ガチャ072回目:魔法の勉強
『プルーン! プルプルプル!』
「おー……?」
頭がぐわんぐわんする中、イリスが指し示したページを見る。すると確かにそこには、『魔力回復』に関するものと思われる内容が記載されていた。
てかこの状態で学んだばかりの言語を読むのは、かなりしんどいな。理解はできるんだが、頭に入ってくるのに、ちょっとワンテンポ遅れるというか……。なんとも気持ち悪い感じだ。
でも、魔力を回復させないといつまでも辛いままだし頑張らないとな。
そうして頭がフラフラするなか内容を理解し、実践する事で、ようやくそれは成った。
【スキルの獲得条件を満たしました】
【スキル:魔力回復Lv1を取得】
「ふぃー……。なんとか回復したー」
『魔力回復』のスキルは、15秒おきにレベルの数値分魔力が回復するというわかりやすい効果を持ったスキルだ。取得後は自動的に発動してくれるところは変わっていないみたいで、意識すれば確かに、周囲に漂っている魔素を取り込んで、自身のマナへと還元してくれている感覚が、なんとなく伝わってくる。地球にいた時は全く感知できなかったけど、俺もこの世界できっちり成長しているみたいだな。
『プルーン!』
「お、イリスも変化があったか?」
『プル! プルプル!』
イリスは元々覚えてLv2にまで成長していたし、更にレベルが上がったんだろうか。改めて互いの状況を見てみるか。
*****
名前:天地 翔太
年齢:17
レベル:22
腕力:25
器用:25
頑丈:25
俊敏:25
魔力:23
知力:23
運:42
【Uスキル】レベルガチャEX、特殊鑑定Lv1、異世界言語理解Lv2
【Pスキル】炎耐性Lv1、体術Lv2、剣の心得Lv2、槍の心得Lv2、投擲Lv2、暗殺術Lv3
【Aスキル】暗視
【Mスキル】基礎マナ理論Ⅱ、魔力操作Lv2、風魔法Lv1、魔力回復Lv1
【Sスキル】次元跳躍
【Eスキル】神の加護(小)
称号:%#$£の###、ダンジョンの解放者
*****
名前:イリス
存在位格:『普通』
コア:極小魔石
レベル:22
腕力:135
器用:135
頑丈:135
俊敏:135
魔力:135
知力:135
運:なし
【Pスキル】炎耐性Lv1、暗殺術Lv4
【Aスキル】暗視、チャージアタック、悪食Lv1
【Mスキル】基礎マナ理論Ⅱ、魔力操作Lv2、風魔法Lv1、魔力回復Lv3
【Sスキル】形状変化Lv4、性質変化Lv2
*****
ふむ。こうなったか。今の俺の魔力はたったの23。1分で4回復だから、5分45秒で全快してしまうな。コスパが良いと思うべきか、底の浅さを嘆くべきか。
けど、現状『魔石操作』のような常時魔力消費をするようなスキルがない以上、これでもうさっきのような苦しみを味わうのは最長でも15秒間で済むようになった訳だ。これで戦闘における懸念も、ある程度は解消したかな。
それと、いつの間にやら加護が追加されてるけど……。これ、どうみても天使ちゃんが言ってたやつだよな。確か、無病息災になるんだっけ。ってことは、状態異常無効系だったりするんだろうか? それなら文句なしなんだけど『(小)』だしなぁ……。
『ゴーンゴーン!』
そう思ったところで、夕方を伝える鐘の音が鳴り響いた。他の魔法を試そうかと思ってたんだが……今は食事だな。昼食後はほぼ動くことなくじっとしていたが、魔法の修業も結構体力を使うみたいで、なんだかんだでお腹が空いて来ていた。
ただまあ、食べた時間が遅かったこともあり、今晩は1人前で良いかな。イリスは2人前だけど。
「お兄さん、ご飯だよー!」
『プル~』
「ああ、今行く」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「むむむ。まさか人間さんに教えてもらった冒険者ギルドが、実はあの時、目の前にあったなんて。迂闊でしたっ」
見習い天使の少女は、燐光を振りまきながら大通りを歩く。その姿に人々は見惚れたり恐怖したりと様々だが、彼女の直線上にいた者達は平民・貴族関係なしに彼女に道を譲っていた。
この世界における知的生命体の中で、人間は最下位に位置しており、他の亜人種は生まれた時から強い者が多くいる。そんな亜人種の中でも最強の座に君臨しているのが天使族と悪魔族であり、人間からすれば歩く災厄のようなもので、非常に恐れられていた。
天使族は悪魔族と比べ、その気性や立ち振る舞いは優しく、下位の生物である人間に対しても慈悲を以て接してくれるが、それでも根源的に彼らは人間とは比較にならない力を持っている。最下級の役職である『見習い天使』でも、そこらの人間では太刀打ちできないほどの強さを持っている為、人間のほとんどは天使族に対し、生理的な恐怖を抱いてしまうのだ。
その上、彼らは人間の国にやってくること自体ほとんど無いと言って良い。その為、日常的に天使と接する機会がある自国の民ならともかく、初見で天使族に対し、フレンドリーに接する存在はそれだけでイレギュラーな事なのだが、見習い天使である彼女では、まだその事実に至る事はできないでいた。
「ようやく戻ってこられました。ここが冒険者ギルドのはずですっ」
正面から堂々と入ると、中に溢れていた喧騒が一瞬にして静まり返った。
そして悲鳴こそ上がらなかったものの、彼らは彼女を刺激しないようそっと距離を置く。そんな人間の反応はいつもの事であり、さしたる興味も湧かなかった彼女は話ができそうな人間を探してキョロキョロとギルド内を見回した。
そしてギルドなら受付嬢に聞くべきだと判断した彼女は、真っ直ぐに進み始める。そして海が割れるかの如く、列をなして並んでいた冒険者達が横に逸れた。そんながら空きとなった受付列をまっすぐに進み、少女はカウンターに身を乗り出した。
「……よ、ようこそ冒険者ギルドへ。ご依頼ですか? 報告ですか?」
「私は今日、聞きたいことがあって来ました。この辺りでここ最近、何か変わった事はありませんでしたか? それについて教えて欲しいのです」
「か、変わった事ですか?」
今、私の目の前に居ます!!
と、レイチェルは心の中で叫んだ。
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