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ガチャ009回目:冒険者ギルド

 西部劇なんかでよくみかけるウエスタンドアを開き、中へと入る。正直今の時刻が一体全体何時何分なのかはさっぱりだが、ギルド内はそれなりに賑わっていた。複数列ありそうな受付エリアには現在女性が1人だけ。左の壁には掲示板みたいなものに張り紙が張られ、右手には食堂っぽいものが広がっていて話し合いをしてる人達だったり飲んだくれてる奴もいる。

 ……うん、絡まれるとするならあの手の連中かな? でも既に変なのには目をつけられているし、これ以上厄介ごとを抱えるのも面倒だ。とりあえずアレは見なかった事にして、さっさと用事を済ませるとしよう。


「すみませーん」

「ようこそ冒険者ギルドへ。ご依頼ですか? 報告ですか?」

「はい、冒険者になりにきました。ザインさんに紹介してもらって……」

「ああ、ザインさん。……ところで、何日で返さないといけないのかしら?」


 お姉さんは訳知ったる顔で耳打ちをして来た。やっぱりここでもザインさんの善行は知れ渡ってるんだな。


「えっと……7日以内ですね」

「7日かぁ。本当に困っていたようね。でも冒険者の仕事はきついわよ? ちゃんと返せる?」

「大丈夫です。ゴブリンを倒す事だってできますから」

「あら、そうなの? 若いのにすごいじゃない」


 お姉さんは俺の手を取ってすっごい褒めてくれた。普通の少年なら、こんな美人に手を握って貰ったらドギマギするものだろうけど、俺には効かないぞ。いや、嬉しいけどさ。

 ……ん、待てよ? 俺って今、年齢は17歳だよな? 日本人は童顔だとは言われたりするけど、それなりに身長もあるはずだ。以前と視線の高さもそう変化はないはずなんだが、このお姉さんからも少年扱いされるほど若く見られてるのか?

 他に何か、この世界では若さを裏付ける要素でもあるのだろうか?


「登録費用は聞いていたと思うけど、銀貨3枚よ。持っているわね?」

「はい、ここに」


 お金に関しては短剣を持っていたのとは逆の手でずっと握っていた。俺の今の服にもポケットはあるが、不運は何を呼び込むか分かったもんじゃないからな。これくらいの用心は必要だろう。

 子供の頃は、よく財布やズボンに穴が空いて、頻繁にお金や家の鍵とかを無くしてたっけ。……ああ、嫌な思い出が蘇ってしまう。


「はい、確かに。では次にこちらへサインをしていただけますか? あ、代筆が必要なら仰ってくださいね」

「……ん?」


 そういえば俺、この世界の文字、書けるのか?

 会話はできてるけど、多分これはスキルにあった『異世界言語理解Lv1』のおかげだろうけど……。よくよく見ればこの紙に書かれている文字も分からんし、大通りを通って来た中で見つけた文字も、全部読めなかったような……。

 つまり……。


「すみません、代筆をお願いします」


 ゴブリン倒せますとドヤった直後にこれは情けないが、できないものはできないのだ。素直に認めるしかない。

 どこかで勉強する機会があればいいんだけど、それでも今の『知力』じゃなぁ……。物覚えもあまり良くはなさそうだ。


「お名前は?」

「ショウタです」

「年齢は?」

「17です」

「あら。得意武器は?」

「片手剣です」


 弓と槍と大剣と拳も少々扱えるけど、今は獲物もないしな。

 ああでも、弱くなってしまった現状リーチや安全面を考えると、槍も申告しておくべきだろうか? けど武器そのものがないしなぁ。お金が余ったら買うのも……いや、『魔法の鞄』の類が無いし、荷物は少ない方が良いか。槍も戦闘では便利なんだろうけど、剣なら採取や解体にも使えるだろうしな。


「では最後に、出身地は?」

「……言いたくないですね」


 不用意に日本と伝えて、何が起きるか分からないしな。


「分かったわ、では早速登録作業に入りましょうか」


 おや、割と重要そうな項目なのに、スキップができるのか。しかも試験とかそういうのも無いのか。まあ俺としては楽でいいけど。

 そうしてお姉さんは書類を仕舞って、合金版のような何かを取り出した。これは……なんだ?


 名前:冒険者証発行装置

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:アーティファクト

 説明:対象の手を乗せる事で効果が発動。対象のステータス・討伐モンスターをリスト表示可能な冒険者証を発行する事が可能。また、冒険者証を乗せてから手を乗せる事で新品になった状態で再発行される。


 ほお、いきなり『遺産(レガシー)』か。用途が用途だけに、誰かが目的をもって作成したのがよくわかるアーティファクトだな。


「それじゃ、ここに手を乗せてね」

「はいっ」


 言われた通りに手を乗せていると、一瞬何かが俺の中を通り過ぎたような感覚を覚えた。そして俺の目の前に顔写真付きの免許証みたいなものが出現。慌てて手に取ってみると、表面には以下の内容が記載されていた。


*****

名前:ショウタ

腕力:FFF

器用:FFF

頑丈:FFF

俊敏:FFF

魔力:FFF

知力:FFF

スキル:なし

*****


 んん? F……?

 ステータスも不可思議な表示形式だが、何よりスキルがおかしい。別に隠蔽スキルなんて持ってないのに……。

 もしかして、俺が持ってるスキルが『(ユニーク)スキル』と『(スペシャル)スキル』だけだからか? 『(ブースト)スキル』や『(パッシブ)スキル』なら表示されてたんだろうか。

 あと、裏面もタップしてみれば以下の内容が目の前に投影された。


*****

【討伐モンスター】

ゴブリンLv2:2体

ゴブリンLv3:1体

*****


 ほほう、こんな風に表示されるのか。これは討伐証明とかいちいちしなくて楽で良いな! しかし、レベルが上がった事で何となくそう感じてはいたが、イリスが倒したのもちゃっかり俺が倒した扱いになるんだな。これはラッキーだ。

 あと、前の世界の情報は反映されてないみたいだな。反映されてたら絶対ヤバイことになってた。


「ふふ、本当にゴブリンを倒せていたのね。ショウタくん、少し冒険者証を借りるわね」

「はい」


 冒険者証を手渡すと、お姉さんは何かの道具を取り出し、切符切りのように冒険者証の角をぱちんと挟んだ。良く見ると、冒険者証の左上にFという文字が印字されていた。これが……ランクかな?

 向こうでは最低Gランクだったけど、また懐かしのFランクからの再スタートになりそうだな。

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