1. 憧れの異世界……?
初投稿です
俺は、どうなったのだろうか。
目の前が真っ暗になって、何があったっけ。
確か、アニメイトに行くために家を出て、そして………
ああ、そうだ、俺はトラックに跳ねられて死んだのか。
ああ、意識が遠のいていく………
せめて死ぬなら寿命で死にたかったな―――
そう、俺は死んだのだ、なのになぜだろう。
目が開けられる、それに体だってある。
少し頑丈そうな服を着ている、まるでこの世界にないもののようだ。少なくとも現代の日本にはなかった。
いや、コスプレ用ならあるのかもしれないが。
それに、周りの景色もいつもと違う。なんだここ、森の中か?
いや、俺は森になんてでかけた覚えはない。そもそもこんな森日本にあるのか?
やけに神秘的だ、いるだけで落ち着く。もうここに住み着いていたいくらいだ。
そんなことしないけど。いやだって、水も食料もなにもないんだ。どうやって暮せばいいのか。
なんか手に剣が握ってある。これで動物かなんか倒せば食料は確保できるかな?
水は水源でも探そう、この森なら川くらいあるだろ。そう思いながら歩くこと数分、目の前に生き物の影が見えた。なんか変な雰囲気があるがその影を除いてみる。
「うおっ、何だこいつ!」
目の前にいたのは人型で緑色の生き物。なんか見たことがあるぞ、これはあれだな、俺がよく読んでた異世界ものの本によく出てくるゴブリンというやつではないか。
もしかして俺、トラックに跳ねられて異世界に転生した?
そういう展開はフィクションだけだと思っていたが、まさか実現するんだな。
いや、感心してる場合ではないか、ゴブリンが今にも襲ってきそうだ。とりあえずこの剣で切りつけてみる。
「えいっ」
一撃だった、剣の性能がいいのか、ゴブリンが弱すぎるのかわからないが、これなら問題なく生活できそうだな。流石にこいつの肉を食う気にはならないけど。
そして、ゴブリンを倒しながら進んでいくこと数十分、ようやく森から出ることができた。
目の前には広い草原と大きい壁のようなもの、よく見たら壁の奥に街が見えてきた。
そこそこ長かった、とりあえずあそこの街に向かおう、この森はまた後で来るとでもしよう。
とかまあウッキウキで街に向かっていったら看板が見えてきた。よくわからない文字で書いてあるからなんて読むのかはわからないが多分町の名前だろう。とりあえず近くにいた人にこの町の名前を聞いてみる。
「おーい!」
近くにいた大人の男性がこっちに気づいた、見た目は結構強そうだ、いかつい鎧もしている。ここが異世界って推測するなら冒険者かな?
そして、町の名前を聞いてみる。
「この町の名前はなんですか?」
すると男は首を傾げた、最初はこの男も町の名前がわからないのかと思ったがそうだったらわからないとでも返すはずだ。そして男はこういった。
「%!&<!$=@$!」
なんて言ってるのか全くわからなかった、流石になにか喋ってはいたが俺には解読できない。おそらく、異世界語だ。
いや、たしかにここは異世界だけどさ、だからって言語まで変えなくてもいいんじゃないかな?
俺の読んでた本だと大体は日本語で通じてたんだけど、それか通訳やら翻訳やらなんか不思議な力が働いてもいいんじゃないかな?
だけどそんなものは一切存在しない。そして俺の頭に浮かんだ一言。
それは、詰み。
あのままトラックにはねられて死ぬよりは良かったのかもしれない、ただ急に回りにモンスターがいる中、街にも言葉が通じる人がいないのだ。
例えるなら、英語わかんないのにアメリカに飛ばされた感じかな?
いや、こっちはもっとひどい。
アメリカでも多少は分かってくれる人がいるだろう。それに英語を知らないとはいってももはや日本に浸透した英語なんてものも存在するはずだ。
だが俺のいるこの世界にはそんなもの存在しない。どこの言葉かわからないから何を言えば伝わるのかわからない。それどころかあっちの言っている言葉もわからないので完全に手詰まりである。
ああ、憧れてた異世界だと言うのに。
俺の異世界生活は早々に詰んでしまったようです。