その56 みんなもミニシアターに行こう!
じゃあ……定番ですが、私は『呪いの映画』の話をさせていただきますね。
一応、これから語ることはいわゆる『業務上の秘密』ってやつなんで、この場限りの話にしてほしいんですが(笑)
まぁ、『呪いの映画』です。まずはそれがどんな映画かってところから説明しましょうか。
タイトルまではさすがにちょっと言えないんですが………まず、製作と公開は2000年代です。アメリカで大々的に公開されたアクション映画で、今では誰でも知ってる有名なあの俳優もわき役で出てます。
知名度でいったら、"誰もが知る有名作ではないけど、映画ファンならまず知ってる"くらいの作品ですかね。
ストーリーは………まぁホント、他の映画でも100回は見たぞって感じのやつです。"引退して静かな生活を送っていた元軍人が、ちょっとしたきっかけで犯罪組織とひとり戦うことになる"ってやつです。こんなストーリーの映画、たくさん思いつくでしょ?
観た人からの評価もまぁべつに……可もなく不可もなくです。なんというか、正解ではないけど不正解じゃないよねというか、面白くはないけどそこまでつまらないわけじゃないみたいな。
ん? ………あ、そうですそうです。
この映画、べつに見ても観客は死にません。普通に映画館で上映されてもなにも悪いことはないです。
じゃあなんで呪いの映画なのかっていうと………。
不思議なことに、この映画のフィルムが日本の映画館で上映されるとですね。その地域の治安がちょっと良くなるんですよね。
具体的に言うと、その地域に拠点をおくヤクザとか暴力団とか半グレとか、そういう組織がなぜか壊滅します。
死ぬんですよ、そいつら。
ヤクザの事務所とかが、まるでカチコミ受けたみたいに死体の山になるんです。でも調べても他の事務所がそういうことをやった証拠は全然出ない。
まるで、アクション映画の主人公がやったみたいにね。
分かりました?
この『呪いの映画』、上映されると、どうやら主人公が現実に現れて、手近な反社のアジトを壊滅させてくれるみたいなんですよ。
………今、"えっめっちゃ便利じゃんそれ!"って思いました?
いや本当! まさにそのとおりで!
だからこの映画、ときどきリバイバル上映してるんですよ。
その地域の治安が悪化してきたころに。
………誰がリバイバル上映を企画してるのかって?
警察です。
私、企画担当でしたよ。だから知ってるんです。
まぁ実際は警察がこんなことしてるのがバレると、逆にこの映画の性質を悪い人たちに利用されてしまいますから、ダミー会社をいくつかはさみますがね。
とにかく便利な映画ですよ。
反社の人たちは山ほど死ぬし。
葬儀屋も花屋も儲かるし。
デメリットは、そのときだけ殺人事件の発生件数が増えるから、一部の人がすごく忙しくなるくらいですかね(笑) 一応不審死扱いなんで、かたちだけでも捜査しなきゃいけないんで(笑)
でもまぁ、反社団体のクズなんか、死んでも誰も気にしませんし。
むしろ死んだら喜ぶ人のほうが多いっていうか。
環境や家庭のせいでそういう道以外選べなかった人も中にはいるんでしょうが、まぁ運が悪かったと思って諦めてほしいですね。
あなたもさっき、"便利"って思ったでしょう?
………秘密にしてくださいね。
あとは……この映画、さっき言ったとおり、あんまり面白くないんで、地元にある小さいミニシアターとかでしかやれないんですよね。そんなに客足伸びないから。
だから、たまには大型のシネコンとかじゃなく、地元の小さな映画館にも、足を運んでくれるとうれしいです!




