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ガチャ080回目:庇護者

『キィキィ』

『キィ!』

『プル~ン?』

『ギィ』

『プルプル』


 ぽけーっとしていると、イリスが俺の頬をツンツンしてボス兎の方を指し示した。近付けって事か?


『キィキィ』


 ハーブラビットがボス兎の目の前にある地面をてしてしと叩く。そこまで行けばいいのね。

 んじゃせっかくお呼ばれしたんだしお相手のステータス視ておくとしますか。


*****

名前:エルダーラビット

レベル:42

腕力:180

器用:120

頑丈:100

俊敏:280

魔力:800

知力:1000

運:なし


(ユニーク)スキル】森の賢者

(マジック)スキル】念話Lv2、魔力回復Lv3、魔力譲渡

(スペシャル)スキル】意思疎通、記憶読解


装備:なし

魔石:大

*****


 『念話』に『意思疎通』? ってことはこのウサギ、もしかして話せるのか? さっきからギィギィ鳴いてるだけのように聞こえるけど……。

 そう思っていると、エルダーから更に手招きされた。


『ギィ』

「もっと近くね」

『プル』


 そうして目の前にまでやって来ると、エルダーはポンっと俺の頭の上に、そのモフモフの手を乗っけてきた。ちょっと熟し過ぎた香草のような、強烈な匂いがしたが、この集落の長の行為だ。我慢しよう。


『(臭くてすまんの、人間よ)』


 頭の中に老人のような声が聞こえて来た。これがエルダーの声か?

 そして心の声が丸聞こえなのか?


『(いかにも。我が子らから聞いたが、お主が魔性に落ちた白き氏族を倒してくれたのだな?)』


 ああ、間違いない。キラーラビットは60体ほど、マーダーを1体倒して、ダンジョンの核も機能停止にした。これからの出現速度は、昔と同じくらい緩やかなものになるはずだ。


『(素晴らしい。これでこの森にも、平和が訪れる。本当にありがとう)』


 どういたしまして。


『(……して。そんなお主に何か礼をと思ったが、ここ数日のお主の記憶を顧みても欲があまり読めぬ。更に過去を視ようとしても、我が力では霧がかかったかのようでまるで視えぬ。お主はどうやら、特殊な星のもとに生まれたようだ)』


 まあ俺も、ここに来た経緯はよく分からんしな。だが、この世界のダンジョンを本来の形に戻すのが俺の使命なんだろう。この世界の最高実力者である天の神も、魔に属する魔王も、今は軒並み不在になっている。そんな中でダンジョンが各地で活性化すれば、人間の国などひとたまりもないだろう。

 俺にとっての第一優先事項は、地球に置いて来た大切な家族の安全だが、この世界で無事に生き残るためにもガチャの使用は必須事項だ。ダンジョンも潰せてガチャも回せるのなら、やって損はないはずだ。


『(……時折ノイズが走ったせいで全ては読み取れなかったが、何やら重大な使命を帯びている様子。そんなお主に、我が授けられる中でもっとも有意義な報酬を授けよう。受け取るが良い)』


 エルダーはそう告げると、頭上の手から暖かいものが降りて来て、俺の全身を包み込むと、ゆっくりと内部に広がっていくのを感じた。

 まるで向こうの世界でスキルオーブを獲得した時と似たような感覚を覚えたが……。どんな変化があったんだ?


*****

名前:天地 翔太

年齢:17

レベル:24

腕力:27

器用:27

頑丈:27

俊敏:27

魔力:25

知力:25

運:46


(ユニーク)スキル】レベルガチャEX、特殊鑑定Lv1、異世界言語理解Lv2

(パッシブ)スキル】炎耐性Lv1、体術Lv2、剣の心得Lv2、槍の心得Lv2、投擲Lv2、暗殺術Lv3

(アーツ)スキル】暗視

(マジック)スキル】基礎マナ理論Ⅱ、魔力操作Lv2、風魔法Lv1、水魔法Lv1、土魔法Lv1、魔力回復Lv1

(スペシャル)スキル】次元跳躍

(エクストラ)スキル】神の加護(小)


称号:%#$£の###、ダンジョンの解放者、森の賢者の庇護

*****


「……『森の賢者の庇護』?」


 なんだこりゃ。


『(それがあれば、お主は森にいる間様々な恩恵が得られる。また、森人などの一部精霊に近しい存在からも、友好的に見てもらえるはずだ)』

「森人?」

『(お主の記憶におった。今日も話をしたであろう?)』


 ……ああ、エルフの事か。なるほど。

 まあ、ルミア姉さんからは既に好意的に見て貰ってる気がするけど、これから先交流の輪を広げていく上で、このバフは必要になる日が来るかもな。

 エルフはルミア姉さんだけじゃないしな。


「助かります」

『(うむ。それから街にいる森人に言伝を頼みたいのだ)』

「なんでしょう」


 てか、口に出しても会話成立してるな。このスキル、結構優秀っぽいけど、エルダーの知力の高さあってこそかもしれないし……。俺が得るにはまだまだ時間がかかりそうだな。


『ギィ』

『キィ!』

『(この者を森人のところに連れて行ってほしい。それだけでかの者には伝わるだろう)』

「分かりました。そういう事なら」

『キィ!』

『プルル!』


 左肩に乗っているイリスを真似して、ハーブラビットが右肩に乗って来た。ちょっと重いが、剣よりは軽いしまあ良いか。この森から出たら念の為、腕に抱えながら行こう。


「そういえば1つ気になってたんですけど、ダンジョンが沈静化した今、普通の人間がこぞって森にやってくるかもしれないですけど、大丈夫なんですか?」

『(心配無用。この地には普通の人間では辿り着けないよう魔法がかかっている。お主でも、我が子らの案内がなければ辿り着けなかったはずだ)』


 はずって事は、極端に『運』が高い奴ならうっかり迷い込む可能性もあるってことでは? まあ、そうなったら神隠し扱いになるだけか。運が良いんだか悪いんだか。


「この子には薬草とか食べさせれば良いんですかね?」

『(うむ。それで構わないが、森人ならその辺りの世話もしてくれるであろう)』


 いや、今日帰った時に店が閉まってたら、俺が1日世話することになるんだよ。だから聞いておいたんだが……。

 まあ手持ちには薬草系統はそれなりにある。もし店が閉まっていても問題はないだろう。

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