二人の隊長

 500段もある階段を上り下りした結果、今にもつりそうな足を引きずって、ガリレオ騎士団第5小隊隊長カイル=ヒューズがドゥオモから出たとき、不機嫌なオーラ丸出しのレナスはそこにいた。

「遅すぎ」

「俺の年も考えろ」

 レナスより年上のヒューズは今年で35。

 その年でクーポラまでを3分半で駆け上った功績を褒めてほしかったが、肝心の目的を達成できていなかったのは確かなので、彼はそれ以上の言葉を重ねられない。

「お前はホント使えないな」

「俺とお前で、いくつ歳が違うと思ってんだよ」

「体がなまってんのよ。日頃さぼってばっかなのが悪い」

「だって、有能な部下達が隊長はデスクワークだけしてればいいですからって言うし」

「それ、遠回しに使えないおっさんは書類に判子だけ押してろって意味だから」

「まあ、否定はできんがな」

 あっけらかんと笑いながら、ヒューズはぱんぱんに張った太ももをのんきに叩いている。

 その情けない姿に、レナスはため息をついた。

「昔は、もう少しかっこよかったのにな」

 思わずこぼしたレナスの言葉に、「何か言ったか?」と小首をかしげるヒューズ。

 何でもないと答えてから、レナスはまじまじと側に立つ男を見た。

「本当なら、今頃アルベールと優雅なランチだったのに。どうしてこんなオヤジと……」

「なんだ、飯まだなのか」

 なら一緒に、と続けようとしたヒューズの言葉をレナスが裂いた。

「今日は奢りなさいよ」

「ちょっと待て、何で俺が!」

「間に合わなかったでしょ、その罰」

「そもそも、さっきのはお前の隊の担当だろ。それを無理矢理…」

「でも、間に合わなかった事実に変わりはない!」

 変わりはない。変わりはないが釈然としない物がある。だがヒューズが抗議する間を与えるレナスではない。

「アルノ川沿いの、この前行ったリストランテにしよう。そうしよう」

「あそこ高いだろ!」

「本当なら、もっと高いところで食べるはずだったんだから」

「いや、でも俺とじゃねぇし」

「もっと高いところで食べるはずだった!」

 有無を言わせぬ言い方に、ヒューズは背の高い体を丸め、女々しく財布の中身を確認している。

「給料日前で、持ち合わせがだなぁ」

「カードつかえるから!」

「暴君め」

 本人は聞こえないようにつぶやいたのだが、ヒューズの右頬にはレナスの右フックが華麗に決められていた。

「ワイン、飲みまくってやる」

 嫌がるヒューズを無理矢理引きずりながら、レナスは大股で歩き出す。

「何で俺は、夜勤明けまでこの女にこき使われているんだろう」

 今度こそ聞こえないようにつぶやいて、ヒューズは年下の同僚との出会いを後悔と共に思い返した。

 

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