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ガチャ092回目:帰還

「ふぅー。なんとか勝てたな」

『プル!』


 とりあえずこのボスの身体は収納しておこう。解体作業はギルドにまた頼むとしてだ。問題はダンジョンの位置だよな。

 怪しいのはこの岩山だが……。


『プル~? プルプル? プルル?』


 イリスが転がっては跳ね、転がっては跳ね、怪しいところがないか探している。俺も怪しいところがないか探ってはいるんだが、全体的に怪しいせいでピンポイントで探し出せないでいた。うーん、このモヤモヤ感は気持ち悪いな。


「……おっ。イリス」

『プル?』


 ボスが座っていた辺りの地面を重点的に調べてみたところ、1カ所だけ若干地面が膨らんでいるような気がしたので、そこをイリスに掘り返してもらう。

 すると、目的の物が現れてくれた。いつもの『魔素転送装置』と紋章だ。タッチと。


【ダンジョンアンカーが正常に稼働を開始】

【識別番号022‐2の魔素が解き放たれました】

【識別番号022‐2のダンジョンは消失しました】


 ……やっぱりこの識別番号って、向こうでいうところのダンジョンNo.だよな? となると、ゴブリンは『022ダンジョン』の第一層で、ここは第二層。キラーラビットは『028ダンジョン』の第一層って事になる訳だ。どっちも入った事ないから確証は持てないけど、もしそうだったら分かりやすいんだがな。


【付近に%#$£の力を確認】

【利用可能なエネルギーの抽出を開始】


 そんな事を考えていると紋章から光が浮かび上がり、俺の中へ入って行く。


【レベルガチャエネルギーを1つ獲得しました】


 よし、これでエネルギー3つ目だ。レベルも26になったし、ガチャを回せる日は近いな。


「さて、ここでの用事は終わったし帰っても良いんだが……フォボスに挨拶はしておくべきか?」

『プル~? プルプル……プル!』


 NOと。別にいらないのか。


「そっか」


 まああいつらもハーブラビットのような原住民側とはいえ、そもそもフォレストウルフは恒常討伐対象としてギルドに認定されてるくらいだしな。害獣どころか危険な存在として扱われているみたいだし、今回はただ利害が一致しただけ。

 今後ぶつかり合う事もあるかもしれないから、ここで情を持つのはよくないか。


「なら帰ろうか」

『プル』


 そうして歩き出したところで、森の中からフォボスが姿を現した。


「何の用だ?」

『ワォーン!』


 フォボスはこちらへと駆けだすと、俺達の目の前にやってきて立ち止まる。なんだか、最初に見た時と比べて、随分と精気に溢れる顔立ちをしているような……。


*****

名前:フォボス

レベル:20

腕力:138

器用:155

頑丈:98

俊敏:144

魔力:120

知力:120

運:なし


(ブースト)スキル】迅速

PB(パッシブブースト)スキル】統率


装備:なし

魔石:中

*****


 うわ、知らない間に滅茶苦茶強くなってるな。名前もちゃっかり変わってるし、なんでだ?


『グルル。ガウッ!』

『プル~。プルル、プルル』

『ガウ。ガウガウ』

『プル~』


 イリスと話をすると、自らの群れへと帰って行った。なんだったんだ?


「イリス、あとで教えてくれな」

『プル~』


 そうして気になる事はありつつも、街へと目指して歩き始める。フォレスウルフが大量に出現し、冒険者が近寄れていなかった為か、森には各種素材が山のように溢れていた。フォレストウルフでは大した稼ぎになりそうになかったのだが、これのおかげで今日はホクホクであった。

 本日のリザルトとしては以下だ。


【討伐モンスター】

フォレストウルフLv8:28体

フォレストウルフLv9:28体

フォレストウルフLv10:36体

フォレストボスウルフLv20:1体

亡骸:82体分+ボス1体分


【収集アイテム】

・リーフ草 13本

・リフレス草 11本

・解毒草 15本

・シビレ花 8本

・ドクテング 7本


 いやー、今から清算が楽しみだな。

 ちなみに血抜きしていなかったフォレストウルフの死体は、森を出る前にイリスに全部お願いしていた。イリスとしても武器防具の研磨に比べれば美味しい思いができるので辛くはないようだった。

 それにしても、飲んだ血はどこに消えていくんだろうか。明らかに何百リットルと飲んでるはずなのに、イリスの質量は変わってないんだよなぁ。


『プル~?』

「ま、イリスが楽しいなら何でもいいけどな」

『ププルプル!』


 そうして森を出るまで、俺達は1度もフォレストウルフと遭遇する事はなく脱出する事ができた。空は日が暮れかかっていたので駆け足で街へと戻り、そのまま冒険者ギルドの前を素通りして魔道具店へとやってくる。

 今日は……開いてるみたいだな。


「おじゃましまーす」

「あら坊や、おかえりなさい」

『キィ!』

『プル~!』


 ルミア姉さんと一緒にラビが出迎えてくれた。カウンターの上にはラビ専用のベッドのような物が置かれており、寛いでいるようだ。ちゃんと可愛がられているみたいで何よりだ。


「ラビちゃん人気者よ。魔法使いって気難しい子が多いんだけど、今日だけで何人もファンを獲得したんだから」

「ま、ラビは可愛いですからね」


 やっぱりここにもちゃんと客はいたのか。ちょっと安心した。

 そしてそのお客も魔法使いなのか。……この世界でその手の技能を収めた人、思えば見た事が無かったな??

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