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悪霊だった私が異世界で女神になるまで  作者: 卯双誉人
第1章 異世界幽霊
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第7話 精霊使いは不遇職?

 地下三階層は地下四階層と似た雰囲気だった。違いは壁の色がやや茶色い位だ。

 構造は網の目状に通路が走っている。

 通路を進むと、ドブの様な色の獣が現れた。


「ルーコさん、あれはビッグラットです!」

『うわっ。でっかいネズミだな』


 中型犬位の大きさのネズミが四匹集まってきた。

 

「ヂュアーーーッ!」


 鼠にしては野太い鳴き声を上げながら向かってくる。

 ルーコはビッグラットの集団の中に飛び込んだ。ルーコは物理ダメージを受けないので果敢に向かっていく。

 そして、すぐさまダーククロウで乱れ裂きにする。ビッグラット達がぶつ切りにされて散乱した。


「わぁー、一瞬でしたね!」

『これくらいなら朝飯前だな』

「えっ。幽霊ってご飯食べるんですか?」

『いや……慣用句っていうか。そういう表現はこっちの世界には無いのか?』


 朝飯の前に済ませるくらい簡単な事だとルーコは説明する。


「ああ、そういう意味なんですね」


 そう言うとフィーラはビッグラットの死骸に駆け寄り、魔石を取り出していった。更に尻尾や牙を切り取った。

 これらも何かしらのアイテムの素材になるのだろう。

 この階層ではビッグラットとポイズンスライム、時々ホーンラビットが出てきた。

 出現と同時にルーコが瞬殺し、フィーラが速やかに素材採取をする。

 そういった感じで、さほど時間も掛からずに地下二階層へ到達した。

 地下二階層は洞窟のようだった。暗いのだが、どこからか光が漏れているのか少しだけ先が見える。うっすらとだが鍾乳石のようなものが確認できた。 


『ここには照明道具は無いんだな』

「ここは横に幅広い洞窟でして、壁までが遠いんです。所々には設置されてるんですが、灯りがあっても遠いのでぼんやりしてますね。

 大きな池で足場が遮られていて壁まで歩いていけない箇所も多いので、そんな感じなんです。

 なので、ここはウィルポンくんの出番ですね」


 フィーラはウィルポンを召喚した。

 ウィルポンが出現し、呪文を唱えると光の玉が出現すると辺りが見える程度に明るくなった。


『へえ、何気に精霊使いって万能じゃないのか?』

「えへへ。精霊使いは攻撃からサポートまで、使役する精霊次第で色々こなせる職業なんですが、たいていは小精霊しか使役出来ないので不遇職扱いされますね……」

『何で、小精霊しか使役出来ないんだ?』

「小精霊は結構、色んな所に沢山いるんですが、中精霊レベルになると数が少なくなるし、出会えても中々契約してくれなかったりするんです」


 精霊使いの強さは精霊次第という事らしいが、強い精霊を使役できている精霊使いは多くないらしい。


「あっ。早速魔物がいるよ!」


 チルリーが指差した。すると青っぽい色の粘液状のモンスターがいた。


『ポイズンスライムか……?』

「いえ、あれは普通のスライムです」

『倒し方は一緒だよな』


 ルーコはスライムをあっさり倒した。手ごたえが全くない。

 緊張感もなく進んでいく。すると、大きいぬめっとした物体が目に入った。

 微かに動いている。


『ん? なんだあの気持ち悪いのは?』

「あれはビッグスラッグですね」


 大きなナメクジ風のモンスターだった。

 頭部の下辺り、首ではないが首に相当する部位当たりから触手が伸びている。


「ビッグスラッグもルーコさんからすれば強敵ではないと思いますが、あれは魔法を使いますので気を付けてください!」


 フィーラが忠告する。

 ビッグスラッグは動作が遅いが口の辺りから水の玉を吐き出した。


『水の玉か。でも、水も効かないよな』

「ルーコさん、それ魔法ですよ!」


 ルーコは避けずにいた。すり抜けるだろう……と思ったのだ。

 フィーラの忠告が少し遅かった。と言うよりは、水の玉の飛ぶ速度は思いのほか速かった。

 

『ぐはっ!』


 ルーコの腹の辺りに衝撃が走って、水玉が弾けた。


「あれはウォーターボールという魔法です!」

『魔法だったのかよ!?』


 しまった。油断していた。しかし、ダメージはそこまで高くない。小学生の投げたゴムボールくらいの衝撃だ。まともに喰らったので、痛かったが……。

 水ではあるが、魔法によって作られた水は魔力を帯びている。

 霊体であっても魔力による攻撃は効くうようだ。


『ちっ。クソナメクジが!』


 ルーコの足元から炎が地面を走っていく。ビッグスラッグに到達すると全身を燃やした。


「アビャアアアアアアアアアアアッ!」


 断末魔の叫びを上げながらビッグスラッグは蒸発するように消えていった。

 フィーラはビッグスラッグの乾いた体液の中から青く光る石を拾った。

 魔石はモンスターの種類、属性などによって色や大きさが異なるらしい。


『ああ、そうだ。地下二階層からはフィーラが先陣を切って戦うんだったな』

「えっ。本当にやらせるんですか?」

『私はマジだ』

「分かりました。この辺りからなら何とかなると思います」


 フィーラがウィルポンとグラッシーを召喚し、何体かのビッグスラッグを倒して進み、地下一階に到着した。ここをクリアすれば地上に戻れるらしい。あと少しだ。

 外はどういった雰囲気なのだろうとルーコは地上に思いを馳せた。

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