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ガチャ021回目:戦利品の確認

「おおっ!?」


 敵を倒したらスキルを獲得した!?

 いや、タイミングからして撃破が条件ではない……か? ホブゴブリンは『体術』も『剣の心得』も持っていなかったしな。

 ……てことは、レベルアップによるもの? いや、あのオッサンの反応からして、弱くてもスキルを持ってる奴は持っていそうな反応だった。

 となると考えられるのは、スキルの獲得条件には特定の動きが出来る事の第一条件と、最低ラインのステータス参照があると見るべきか。

 そうであれば分かりやすいんだがなー。獲得したスキルも、初期の中の初期だし。ステータスが満たせれば、動きの模倣さえなんとかマスターできていればスキルがバンバン増えてくれるというのは、『レベルガチャ』の存在に次ぐレベルのグッドニュースではあるんだがな……。

 あと、何だかんだで痛みが消えてるな。この世界におけるレベルアップの恩恵って、体力と魔力の回復だけじゃなくて、外傷と内傷にも対応してくれるのかな。世界が違えば常識も違うとはよく言うが、なんて便利な。


「はぁ~、にしても疲れた。スキルのゲットは大きいけど、あんだけ苦労して、レベルの上昇は5から8かよ。やってらんねぇな~……」

『プル~! プルプル!』


 大の字になって倒れると、イリスが喜びを全身で表しながら転がって来た。


『プル? プルル?』

「ああ、怪我は大丈夫だ。レベルアップと同時に治ったみたいだからな」

『プル~~??』

「ん? なんて?」


 今何を言われたか分からなかったが、心配をしてくれている事だけは分かった。


『プル……』

「悪いな、分からなくて」


 落ち込むイリスを抱き寄せ、撫でてあげる。そうしていると、イリスはいつもの調子を取り戻した。

 そして今度は分かりやすく触手を伸ばして説明してくれる。


『プル! プルルル! プルルン!』

「ああ、そうだな。戦利品の確認に入ろう」


 立ち上がりホブゴブリンの死体を確認する。落ちているのは斧と……。

 いや、斧だけだな。他のドロップ品は何も無さそうだ。やっぱりダンジョンじゃないから、自動的にアイテムが出現したりすることは無いって事か。そしてそれはスキルオーブも同じと。……これは、本格的にスキルの獲得は敵から奪う物じゃない可能性が出てきたな。いや、俺の『運』が足りないだけかもしれないけどさ。

 でもハッキリしたことが1つだけある。つまるところ、ドロップアイテムなんてものはこの世界ではほとんど幻想のようなもので、直接手に持っている武器や腰に下げた袋なんかが無ければ、解体して得られる物だけが獲得物となり得るわけだ。

 ……てことは、動物系のモンスターでもない限り、素材系アイテムの獲得は望めないということだろうか。向こうでもゴブリン族なんて、素材系統のドロップはまるで無かった気がするしなぁ……。


「……なあイリス。ホブゴブリンって、今日見た図鑑に載ってたか?」

『プル? ……プルル』

「載ってなかったよな~。となれば、こいつの心臓とかそういう臓器類が素材になるかも不明で、その上あの分厚い筋肉を解体するのは……」

『プル……。プル~』

「日が暮れそうだよな。……いや、実際傾きかけてないか?」

『プルル!?』


 太陽の位置が、だいぶ視界の端に寄って行ってる。探索やら戦闘やらで、ちょっと時間を掛け過ぎたか。


「よし、解体は諦めよう。んで、もし冒険者ギルドで他に獲得できるアイテムの存在が明るみになったら、明日にまたここに来て、その時になっても新鮮で原型を留めていた場合に限り、解体を実行しよう」

『プルルルン!』


 期待はできないけどな。宿で寝てる時、夜中は別に寒くも無かったし。


「んじゃ荷物を纏めて……あ、そうだ」


 俺は足元に転がっている斧を見た。


 名称:錆びた鉄の伐採斧

 品格:≪普通≫ノーマル

 種別:両手斧

 武器レベル:5(-2)

 説明:錆びてしまい本来の輝きを失った伐採斧。刃こぼれしているため、武器レベルと共に威力も低下している。本来は林業に使うものだが、武器としても利用可能。


「イリス、念のためこの斧と短剣一本だけ研磨しておいてくれるか? 帰りに遭遇した時のために使える武器が欲しい」

『プル!』


 そうして研磨され出てきた斧は以下のように変化していた。


 名称:磨かれた鉄の伐採斧

 品格:≪普通≫ノーマル

 種別:両手斧

 武器レベル:9(+2)

 説明:特殊な手段で磨き上げられた伐採斧。刃こぼれ一つなく美しく磨かれており、その輝きは人を惹きつけ、本来以上の切れ味を誇る。本来は林業に使うものだが、武器としても利用可能。


 てかこれ、木こり用の斧だったのかよ。これでフルスイングしたら雑魚ゴブリンなんて一網打尽だろうな。扱う為の『腕力』はそれなりに必要だろうけど。

 ……うん軽く持ってみたが無理だこれ。身体に縛り付けて背負うのがやっとだな。


「よし、走るぞ!」

『プル~!』


 さて、獣道に入った以上、多少よそ見しても問題はないはずだ。最悪イリスが見てくれてるしな。ステータスチェックっと。


*****

名前:天地 翔太

年齢:17

レベル:9

腕力:12

器用:12

頑丈:12

俊敏:12

魔力:10

知力:10

運:16


(ユニーク)スキル】レベルガチャEX、特殊鑑定Lv1、異世界言語理解Lv2

(パッシブ)スキル】体術Lv1、剣の心得Lv1

(スペシャル)スキル】次元跳躍


称号:%#$£の###

*****


「おー。しっかしいつみても、スキルが増えるというのは良いものだよなぁ」

『プルプル!』

「まあ、そのうちスキル欄が大混雑して訳がわからんことになるんだけど」

『プル~』


 しかし、最初は心得が来たか。となると、本物の『剣術』に至るにはそれなりのステータスだったり他の条件が必要になったりするかもしれないな。しかし扱ってたのは短剣なんだが、やっぱりその辺に区分は向こうと変わらないのか。

 短剣でも片手剣でも両手剣でも、なんなら曲刀でも竹刀であろうと、剣になりうるものは全て剣術の影響を受けるから、もしかしたらこの世界では一番取得がしやすいスキルかもしれない。


「あ、そうだ。イリスも強くなったか見せてくれよ」

『プル~!』


*****

名前:イリス

存在位格:『普通(ノーマル)

コア:極小魔石


レベル:9

腕力:70

器用:70

頑丈:70

俊敏:70

魔力:70

知力:70

運:なし


(アーツ)スキル】チャージアタック、悪食Lv1

(マジック)スキル】魔力回復Lv1

(スペシャル)スキル】形状変化Lv2

*****


「おお、さっき突撃したからかな。『チャージアタック』と『形状変化Lv2』を覚えてるじゃないか」

『プル? プル~ン!』


 この反応からして、イリスは自分がスキルを覚えた事も知覚できないのか。ステータスも分かってないみたいだし、これからはこまめに見てやらないとな。

読者の皆様へ


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