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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■騎士の初恋編■
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Episode05-1 作戦決行

 乗り込むのは夜中。そう思っていたヴィンセントの考えとは裏腹に、レナスから突入の指示が出たのは七時過ぎ。丁度夕飯時である。

 隊士が得た情報に寄れば、この時間帯は護衛の兵士達が交代で近くのバールまで食事に行くため、敵の数がかなり減るのだ。その上周りには他の貴族の屋敷も多いので、下手に騒げば人の目についてしまう。キアラ達の方には捜査という大義名分があるが、相手には本来武器を持つ理由がない。むしろ反撃すれば自分たちに非があると認めているようなものだ。

「さて、乗り込むわよ!」

 正面から堂々と、捜査令状を突きつけて乗り込んだレナス達に、案の定敵は出足をくじかれた。

「施設があるとしたら地下だ。不死者は日の光に弱いからな」

「では、下に降りる階段を探すぞ! かかれ!」

 ヴィンセントとレナスの言葉に、隊士達は屋敷の中に散っていく。当主が不在なのも幸いし、今のところ戦闘になっている気配はない。

「このまま、何事もないまま見つかればいいけど」

 ヴィンセントと共に捜索にあたるのはキアラ。

 しかし彼女の願いもむなしく、いつの間にか貴族とは思えない風貌の男達が、彼らの前に立ちはだかるようにして現れた。外から援軍が来れば見張りの隊士が知らせる。ということはやはり、どこかに抜け道があるのだ。そしてその先が研究施設に違いない。

「副隊長は、ヴィンセント様と共に捜索を、男達は私達が食い止めます」

 後ろに続いていた隊士の言葉に、キアラは素直にうなずく。そのためらいのなさに、彼女たちが強い信頼関係で結ばれているのをヴィンセントは悟った。

「隠し通路を造るなら、装置を隠しやすい書斎あたりでしょうか」

「ありがちだが、怪しいな」

「書斎は一階の奥でしたね」

 出かけにたたき込んだ屋敷の見取り図をなぞりながら、キアラが駆ける。そしてそれに続くのはヴィンセントだ。

「さすがだな」

「褒めても何も出ないですよ」

「本当にかわいくないな」

「知ってます」

「まあ、そこが好みなんだが」

 段差もないのに足がもつれ、キアラは転倒しかける。

「大丈夫か?」

「やめてください」

「ん?」

「好みとかそう言うこと、息を吐くみたいにいわないでください!」

「そうあわてるな。あ、前に……」

 ヴィンセントが言うまでもなく、キアラとヴィンセントの距離が開いた。

 いつの間にか、進行方向には武装した男が3人。

 だがヴィンセントが剣を抜くまもなく、3人の後頭部にキアラの蹴りが見事決まった。

「今度言ったら、あなたがこうなりますから」

 振り返りざまに言い放たれたその言葉に、ヴィンセントが笑う。

「了解した。だが、もう少し俺の出番も残しておいてくれよ」

「善処します」

 乱れた襟元をただし、キアラは生真面目に返した。


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