ガチャ034回目:ダンジョンの最奥
「暗視スキルのおかげで、ほんの少しの光だけで奥がくっきり視えるな」
『プルーン!』
俺達はジェネラルの奥。第3陣がやって来た通路に入った。するとすぐに行き止まりへと辿り着いた。そこは小さな小部屋になっていて、特になんの変哲もない空洞ではあったのだが、妙な違和感があった。
「一見何もないが、何か……ある気がするぞ?」
『プル? プルルプルン?』
イリスも地面でゴロゴロ転がっては不思議そうに立ち止まり、再び転がっては首を傾げるような動きをした。そこはちょうど小部屋のど真ん中付近で、俺もその辺から違和感を感じてたんだよな。
「イリス、そこ掘り返せるか?」
『プル? プルルルル……』
このダンジョン、さっきもホブが地面を破壊していたように、地面だけは他と違って柔らかく、普通に土とか剥き出しの岩だったりするんだよな。なのでイリスでも、薬草採取と同じ容量で掘り返せるのではと思ったのだ。
『プルー……プル?』
そうしていると、イリスは何かを見つけたらしい。その場で更に勢いよく地面を掘り返して、ようやくそれは顔を出した。
「なんだこれ、機械か?」
厨二心をくすぐるような厳つい装飾が施された、不思議な機械だった。中央にはランタンのようなガラス製の容器のようなものがあり、その内部には嫌な感じがするエネルギーの集合体のようなものが蠢いている。
名前:魔素転送装置
品格:『遺産』
種別:魔導具
説明:周囲の魔素を強制的に増幅させ、特定のポイントへ魔素を移送させる魔導具。
★発生源から切り離されている為、現在稼働していない。
「稼働をしていない……? 俺が持ち上げたからか?」
『プル?』
イリスが掘り起こした地面を見ると、そこには紋章のようなものが刻まれた真四角の物体があった。
名前:識別番号022‐1
品格:『高位伝説』
種別:ダンジョンアンカー
説明:%#$£によって創り上げられた神の遺物。識別番号022に用意された、魔素を安全に世界へ供給させる為の安全弁。異物の存在により本来の機能が失われており、早期復旧が必要。
★ショウタが直接触れる事で修復が開始される。
「は?」
『プル?』
メッセージの内容を見返したが、内容に変化はなかった。今までこんなメッセージは見た事が無かったが、これも『特殊鑑定』なんていう未知のスキルによる効果か? それとも称号にある『称号:%#$£の###』って奴の結果か。
記載されている文面的にも、製作者が意図して俺にこれを見せているのは明らかだ。だが、ここで触れないという選択肢はないな。俺がこの世界にやって来たのは、恐らくこれが目的なのかもしれない。魔素というのが何かは分からないが、これがきちんと機能していないから困っているに違いない。
となると、さっきの機械が諸悪の根源なのか?
「とりあえず、言われた通りにタッチと」
『ズズズズズ……!』
紋章に触れると突如としてダンジョン全体が揺れ動くのを感じた。地震程度どうってことないが、規模によっては洞窟が崩れ落ちかねないんだが……。ダンジョンだから平気だったりしないか?
そんな風に暢気に考えていると、揺れはすぐに収まった。
「なんだったんだ? ……ん?」
【ダンジョンアンカーが正常に稼働を開始】
【識別番号022‐1の魔素が解き放たれました】
【識別番号022‐1のダンジョンは消失しました】
「おおー」
名前:識別番号022‐1
品格:『高位伝説』
種別:ダンジョンアンカー
説明:%#$£によって創り上げられた遺物。識別番号022に用意された、魔素を安全に世界へ供給させる為の安全弁。現在は正常に稼働している。
これで良さそうだな。
そう思っていると紋章が輝き始めた。
【付近に%#$£の力を確認】
【利用可能なエネルギーの抽出を開始】
そして光が紋章から浮かび上がると、俺の中にするりと入って行った。
【レベルガチャエネルギーを1つ獲得しました】
「んん!?」
レベルガチャエネルギーってなんだ!?
そう思ってガチャの筐体を呼び出したところ、見慣れない項目が追加されていた。
【残存エネルギー:1】
「なんだこれ……? あ、そうだ、『特殊鑑定』!」
ガチャの筐体を見れば、何か情報が……。
名前:%#$£の###
品格:『幻想』
種別:???
説明:世界を渡ったおり一部機能が破損している。ガチャを回すためには、対価となるレベルの他に、特殊なエネルギーが必要となる。
★残存エネルギー:1
「な、なん、だと……!?」
『プル~』
ガチャを回すのにレベルが30も必要と聞いて衝撃を受けたってのに、実はまだ必要な物があったなんて聞いてないぞ。じゃあ、あのままダンジョンなんかに入らずにレベルだけ溜めててもガチャを回せずに絶望してたって事か。
「謎の記号の人物め。やってくれるじゃないか」
『プル~? プルプル?』
「ん、どうした? ああ、謎の記号ってのは、称号とかこのアンカーとやらの製作者の事だな」
『プル! プルプルプル~!』
「……もうちょっとマシな呼び方にならないのかって?」
『プル~』
「んー、そうだなぁ。じゃあ、謎の記号あらため、シンボルマンで」
『プル!? プププル~』
可笑しかったのか、イリスが全身を振るわせて爆笑している。
「ま、シンボルマンの目的はこれで間違いないとは思うが、ガチャを回すためにも各地のダンジョンを潰して回らないとな」
『プル!』
エネルギーもゲットできて、周辺の平和は守られて、レベルも上げられて、金も稼げる。異世界でもダンジョンは最高だな。
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