ガチャ056回目:厳戒態勢
「さて、本の続きは帰ってから読むとしてだ」
『プル』
「今日も連中の拠点に向かいつつ、遭遇したゴブリンは全て殲滅していくぞ」
『プル!』
そう意気込んだ俺達は、昨日と同じルートで集落に向けて真っ直ぐに進み始めた。
しかし、薬草はちらほらと再発生しているものの、いくら進もうともゴブリンと遭遇する事はなかった。そして昨日俺が潰した罠は見つけても、新たに罠が敷設されている形跡も確認できなかった。
「……もしかして、昨日やり過ぎたか?」
『プルル~』
奴らの戦力を削り過ぎて及び腰になったんだろうか? まあ昨日だけで100体は討伐したもんなぁ。初日から換算すれば約150体だ。まともな集落なら、機能不全に陥るレベルだろうけど……。まあゴブリンはどの程度の規模が普通なのかわからないし、その辺はなんともなんだよな。
「けど、薬草はすぐ生えて来るよなー。これも魔素が豊富な要因だったりして」
『プルプル』
ミランダさんが以前魔素について教えてくれた時も、万物に必要といったニュアンスで語ってくれていた。だから薬草が自生するための最低条件も、魔素が大気中にそれなりの量がある必要があるということ。
それも採取して1日で再び立派な姿まで成長することを思えば、この地がどれだけ肥沃であり魔素に満ち溢れているかも想像が付く。これからダンジョンを探すときは、そういう情報も加味して捜索すれば見つかるかも知れないな。
『ゲギャ?』
『ゲギャ!』
『グギャ!』
「お、噂をすれば」
ゴブリンのパーティが見つかった。幸いにも姿が見えるよりも先に声が聞こえて来たため、相手に見つかる前に隠れることができた。
その数3体。今更隠れるような相手では無いんだが、何となく隠れなきゃいけないような感覚を覚えた。ファイブマンセルからスリーマンセルに再び変更されたのは人数の問題もあるだろうけど、隠れなければならないという感覚を覚えるということは、微量ながらも嫌な予感が働いたとも言える。
そうなってくるとまず一番警戒すべきはトラップだ。だが、奴らとの間にそれらしき物があるようには見えない。落とし穴以外の罠も考えるが、想定できるものは何一つとして痕跡がない。
次点で別のゴブリンパーティがいる可能性。これも感じられない。耳を澄ませてみるが、やはり感じるのは前方にいる一党だけ。
となれば思いつくのは……。
「イリス、発見される前に2体を同時に始末する。残した奴が妙な動きをするかもしれないから、最後の奴だけは要警戒で行こう」
『プル!』
イリスを肩に乗せ、慎重に隠れながらゴブリンとの距離を詰めていく。
そして彼我の距離が15メートルほどにまで縮んだところで、イリスを投擲しながら俺自身も吶喊を仕掛ける。
『プルー!』
『ゲギャ!?』
「……おりゃっ!」
『ゴキッ!』
『斬ッ!』
一人一殺を敢行し、3体のうち2体のゴブリンは地に伏した。
残るは1体のみだが、俺が想像した通りならこいつは今から――。
『ゲギャギャギャ!!』
「予想通りっと」
『斬ッ!』
俺はイリスを拾い上げ、即座に撤退。30メートルほど離れたところで隠れて様子を観ていると、左前方と右前方からそれぞれ別のゴブリンのパーティが走って来た。どれもスリーマンセルのゴブリンが4パーティだ。今の叫びだけでここまでの連中が集まってくるという事は、昨日の一件で本陣付近までの侵入に対して、かなり警戒されているという事だ。
「やっぱ昨日はやりすぎたみたいだな」
『プル~、プルル?』
「当然、集まって来た奴らは根絶やしにする。幸い、向こうの12体に遠距離もホブもいないみたいだしな」
敵の構成は以下
・ゴブリンLv3
・ゴブリンLv3
・ゴブリンLv4
・ゴブリンLv4
・ゴブリンLv5
・ファイターゴブリンLv6
・ファイターゴブリンLv7
・スピアゴブリンLv7
・スピアゴブリンLv7
・レンジャーゴブリンLv6
・ナイトゴブリンLv7
・ナイトゴブリンLv8
「イリス、スピアを優先的に頼む。その後はナイトな」
『プル!』
「俺は他をやるけど、一番逃げ出しそうな通常のゴブリンを最優先で狩る。行くぞ!」
そうして今度はバリスタ状に変化したイリスを投擲し、スピアを確殺。そしてすぐさま姿を隠し、槍が飛来して来た方向へと確認に向かうゴブリン達を、イリスが背後から。俺が側面から襲撃を仕掛け、次々とゴブリンを始末して行った。
【スキルの獲得条件を満たしました】
【スキル:暗殺術Lv2を取得】
全て倒し終わるころにはスキルが上昇してくれたが、レベルは上がってくれなかった。レベルはもう16になってるんだし、流石に一桁のゴブリンだけじゃ100体くらいは倒さないと微動だにしないか。
「とりあえず武具は回収して、このままもうちょっと集落の周りをうろついて、同じく警戒している連中がいたらおびき寄せて倒すとするか。キングと戦うときに邪魔になるかもしれないからな」
『プル~』
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