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ガチャ083回目:解体完了

「ふぅ、ようやく終わったか。お前らお疲れ、後で一杯酒をおごってやるぞ」

「「「「「おおー!!」」」」」


 はー、ようやく終わったか。後先考えずに大量に狩るのはあまり良くないかもしれない。今回は専任の人達が手伝ってくれたからこの程度で済んだけど、今後を思えばな……。こんな重労働はこりごりではあるし。

 おっさんの計らいで順番に裏手にある井戸で軽く汗を流し、ナイフや手に染み付いた汚れを落としているとミランダさんとレイチェルさんが労ってくれた。


「ショウタくん、お疲れ様でした」

「頑張りましたね、ショウタさん」

「あはは……。次からは、もうちょっと加減する事にしますよ」


 そうぼやくと、上半身裸になったおっさんがやって来た。その姿で動き回る事を誰も咎めない辺り、ここでは割と日常的光景なのかもしれない。


「んな気遣いは不要だぜ坊主。お前が狩って来たモンスターはいずれも人に害ありと認定された連中だ。狩りすぎて悪いなんて事はねえんだ。それに、基本的に普通の冒険者はここに預けたら自分から解体に参加したりはしねえんだぞ」

「え、そうなの?」


 自分が持って来たんだから、最後まで責任持って俺が見届けるべきだと思ってたんだが……。違うのか?


「ふふ、手伝いを申し出る冒険者さんもいない事もないのけど、ショウタくんほど器用な人は珍しいのよ。持ってくる死体もボロボロだったり品質が酷すぎて、解体費用の方が高く付くケースもあるんだから」

「その点、ショウタさんの持って来た素材は最低でも判定A以上! しかもほとんどの個体は判定Sだった上に、未知の上位種まで持ってきたのよ? ここにいる誰もが、あなたに感謝してるくらいですよー!」

「そうっすよ! 迷惑なんて思ってないっすから、これからもじゃんじゃん持って来てほしいっす!」

「そうだぞ兄ちゃん。キラーの上位種なんて、先代から話にしか聞いた事がねえ存在だった。それを捌ける機会をもらえるなんて、俺達にしてみれば名誉な事なんだぜ」

「はー……」


 迷惑かけたかと思ったら、思った以上に感謝されて、正直戸惑いの方が強い。けどまあ、初めて見るレアモンスターに興奮する気持ちはよく分かるし、理解できないことはないかな。


「あ、でもだからってゴブリンを持ってくるのは勘弁してね? アイツら、素材として活用できる部位が何一つとしてないから」

「あはは、流石にそこまで馬鹿な真似しませんよ」


 ま、否定的に思われてないのなら、次も加減はしなくていいかな。


「さて、坊主。精算する前に、欲しい物から聞いておこうか」

「そうですね……。キラーのS判定の肉を4体分。それからマーダーのS判定の肉を4kg分。それからさっき貰った魔石ですかね」

「あいよ。指定の分はお前の鞄に戻しておくとして……これがリザルトだ。確認してくれ」


・キラーラビットの肉 判定S 44体×200G=8800G

・キラーラビットの肉 判定A 16体×100G=1600G

・キラーラビットの角 判定S 42本×120G=5040G

・キラーラビットの角 判定A 23本×60G=1380G

・キラーラビットの皮 判定S 58枚×80G=4640G

・キラーラビットの皮 判定A 7枚×60G=420G

・マーダーラビットの肉 判定S 38kg×1000G=38000G

・マーダーラビットの肉 判定A 15kg×500G=7500G

・マーダーラビットの角 判定S 2本×5000G=10000G

・マーダーラビットの皮 判定S 8枚×2000G=16000G

・マーダーラビットの皮 判定A 4枚×1000G=4000G

・解体費用 小個体65体×30G=1950G

・解体費用 中個体1体×100G=100G

 合計 95330G

 残高 35万7210G


「おぉー。マーダーの素材、結構いい値段しますね」


 キラーも、判定Sなら1体で400G、判定Aでも240Gだ。解体費用で30G取られるとはいえ、これなら十分におつりが来る。ちなみに何体かは俺も解体したけど、教えてもらいながらやったので経費は全額、勉強代として支払う事にした。


「ああ、上位個体なんてこの街では珍しいからな。その上ダンジョンがなくなった以上再度入手する機会も無いに等しい以上、色を付けさせてもらったぜ」

「……そういう意味では潰さない方が良かったって事?」

「んなこたねえよ。ダンジョンなんて存在は潰してもらわなきゃ困る。あれが活発だった時期程、この街には戦力は残ってねえし、他でも同様にダンジョンが復活しているとなれば、援軍も期待できねえ」

「ふむ……」

「ただ、わがままを言えば1個ぐらいは――」

「「グレインさん?」」


 両隣にいた受付嬢から笑顔の圧を受け、おっさんは口を噤んだ。まあダンジョンの存在を街の資源として見れるのなら、その話も分からないでもないんだよな。俺だって稼ぎ口を全部潰すわけにもいかないしな。


「残ってるダンジョン候補は3つでしたっけ。おっさん的にはどこに残っててほしいんです?」

「お、坊主も乗り気か?」

「危険度と街に利益を齎すところに、ちゃんと天秤が釣り合っているならって前提ですよ?」

「がはは、分かってるって! そうだな……まずフォレストウルフのダンジョンは危険度が高いから無い方が良い。オークは肉が食用になるから利益もあるが、その分上位種に出てこられるとゴブリンよりも厄介になる。だからフォレストラムのダンジョンなら、アリかもな」


 ラム……羊か。羊の上位種ってなんだろうな? やっぱり羊なのかな?

 とりあえず全てにダンジョンがあると仮定した場合、一番危険度が高いのは活動範囲が広そうな狼だろう。明日はそっちに行ってみるか。

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