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ガチャ094回目:牧草エリア

 カリンちゃん経由で『フォレストボスウルフ』の肉を使って煮込み料理を作ってもらい、先日のマーダーラビットの残りと合わせて肉パーティーを堪能した。

 ボスウルフもそうだが、通常のウルフの肉も筋が多くて焼くだけじゃ食えたものじゃなさそうだったが、煮込んでしまえは中々美味い食材だった。フォボスの群れとは無関係なフォレストウルフはまだまだいそうだし、定期的に作ってもらうのもアリかもしれないな。


「お兄さんお兄さん、今日は何を狩りに行くのー?」


 朝食を終え、自室で準備をしているとカリンちゃんがやってきた。

 2日連続で肉パーティーに参加したためか、彼女は次の獲物に興味津々のようだった。


「今日はラムの予定だよ」

「ラム肉も美味しいよね! この宿で提供してるお肉も、大半はラム肉なんだよー」

「そうみたいだね。とりあえずどんな相手なのか、行って確かめてみるよ」

「頑張ってねお兄さん! イリスちゃんも!」

『プルーン!』


 そうして宿を出た俺は、西門から外へ出て北へと向かった。

 この街周辺の未確認ダンジョン数は残り2つ。フォレストラムとオークの2種だ。どちらも北門から出られれば早くに到着できるんだが、あっちは貴族専用だとかで一般人は通行できないんだよなぁ。そこが不便ではあるのだが、逆に一般人が通る門や道に貴族が通行されても迷惑なだけなので、棲み分けは大事だよな。うん。

 そんな俺達が目指すは、北西方面にあるとされる広大な牧草地帯。ラムはこの街の食糧事情に大きく貢献している事から、おっさんはダンジョンはそのままを望んでいたけど……。


「正直、ダンジョンが出現する前から安定はしてたみたいだし、トラブルを呼びそうな存在は別になくても良いんじゃないかとは思うんだよな」

『プルル』


 それに、今までの傾向からしてもダンジョンが機能停止したとしても出現自体が止まる訳じゃないみたいだし。あとは野生化した連中も多産な上に急成長するらしいしな。

 なら尚の事、無くても良いというか、これ以上増えられたら処理が追いつかなくなるんじゃないか?? まあでも、冒険者ギルドも独立してる訳では無くて街の行政の一環なところはあるし、おっさんのお願いも貴族からの圧力と考えれば分からなくも無いか。例えばこの街で捌き切れなかったとしても、他所に大量に売り出して交流の種にするとかな。

 まあ、実際はどうかは知らないが。


「……お、視えて来たぞ」

『プル~!』


 街の北側へやって来た俺達の目の前に、広大な牧草地帯が広がっていた。

 牧草地帯のそこかしこに大きな角を生やした羊がいて、幾人かの冒険者達が戦っている。誰も彼もがパーティを組んでいるらしく、盾役やら攻撃役やらが懸命に戦っている姿が見える。

 ここから見る限り、ラムは確かに羊っぽさはあったのだが、なんというか闘牛と山羊を足して割ったかのようなゴツい見た目をしていた。筋肉が発達した力強い印象を与える体躯に、白くて長い体毛、前に突き出た攻撃性の高い角。


「……なんか、強そうじゃない?」

『プル』


 あんなの、ゴブリンやキラーラビットとは比べ物にならんだろ。

 マーダーほどではないにしろ、通常モンスターのアレですら、結構な強敵に見えるぞ?

 ここからでは鑑定が届かないし、もうちょっと近付いてみるか。


『ブルルルッ!』


『ドゴッ!!』


 ラムの頭突きが盾役の大盾に激突し、大きな音を立てていた。盾役は上手く攻撃をいなして、ラムの隙を作ると、アタッカーが左右から攻撃して大きくのけぞらした。


「おー」


 この世界でパーティで戦う姿というのは初めて視たから、新鮮だな。

 おっと、鑑定鑑定っと。


*****

名前:フォレストラム

レベル:10

腕力:36

器用:24

頑丈:18

俊敏:12

魔力:18

知力:10

運:なし

スキル:なし

装備:なし

*****


 うぉ、『腕力』のステータスたっけぇ。ホブゴブリン並みにあるじゃないか。レベルも10とか、雑魚の中では一際高く見えるな。

 確か、フォレストラムのレベルは6~12だったっけ? ……うーん、ここから更に強いのが2段階もあるのか。とりあえず、俺も1体狩ってみるか。

 武器は……安全に槍で良いかな。あの角にカスっただけで、身体が吹き飛ばされそうだし。


「お、いたいた」

『ブルルルッ……!』


 気性は荒くなく、武器を構えるなどしてようやく敵愾心を抱くって聞いてたんだが、おかしいな。こっちを見た瞬間敵意がMAXなんだけど?

 これもやっぱり、ダンジョンから出て来た種と、原生種での違いって奴なのかもしれない。となると、この点だけ見てもダンジョンは無い方が良い気がするな~。


『ブルルルッ!』


 フォレストラムは頭を突き出しながら突進を繰り出した。重量感あるチャージに、普通の冒険者なら竦みあがりそうな光景だな。ただ、俊敏のステータスは高くない為か、その動きは緩慢だった。


「ほっ」


 ぶつかる直前に横へステップし、槍を突き出す。

 刃先が首元に吸い寄せられるように直撃し、白い体毛を赤く染めた。


「……よし。イリス、いいぞ」

『プル~』


 周囲を確認し、周りの目が無い事を確認してイリスを投入する。イリスは小さいからな。牧草が良いカモフラージュになってくれている。


『プル~~!』

「美味いか?」

『プル!』


 さて、体積で言えばフォレストウルフよりちょっと大きいフォレストラム。今日は何体詰め込めるかな~……。

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