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ガチャ036回目:一人戦争

「ふんぬっ!」


『ガチャンッ!』


 急ごしらえだが、ほぼ全ての武器の刃に植物性の鞘を装着し袋にぶち込み、それを背負い上げた。そしてそこに入りきらない大剣と槍3本は植物で即席のロープを作って背中に結び付けておく。ちょっとどころかかなり動き辛いが、こいつらみたいな長物は袋には入れられないからな。洞窟から出るときは何とかなるかと思って入れてたんだが、袋から飛び出したり突き破ったりして色々とやばい事になってしまった……。

 帰ったら、新しいのを新調しなければ。


『プ~ルプル~』

「ご機嫌だな、イリス」

『プル~プルプル~』

「ダンジョンが楽しかったからか、それともこの後の食事が楽しみだからか?」

『プル? プルル~……。プル!』

「食事。……いや、両方か?」

『プル~ン!』

「ふ、当たったか」


 なんて暢気な事を話しつつ俺達は帰路に就く。そしてちゃっかり道中で高額な植物があればイリスに根こそぎ採取してもらい、来た時の倍の時間をかけて俺達は森の出口までやって来た。


「おー、街が見えてきたな~」

『プル~』

「だがイリス。最後に一仕事ある」


 俺は袋を降ろし、中の武器を全て取り出した。


「錆び取りと、一部武器の磨き上げだ」

『プル~プルル?』


 イリスが触手を伸ばして武器をそれぞれツンツンした。

 どれをどう強化するか、ってことかな?


「んー、そうだな~……。まず『鉄の短剣』以外は全部1本ずつ磨き上げてくれ。『錆びた鉄の短剣』は10本、通常の『鉄の短剣』は2本だから……ふむ。33%ってことで、4本磨いておいてくれるか?」

『プル~!』


 元気よく返事をしたイリスは早速作業を開始した。短剣、剣、槍、槌と順番に錆を落とし、一部は研ぎ処理を行っていく。その中でも、最後の槌に関しては面積が多い関係か、研ぎには時間がかかっていたが。


『プルリュ~……』


 それらが終わるころには、イリスは疲れ果てゲル状に地面に広がっていた。ここ最近聞かなかったレベルで気怠い雰囲気を出しているな。


「お疲れイリス。頑張ったな~」

『プリュ~』


 褒められる+撫でられるのコンボは相当嬉しいようで、イリスは甘えるように身体を押し付けてくる。よーしよーし。可愛い奴め。

 そうしてイリスが満足した辺りで、武器の回収と収納・装備を開始する。再び1人で戦争にでも行くかのような格好となった俺は、イリスを服の中に入れ街の門へと向かった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「ふぅ~。ついた~~」

『(プル~)』


 街に到着する頃には、陽が傾いて来たのか空は若干茜色に染まりかけていた。もう1時間もしない内に、街の鐘が響くだろうな。


「おお、少年! ……な、なんだその大荷物は。行きの時は持っていなかっただろう?」

「これは見ての通り戦利品ですよ。戦利品」

「せ、戦利品……。なるほど、ということはやはり……?」

「ああ、ですが安心してください。……あー」


 いや、こんな人通りのあるところで言うべきことじゃないな。


「報告が先ですよね」

「あ、ああ。そうだな。すまない、行ってくれ」

「けど、これでザインさんへの借金返せますよ。利子はついてました?」

「ははっ、そんなものはないさ。最初に渡した通り、銀貨5枚で構わないよ」

「ありがとうございます。では明日お支払いしますね!」


 そうしてザインさんとお別れ、そのまま大通りを通って行く。


『ザワザワザワ』


「……あ~」


 初日以上に注目されてるな。

 まあでもそうか、こんな戦争を1人で体現したかのような格好をさらけ出していたりしたら、そりゃ奇異の目で見られてもおかしくないよな~。それも、門番が通したんだから尚更か。それに、注意を向けられているのは大通りにいる人達からだけじゃないな。今なら、路地裏から飛んでくる視線の意味にも、ある程度察しが付く。


「好奇心が5割。あとは嫉妬と……なんだろうな」

『(プルプル)』


 まだ詳しくは読めないか。

 ま、今はまだ良いか。あれを相手取れるほど俺は強くないし。このまま武器屋まで直行だ。


「お、坊主じゃねえか。何だその状態」


 武器屋に入ると、おじさんの他にグレインのおっさんがいた。雰囲気からして客としてじゃなくて駄弁ってただけのようにしか思えんな。


「おっさんには関係ないよ。おじさん、忙しいならまた後で来るけど」

「構わん、お前の用事の方が重要だ。それに、そんな危なっかしい光り物を沢山持った状態で街中をうろつかれても困るしな」

「あはは、わかっちゃいます?」

「ってわけだ、グレイン。お前は外せ」

「へっ、わかったよ。爺の商売の邪魔はしねえ」


 そう言っておっさんは店から出て行った。けど、あいつの気配って探ってみれば分かりやすいというか、店のすぐ外にいる気がするんだよな。

 俺がそうやって店の外を見ていると、おじさんはフッと笑って見せた。


「気にするな。あいつは話が終わるまで入って来ねえし、番犬をしてくれてるだけだ」

「まあ邪魔が入らないなら何でも良いですけど……。んじゃ、精算お願いしまーす」


 そしてカウンターに、次々と武器を並べて行った。


【磨かれたシリーズ】

・鉄の短剣:4本。

・鉄の剣:2本。

・鉄の槍:1本。

・鋼鉄の剣:1本。

・鉄の大槌:1本。


【通常版】

・鉄の短剣:8本。

・鉄の剣:3本。

・鉄の槍:2本。

・レザーアーマー:9個。

・鉄の防具一式:1個。

・鋼鉄の防具一式:1個。

・ウッドスモールシールド:1個。


「こいつはまた、とんでもねえ量だな」


 は~~、背中が楽になった~~。

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