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ガチャ046回目:トラップ

「お、あった」

『プル』


 俺達は慎重に森の奥へと進んでいると、少し開けた場所にそれはあった。それは明らかにあからさまなトラップで、木の生えていない平らな地面に、これ見よがしに置かれた葉っぱの束。これがトラップじゃなくてなんだと言うのだ。


「いや、視線誘導型のトラップで、本命は別にあるかもしれないのか」

『プルー?』


 そう思って周囲を確認したが、やはり何も無かった。鳴子もなければ、避けた先のトラバサミも、足を引っ掛ける糸も、周囲の木に毒が塗られてるなんて事もなく、完全に単発型のトラップだった。

 だが、その威力は侮れないものだろう。なんせ、今の俺の数少ない『直感力』が、ビンビンに危険信号を発しているのだから。たぶん、引っ掛かれば最悪即死するレベルだな。即死しなくても重症を負うだろうし、レベルアップできる経験値が周囲を彷徨いていないと、結局死ぬ羽目になるだろう。

 うん、見た目バレバレでも、俺にとっては危険な存在だ。けど……一応どうなってるか見ておこうかな?


『プルプル』

「こんな時は長物の出番だな」


 槍でツンツン突いて草をどかし、2人で穴を覗き込む。


「わーぉ」


 殺意マシマシだな。

 穴の中には10個ほどの木の杭が天に向けて直立しており、穴の深さは3メートル。しかも横穴が掘られた形跡もなく、穴の周りはしっかりと固められていた。


「ホブが掘って、ゴブリンが罠を設置して、ホブがシャベルを使って救出したとかそんな感じか」

『プルプル』

「危ないし埋めとくべきか」

『プルー? プルルルプルル』


 イリスが触手を伸ばして何かを訴えている。えーっと、なになにー?


「あいつらを逆に落とさないかって?」

『プル!』

「まあ確かに活用する事もできるけど、そしたら回収が面倒だろ?」

『プルー……』


 納得したみたいだな。今の俺たちは、たった1本の武器でも多く持ち帰りたいのだ。無駄にはできん。


「それに、この穴はそんなに大きくはない。ホブなんて片足しか入らないし、ジェネラルより上が出ても全身を落とすことはできないだろうしな」

『プルル!』


 あとこれ、先着一名様っぽいし。

 そうして俺達は近くにあった除けられた土を運んで、罠を完璧に埋め立ててやった。


「よし、この調子で行くか」

『プル!』


 その後も俺達は続けて2ヶ所の罠を看破し、埋め立てによる破壊に成功した。しかしその内の1つでは、まさかのゴブリンが罠にかかって絶命していた。

 集落に近いせいというのもあるだろうけど、自滅するとはな。なんともお馬鹿なゴブリンだ。武器と防具も落ちてたけど、危ないので触れずに埋めることにした。


「今のところ罠もコレだけだし、自分達で掛かってたら世話ないよなー」

『プルー』

「でも気を抜いたら明日は我が身かもしれないし、注意はしておこう」

『プルプル!』


 そうしてまた進み続けていると、右手前方からやってくる1体のスピアゴブリンを発見した。そいつは獣道らしき所を通るっているようで、特にこちらに気付くことなくそのまま左手前方の方向へと向かっていった。

 今まではスリーマンセルやファイブマンセルだったのに、急にソロで動くなんて……。


「なんなんだ?」


 そう思ってその獣道へとそっと近付いていくと、今度はレンジャーゴブリンが視界の端に映った。慌てて物陰に隠れたが、そいつもまた、スピアゴブリンと同じ方向に抜けていこうとしたため、イリスにハンドサインを送る。理解したイリスはプルンと震え、それを確認した俺はそのまま彼を掴み上げ投擲。


『ゴキッ』


 静かに首の骨を折らせると、俺達は急いで遺体を茂みに引き摺り込み、周囲から隠した上で装備を剥ぎ取る。

 するとまた同じ方向からファイターゴブリンが出現。


「やはりか」


 どうやらここは巡回ルートらしく、何体ものゴブリンがグルグルと個別で回っている様だ。あのルートを抜ければおそらくは集落があるのだろうが……。


「もうちょっと減らすか。イリス」

『プル!』


『ゴキッ』


 イリスを投擲してはゴブリンを始末し、死体を隠しては剥ぎ取りを行い、またスタンバイしては始末してを繰り返していると、ゴブリンの死骸は30体を超え始めた。


【レベルアップ】

【レベルが14から15に上昇しました】


【スキルの獲得条件を満たしました】

【スキル:投擲Lv2を取得】


 お、レベルアップー。

 しっかし、わんこ蕎麦の様にお代わりがやってくるが、まるで連中の列が途切れる気配がしないな。そろそろ茂みも満杯だし、溢れちまうぞ。

 まあでも、こうやって雑魚処理をすればするほど後が楽になるから、もうちょっと続けても良いかもしれないが……。


『ゴキッ』


『プル。プルル』

「ん?」


 イリスは触手で獣道の先を示して、虚空をツンツンした。続いて、ゴブリン共を隠している茂みをツンツンと示した。

 えーっと、イリスの言いたいことは……。


「ああ、襲撃地点を横にズラして、別の茂みを使おうってこと?」

『プル!』

「まあそうか、別にこの位置にこだわる必要もないよな」

『ププルプルー』


 そうして俺達は、別の地点でも巡回しているゴブリンを出待ちし、追加で50体ほど撃破した上で、レベルも16に上がったのだった。

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