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右手に剣を左手に恋を  作者: 28号
■隊長達の絆編■
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Episode05-3 冷めた態度は不機嫌な証拠

 怒られることは予想していた。殴られることも覚悟していた。

 だがそれでもヒューズが意を決してレナスを捕まえれば、彼が思っている以上にレナスは不機嫌だった。

「きいてるわよ。試合までの1週間、私が第5小隊の指揮もするんでしょ?」

「すまん」

「…とかいって、内心は嬉しいんじゃないの?」

 そんなわけないと抗議したが、今日のレナスはいつもより確実意固地になっている。

「まあお好きにどうぞ。女の子たちに囲まれてキャーキャー言われてればいいのよ」

 感情にまかせて怒っているときはまだいい。だがこうして妙に突き放した言い方をしているときは、要注意のサインだった。

「埋め合わせはする。大会が終わったら、いくらでも奢る」

「大会が終わったら私なんかと飲みに言ってる暇ないわよきっと。彼女でも出来て、その子と二人でよろしくやってるわよ」

「そんな気はないっての」

「そんな気なくてもその気になるわよ! 今だってほら!」

 そう言って指さす先にあるのはヒューズの部下の姿。その腕には、ピンク色の封筒がぎっしり詰まった箱が抱えられている。

 にこやかな顔でこちらにかけてくる部下に嫌な予感を覚えれば、ヒューズの予感は的中した。

「凄いですよ隊長! 隊長宛のファンレターがこんなに!」

「ここにか?」

「ええ。あと5箱くらいあるんで、みんなで今運んでます」

 その言葉にレナスの機嫌が更に悪くなったことは明白だった。だがわかったところで今のヒューズにはどうすることも出来ない。

「…私、もう行くから」

 これ以上何か言ったら殺すと語る背中に、ヒューズは腕さえも伸ばせない。

「すごいですよ! 今年のミスフロレンティアからも来てます」

 それの何処が凄いのかと思わずこぼせば、部下はとことんやる気のない隊長に説教をするモードだ。

 これ以上凹ませないでくれと思う一方、部下たちはこれを好機と捕らえたようで、ここぞとばかりに日頃のヒューズを叱咤する。

 仕事ばかりしてないで、少しは女の子のことも考えてください!

 独身主義を改める良い機会です!

 ぶつけられる言葉に、言われなくてもとっくに考えてると思ったが、勿論言えるわけもない。

 結局その日は部下の説教と、ヴィートが無理矢理セッティングした取材と練習試合だけで日は暮れてしまい、レナスの機嫌を取る機会訪れなかった。

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