ガチャ033回目:最初のダンジョンボス?
「さて……『暗視』を覚えたから、これでこっちは更に有利になったぞ、ジェネラル?」
『プルルル~!』
『グギャゲ……!』
ジェネラルは顔を歪ませた。それでも奴は尚も立とうとしない。
なんでだ? その椅子に何かあるのか?
名前:識別番号022‐1α
品格:なし
種別:ダンジョンオブジェクト
説明:識別番号022を支配する存在のみが座る事を許された特別なオブジェクト。このオブジェクトを使用中のみダンジョンは稼働し、魔素からモンスターが生成される。オブジェクトから離れると、また使用開始するまでモンスターの生成は停止する。
「ははーん、なるほどなぁ」
『プルン?』
「どうやら、あの椅子に座っていないとモンスターが生まれてこないらしいぞ。モンスターの生産を止めるという事は、自陣営の強化を止めるという事を意味する。だから奴は迂闊にあの場を離れられなかったんだ」
『プル~ン!』
そして俺の計算が正しければ、もうそろそろ本日俺が目撃する中では第三陣のゴブリンが湧いてくるはずだ。先程の集団は、ここで生まれたばかりの奴などではなく、ジェネラルの護衛のために残されていた戦力だろう。
もしその読みが当たっていた場合、通常のゴブリンを護衛の組み合わせに混ぜる必要があるってことは、集落の方の戦力はまだ整っていない可能性が高いな。
『プル? プルルン?』
イリスが触手を伸ばし、ジェネラルを指差した。倒さないのかって言ってるんだろうな。
「いや、どうせ湧くんなら湧かせてからジェネラルを倒そうかなーって。経験値もアイテムも惜しいし」
『プル~。プルプルル』
今度は後ろを指差して、洞窟の外を指差した。
……ああ~、何を心配してるのか分かったぞ。
「もしかして、第二陣の連中が来ない事を向こうの連中が気付いて、増援を贈ってこないかの心配か?」
『プル~! プルル!』
「確かにそうだな……。ここから集落まで3キロだ。もし中間地点で待ち合わせをしていたと仮定した場合、本来連中がそこに到着するのに20分から30分あれば事足りる。連中を撃破してもうそれくらいの時間は経過したし、様子見で部隊の一部がこっちに来ていてもおかしくは無いか」
『プル!』
この後奥の探索やら、装備の剥ぎ取り、ついでに魔石の抽出とやる事は山積みなのだ。連中に邪魔されたらかなわんな。
「よし、予定変更だ。さっさと倒そう」
『ゲギャギャギャ!』
そう決意すると同時に、ジェネラルは高らかに笑いその場から立ち上がった。
ということは、そういうことだろう。
『ゲギャ?』
『グギャギャ!』
『ゲギャア!』
・ゴブリンLv3
・ゴブリンLv3
・ファイターゴブリンLv4
・スピアゴブリンLv5
・レンジャーゴブリンLv6
*****
名前:スピアゴブリン
レベル:5
腕力:19
器用:24
頑丈:13
俊敏:10
魔力:3
知力:3
運:なし
【Pスキル】槍の心得Lv1
装備:鉄の槍、レザーアーマー
*****
名前:レンジャーゴブリン
レベル:6
腕力:17
器用:24
頑丈:11
俊敏:22
魔力:4
知力:5
運:なし
【Aスキル】追跡者
装備:鉄の短剣、レザーアーマー
*****
ふむ、まあさっきよりは弱いな。だが、奥の暗闇から生まれたばかりのためか、状況判断ができていないらしく混乱していた。そして奴らはまだ闇に目が慣れていないらしく、周りも良く見えていないらしい。
そう判断した俺は即座にイリスを掴み上げ、ジェネラルに向けて放り投げた。
『プルーン!』
『ゲギャ!?』
ジェネラルはイリスに任せ、俺は新手の連中に向かって突撃する。
「おら!」
『ギャア!』
本来ならジェネラルが奴らの指揮を執り、俺達と戦わせてその隙に始末する算段だったのだろうが、指示が無ければこんな奴ら烏合の衆だ。盛大に正面のファイターを斬り捨ててしまえば、後はもう混乱でバラバラに動き始めた。こうなれば後は容易い。
「そらそら! これで終わり!」
『斬ッ!』
『ゴキンッ!』
【レベルアップ】
【レベルが10から12に上昇しました】
【識別番号022の機能が一時的に停止しました】
逃げ回っていた最後のゴブリンを斬り捨てると同時に、ジェネラルの首が折れる音が聞こえた。鋼鉄の全身装備を身に着けていても、イリスは自由自在に自身の粘度を変更できる。隙間が空いていれば後は容易い。
まあ、イリスが伸ばせる身体の総量にも限度はあるから、ホブみたいな巨体相手では首を絞めたり顔全体を覆って窒息させるまでには至らないようだが。それでも、通常サイズのゴブリンにはほぼほぼ完封できるのは強みだよな。
「イリス、お疲れ!」
『プル~!』
「とりあえず魔石だけは最優先で回収しようか。他の装備は一旦後回しだ」
『プルプル』
そうして2人で協力してジェネラルから装備を剥ぎ取り、胸を裂いて左胸をゴソゴソする。すると、心臓のすぐ近くに見慣れた宝石が存在し、持ち上げてみるとそれは赤く輝く魔石だった。
名前:小魔石
品格:『希少』
種別:エネルギー結晶体
説明:モンスターが幾度も魔素を食らい続けた事で体内に生成した魔素の塊。これを備えたモンスターはより強力な力を得る。
「おおー」
『プルル~ン』
魔石は地球でも鑑定した事はあったが、こんな説明文じゃなかったな。地球の魔石とこっちの魔石は別物という事だろうか。謎は深まるばかりだが、今はこの奥の探索が優先だな。
後続が来る前に、ダンジョンの奥がどうなっているかだけでも確認するか!
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