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ガチャ074回目:ツンデレ?

「お姉さん、魔力回復用のポーションとかって売ってます?」

「あら、あれが欲しいの? 売ってあげても良いけど、『魔力回復』のスキルがあるなら要らないんじゃない?」

「念のための保険ですよ」


 俺には魔力を超消費する『次元跳躍』のスキルがある。『魔力回復』のスキルを覚えた今なら、もしものために今の状態で使えばどの程度瞬間移動できるか調べておきたいし、連発するには即時回復できるアイテムの存在は急務だ。

 あればあっただけ良いが、無駄遣いもできないし……3本くらいは欲しいかな。


「ならそうねぇ……。今うちで取り扱っているのはこの3つね」


 名前:魔力回復のポーション レベル1

 品格:『最高(ユニーク)

 種別:ポーション

 説明:魔力を即座に回復できる薬品。全て飲み干すことで即座に体内に魔力を取り込み、徐々に魔力を回復することができるが、消化が悪く腹に溜まりやすい。

 ★即座に魔力が30回復する。

 ★服用後、5分間の間15秒につき魔力を5回復する。


 名前:魔力回復のポーション レベル2

 品格:『最高(ユニーク)

 種別:ポーション

 説明:魔力を即座に回復できる薬品。全て飲み干すことで即座に体内に魔力を取り込み、徐々に魔力を回復することができるが、消化が悪く腹に溜まりやすい。

 ★即座に魔力が60回復する。

 ★服用後、5分間の間15秒につき魔力を10回復する。


 名前:魔力回復のキャンディ レベル1

 品格:『最高(ユニーク)

 種別:ポーション

 説明:ルミアが調合した魔力回復機能を増幅させるキャンディ。口内にある間、徐々に魔力が回復し、噛み砕くと本来効果を発揮したはずの効果の内半分が纏めて回復する。オレンジ味。

 ★効果時間5分。魔力保有量120。

 ★口内にある間、5秒につき魔力を2回復する。


 そして値段は、上から順に銀貨2枚、銀貨5枚、銀貨4枚だ。


「おおー……。このキャンディって、お姉さんが作ったんですか?」

「そうよ。ただ、あんまり人気は無いのよね。総回復量が少ないせいでしょうけど」

「噛み砕けば半分だもんなぁ……」

「……」


 お姉さんがジト目で見てくる。情報が見れるのはお互い様なのでスルーだ。


「いや、それでもこの飴が良いですね」

「えっ!? 本当!?」

「口の中に入れてるだけで良いですし、腹にたまらないのもありがたい。緊急時には噛み砕けば即時回復のオマケ付き。浸透してないだけで、こっちの方が俺としてはありがたいですけどね」

「でしょでしょ! やっぱり坊やは見る目があるわ♪」


 お姉さんはご機嫌になった。


「とりあえず試しに10個下さい」

「10個も!? 4万Gするんだけど……」

「有り余ってるんで。まあキラーラビットを相手にはこの飴の存在は過剰でしょうけど」


 冒険者証を手渡し、戻って来た時には残高は19万4720Gになっていた。まあまだ余裕はあるな。現状装備に不満はないし、『魔法の鞄』に『冷却の水筒』もある。遠出やキャンプ用の道具類は持ち合わせてはいないけど、この辺りで狩りをするならこれ以上望むものはないわけだ。となればお金の使い道なんてちょっと豪勢な飯と、利便性の上がるものに使うしかないわけだ。

 その点この飴玉は、魔力回復ポーションのデメリットを帳消しにしてくれるだけでなく、独自のメリットまで兼ね備えている。買わない理由はないだろう。


「せっかく買ってくれてるんだし、サービスで飴を2個付けてあげるわ」

「ありがとうございます。それと無ければ無いで良いんですけど、解体の指南書的な本とかってあります?」

「ああ、今からキラーラビットだっけ。あるわよー」


 あるのか。この店って、何でもあるんだな。


「はいこれ」


 名前:狩猟者の心得 小動物編

 品格:『希少(レア)

 種別:教本

 説明:小動物の解体方法について分かりやすく解説された教本。そこに熟練の狩人であるルミアの注釈が記載されており、希少価値が上がっている。

 ★背表紙にはルミアのサイン入り。


「……もしかして、事前に用意してくれてました?」

「……」


 お姉さんはぷいっと顔を背けた。


「なんだこの人、可愛いな」

「んなっ!?」

「それでおいくらですか?」


 お姉さんは口を何度かパクパクしたが、諦めたようにため息をついた。


「タダで良いわ。本来の本にはない落書きがされてるもの」

「愛のある落書きですね」

「あ、愛じゃないわよ!」

「じゃ、ありがたくいただきます。ルミア姉さん、また来ますねー」

「……ふんっ。無事に帰ってくるのよ!」


 彼女の声を背に受け、軽く手を振りながら店を出る。


「ルミア姉さんはツンデレと」

『(プルー?)』

「……あ、そういえばキングの椅子と王冠の事忘れてたな」


 まあ今度で良いか。

 そうして俺達はそのまま東門へと向かい、衛兵達と顔を繋いで街の外へと出た。


「見える風景にそこまでの差異はないな」

『プルー』


 見渡す限りの平原と森、奥の方には森から流れて来て、途中で蛇行している小川だ。その小川には、ウサギの影らしきものが見える。……魔物図鑑に記載されていた数に比べて、明らかに多く見えるが。


「解体方法は気になるけど、まずは先に戦ってみるとしますか」

『プル!』


 イリスが胸元から顔を出して、プルプルしている。


「けど、この辺は視界が開けている上に、それなりに冒険者の数が多く見える。悪いけど、踊り食いはもうちょっと先だな」

『プルーン……』


 イリスは残念そうな声を出すが、こればっかりは仕方がない。ルミア姉さんに弟子入りすれば後ろ盾にはなってくれそうだけど、行動は縛られたくないしなー。

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