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悪霊だった私が異世界で女神になるまで  作者: 卯双誉人
第1章 異世界幽霊
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第12話 ギルドでの乱闘騒ぎ

 冒険者たちが戦闘態勢になっていた。

 ルーコは鑑定スキルを使って冒険者たちの強さを見てみる事にした。

 冒険者たちの前にステータスが見えた。魔導士もそれなりの人数がいる。

 幽霊なので魔法にさえ気を付ければ良い。

 怒りの中でもルーコは妙に冷静だった。

 早速、戦士風の冒険者が剣で斬りかかってきた。しかし、すり抜ける。


「くそっ! やはり物理攻撃は効かないか」

「ちょっとー! 神様から認められた精霊候補だよー。

 攻撃したらダメだよー!」


 チルリーが羽をばたつかせ、頬を膨らました。

 しかし、冒険者たちは聞く耳を持っていない。


「フフフ。じゃあ、魔法はどうです?」


 魔導士風の冒険者が数名、ほぼ同時に魔法を放ってきた。


「ウィンドカッター!」

「ファイアボール!」

「アイスアロー!」


 これは当たるとマズイ。ルーコは素早く避けた。

 風の刃が壁を切り裂き、炎の弾が椅子を燃やし、氷の矢が窓ガラスを割った。


「いやぁぁぁ!」


 フィーラは蹲って頭を手で抱えていた。


「きゃー!」

 

 チルリーも悲鳴を上げながら、ぴゅーと逃げて柱の陰に隠れた。

 ルーコは避けたつもりでいたが、少しだけ魔法を喰らったようだった。

 生きていた時の生身の痛みに比べれば大した事は無かったが、ちりちりと痺れるような感覚がある。

 幽霊も死ぬのだろうかと、頭を過ぎる。

 この世界では幽霊にもHPが存在する。HPは生命力を表しており、0になると死ぬらしい。おそらく、この世界では幽霊も例外では無いのだろう。

 幽霊としての死を経験したことが無いのでルーコには分からないが、HPが0になるのは避けようと考えた。


「ホーリーラッシュ!」


 魔導士風の女が光の散弾を飛ばしてくる。

 散弾なので全部は避けきれない。数発が身体を直撃して貫通した。


「ぎゃああああっ!」


 つい叫んでしまった。これは結構痛かった。焼けるような痛みだ。

 他の魔法よりも効いている実感があったのだ。

 どうやら、闇属性のルーコには光の魔法はよく効くらしい。

 戦士風の男が剣を構えて迫ってきた。剣は効かないから大丈夫……。

 と思ったがよく見てみると、剣が炎を纏っていた。

 もしかして、あれも魔法では――?

 一瞬の判断で避けたが、少しだけ掠った。ビリっとした。ダメージが通ったのだ。

 魔法剣とでも言うのだろうか。

 相手は複数で避け続けるのも無理がある。ルーコは反撃することにした。

 ルーコは腕を伸ばし、両手のダークハンドを手当たり次第に振り回した。


「ぎゃっ!」

「うわっ!」

「いてっ!」


 数人の冒険者に攻撃が当たった。


「くそおおっ! あいつだ。あの女を殺れば、ゴーストも大人しくなるはずだ!」


 フィーラの事をネクロマンサーと誤解した男が槍を構えてフィーラへと向かっていった。

 まずい。フィーラが狙われてしまった。

 ルーコはダークブレイドを男に向かって飛ばした。

 黒い刃が男の手首辺りへと飛んでいく。

 ぽとり、と男の両手首が床に落ちた。同時に切断された槍の柄の一部もガタンと音を立てて落ちる。


「えっ……。ギャ……ぎゃああああああああああああああああああっ!

 手が……、俺の手がぁぁぁ……!」


 手首から血を噴き出し、男は絶叫しながら膝から崩れ落ちた。


「ガッソン……! ガッソンがやられた!」

「あの闇魔法はヤバいぞ……」

「あいつの弱点は多分、光魔法だ! 光魔法が撃てる奴は一斉に撃て!」

「ライトボール!」

「ライトアロー!」


 冒険者たちが戦慄しながらも、更に殺気を高めてルーコへと魔法攻撃を放ってきた。


「ダークブレイド!」


 私はダークブレイドを魔法を撃ってくる者たちへ向けて連発した。

 複数の黒い刃が冒険者たちの首や胴体、手足などを斬り落としていった。

 魔導士に向けて撃ったが、その背後にいた者たちにも刃は届いた。

 ギルド内に死体と肉塊が転がり、血の海となっていた。

 自分でやった事なのだが、その血生臭い光景にルーコは目を背けた。


「ちょ、ちょっと! 冒険者が何人も……。うちのギルドにとって大損害よ……!」


 受付の女性が青ざめていた。


「まだ、やるか?」


 ルーコは生き残っている冒険者たちに睨みをきかせた。

 冒険者たちは金縛りにあったように動かなかった。

 この時、ルーコの中でレベルアップやらスキルレベルアップやら、新スキル取得やらのアナウンスがあった。

 ルーコはステータスを確認してみる。


[ステータス]

名前:ルーコ 状態:普通

種族:ダークスピリット 魔法属性:闇・炎

神霊階級:精霊見習い

LV:27 HP:265/318 MP:297/394

力:70 体力:318 賢さ:355 速さ:232

攻撃力:108 防御力:144 魔力:458 信仰値:2

特殊スキル:言語翻訳(元の世界の言葉・文字をこの世界の言葉・文字に自動で翻訳する)、経験値二倍、成長速度二倍、鑑定眼LV10、異空間収納LV10、拳聖LV1

通常スキル:念動力LV3、金縛りLV5、死の呪い[十四日]LV6(十四日後に死ぬ)、解呪LV1、憑依LV3、幻覚眼LV5、怒りの炎LV1、気配察知LV3、暗黒手腕ダークハンドLV3、暗黒刃ダークブレイドLV2、暗黒呪縛ダークバインドLV1

種族スキル:念話

【創造神の加護】


 なるほど。確かに色々と上がっているし、新しいスキルもある。

 HPやMPも多少減っているが、問題無さそうだ。

 と、その時、ギルドマスターのドドルガスが柄の長い大きなハンマーを振り下ろしてきた。

 しかも、その斧は青白い光を纏っていた。その光は雷のようだった。


「おりゃああああああああああああぁぁぁぁ!」


 ルーコは間一髪で直撃を避ける。しかし、ハンマーは床を砕き、木片と同時に雷撃が辺りに弾け飛んだ。

 電撃はルーコの身体を少しだけ掠っていた。光の魔法に比べると痛みは少ない。だが、直撃したら斧の力と合わさって大ダメージを喰らうだろうと思われた。


「ったく、ギルドを滅茶苦茶にしてくれやがって。

 俺を怒らせたからにはただじゃ済ませねえぞ?」


 ドドルガスは怒気を孕んだ笑みを浮かべた。

  

「おおおっ!!

 すげえっ! 雷槌いかづちのドドルガス!!」

「さすが、元Aランク!」


 冒険者たちから歓声が上がった。

 ギルドマスターの地位は伊達じゃないようだ。彼からは他の冒険者の比にならない程の強さを感じた。

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