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ガチャ017回目:微々たる成長

『ゴーンゴーン!』


 遠くで鐘の音が聞こえてくる。そういや、昨日もそんなのがあったような? あんまり気にも留めてなかったけど、夕方頃に宿に泊まった時も鳴ってたような気がするな。


「ショウタくん、お腹空いたでしょ? せっかくだからうちの食堂で好きな物食べて行きなさい。勉強を頑張ったご褒美に奢ってあげるわ」

「良いんですか!? あ、でも、俺結構食べるし……」

『(プルプル!)』

「安心して。食事代は経費で落とすから♪」

「そういうことなら……。あ、外でも食べたいので、食べ歩きできる食べ物とかもありますか?」

「勿論あるわよ」

「やった! ありがとうございます!」

『(プルプルプル!)』


 流石に、人の目がそこら中にある中でイリスに食べさせるわけにはいかないからな。食べ歩き用の食事を持ち運び用の袋に放り込んで、そこにイリスを入れて食べさせるか。

 そうして食堂へとやって来た俺は、パスタっぽい何かを食べる事にした。この世界、思ってた以上に文明は進んでいるようで、今のところ食事に対する不満はほとんどなかった。米が無いのは辛いが、ギリギリ許容できないこともない。なんていったって、ここは異世界だしな……。


「……2人前で、大体500グラムくらいか?」

『(プル?)』

「イリスも今食べちゃうか?」

『(プル!)』


 足の隙間に袋を置き、そこに持ち帰り用のサンドイッチ2人前と、イリスを投入する。あとは食事が終わったタイミングで回収しよう。

 さて、飯だ飯だ。ガツガツと食べ進めながら周囲の様子を確認する。今注文した料理はどっちも1人前で大銅貨1枚。つまり宿の食事の2倍もするわけだ。冒険者が集う場所で経営してる訳だから割高なのか、あの宿がリーズナブルなのかはわからないが、これを経費で落としてくれるなんてありがたい話だ。

 食べてる最中、グレインのおっさんが何か言いたげにこちらを見ていたが、すぐにどっかに行ってしまった。何か用事でもあったのだろうか? まあ良いか。あの人に絡まれても面倒なだけだしな。

 とにかく、今日は昼からの行動だ。朝から行動する連中とは違って有効時間が半分しかないから、飯を喰ったらちゃっちゃと目的を果たそう。

 最終的な目標は魔王や神の支配地域に入って情報を集める事。そしてそれを可能とするくらい強くなることではあるが、その為にも宿代と日々の食事代くらいは自分で何とかできるくらいには、自給自足を整えたいところだな。あと借金返済も。


『(プル~)』

「お、食べ終わったか。美味かったか?」

『(プル!)』


 上機嫌にプルプルしてるし、多分美味かったんだろう。今度俺も注文して食ってみるか。当然、俺の金でな。

 そんな事を考えつつも、片手で残りの麺を頬張りつつ、もう片方の手は袋に突っ込みイリスを撫でる。しばらくそうしていると、満足した彼はそのまま服の中へと戻って行った。


「よし、ごちそうさま。んじゃ片付けたら、南の森に再出発だな」

『(プルル!)』



◇◇◇◇◇◇◇◇



「お、少年。元気そうだな!」

「あ、こんにちはザインさん。おかげさまで冒険者になれました!」


 小走りで門を通っていると、この世界の第一村人こと最初に優しくしてくれたザインさんと遭遇した。というか、彼は基本ここの担当なんだから、遭遇も何もここを通るたびに顔を合わせる事になりそうだな。


「それはよかった。もう昼だが、これから冒険か?」

「はい。ミランダさんに色々と教えてもらったので、これからちょっと実践してきたいと思います」

「そうか、頑張れよ! 時間には気をつけてな。日が暮れそうになったら帰って来るんだぞ」

「はい、行ってきます!」


 そうして俺は再び駆けて行く。昨日よりはまだ早い時間だからか、目の前の街道には片手で数えられる程度だが人の姿があった。どこからかやって来た馬車が1台に、森の手前で話し合う冒険者らしき姿。

 この南側の門から見て左右にはちょっと行ったところに森があり、南へまっすぐ進む街道を進めば森にぶつかる。そして街道はそこから左右に分岐しており、東に逸れれば例の神の一柱が支配するエリアで、西に逸れればまた別の国があるらしいが……まあ、そこは今はどうでもいいかな。

 今回の目的地は、街道が二又に別れているその奥だ。奥には森があり、そここそが俺が目覚めた場所なのだ。


「よし、到着」

『プル!』


 人気も無くなったので、イリスも飛び出て来た。ここからは2人で行動開始だ。


「あ、そういや俺はレベルアップしたけど、イリスって結局変化あったのか?」

『プル~? プルプル』

「自分じゃよく分からんって言った?」

『プル! プルプル!』


 ぐにゅーっと身体の一部を直上に伸ばして、頷くように動いてみせた。

 器用に頷くなぁお前も。


「まあ俺が直接視ればいいか」


*****

名前:イリス

存在位格:『普通(ノーマル)

コア:極小魔石


レベル:3

腕力:40

器用:40

頑丈:40

俊敏:40

魔力:40

知力:40

運:なし


(アーツ)スキル】悪食Lv1

(マジック)スキル】魔力回復Lv1

(スペシャル)スキル】形状変化Lv1

*****


「お、ちゃんと成長してるじゃん。成長率は5もあるし、一般的な地球人の成長率より低いかもだけど、俺の成長率に比べれば圧倒的に高いのがまた何ともだな」

『プル~!!』

「でもこれ、レベルが上がれば魔石は成長するのかな?」

『プル~? プルプルル?? プルルル!』

「……うん、何言ってるか分からん」

『プルン……』


 通じなかったのがショックだったのか、へにょっとなってしまった。この辺は言葉が分かるようになるまでの辛抱だな。


「ま、魔石が小さくても一緒にいられることに変わりはないし、そこは気にしないで行こうぜ」

『プル!』


 さて、雑談はそろそろ切り上げて、探索を開始するか。


「よし、今回の目標は、ゴブリンと薬効のあるアイテムだ!」

『プル~!』

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