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03話 街『フーリエ』

 重い腰を上げ、歩き出す。


 今度は、太陽のある方向に、向かうことにした。

 向かうことにした──といっても、フィールが探知魔法で、近くの町を見つけてくれたから。

 その方向に向かっているだけ。

 これで、もう道に迷う心配はない。


 後は、体力がもつか持たないかの勝負だけだ。


 それにしても、さっき思い出したが、すっかり探知魔法のことを忘れていた。

 さっさと探知魔法を使っていれば、すぐに合流できたし。

 何なら町にも行けていたのに・・・。

 俺の落ち度だ。

 反省反省。


 これからの教訓にするアーサー。

 


 ちなみに、今向かっている町は、フィール曰くここから馬を走らせ、15分ほどだそうだ。

 馬の速さを知らないから、あんまりわからないが、30分ぐらいで着くだろうか。

 早く着くに越したことはない。

 頼むぞ、近くの町。

 近くであってくれ。

 早く、この状況から解放されたい。



 というのも、今歩いているのは、当然森の中で・・・。


 そりゃもう、森さんありがとうございますよ。

 いつも、いつも俺の体を、あの禍々しい日差しから守ってくれて。

 でも、もうそろそろ十分かな・・・?


 と、心の中で独り言をぶつぶつとつぶやいている。


 思ったところで、何かが変わるわけではないのはわかっている。

 それが、強い口調であろうと、優しい口調であろうと。


 安心しろ。

 気を紛らわせているだけだ。

 決して頭が狂ったわけではない。

 まだ、俺は正常だ。


 常に自分を肯定し続けるアーサー。

 そうでもしないと、本当に頭が狂ってしまう。

 同じ景色、同じ匂い、同じ環境で、もう何日も過ごしているんだ。

 そりゃ、いやになってくるわ。

 

 森に対して、恐怖心を覚えつつあるアーサー。

 森恐怖症とかに、ならないといいが。

 いやもう森恐怖症になっているんじゃないか?


 実際この森のせいで、足が折れそうなんだ。

 大丈夫か。俺の足?

 あとちょっとだから、耐えてくれよ。


 まあ、疾っくの疾うに足の限界を迎えたのは事実。

 足も、少しでも休められればいいんだけど、また魔物に襲われる恐れもあるから、そういうわけにもいかず。


 2人は、ただひたすらに、歩き続ける。


---


 ついに。

 ついに街が見えてきた。 

 やっとだ。

 この瞬間をどれだけ待ち望んだか。


 さっきまでは、30分で着くだろとか考えていたのに・・・。

 そんな生易しい、考えは叶うことはなかった。


 30分?──何が30分だ???

 ここまで1時間半もかかってるよ。

 3倍って!?


 そんなに馬って、早いんだ。

 すごいな。


 って感心してる場合かっ!!

 どんだけ、時間かかってんだよ・・・。

 いくら、疲れで、歩幅が小さくなったからって、長すぎだろ。

 

 1時間半前の俺に言ってやりてぇ。

 馬鹿ばかバカ。

 無能むのうムノウ。


 でも、町が近づいてきているのは立派な事実。

 それに関しては、喜ばしいことだ。


 そして思考の中心を、苛立(いらだ)ちから期待へと移す。


---


 街の、辺りに着いた。

 どんな街だろうか?

 商業の盛んな街? それとも冒険者のギルド活動の盛んな街?


 俺は、後者であることを望む。

 冒険者のギルド活動が盛んということは、即ち、冒険者が多いというわけだ。

 つまり、その冒険者たちに神の信仰を広めればテラとの約束も果たせる。


 ついでに、冒険者になってちょっとばかし俺も暴れてみたい。

 そしたら、人気者になれるかなぁ。


 人気になったら、権力を手にして、金を手にして。

 そして、女を手にして。

 えへ。


 ニヤリと気持ち悪い笑みがこぼれている。

 実に、不愉快。


 いけない。いけない。

 あんなに勢いよく、テラに神の自覚があるだのないだの言っておいて。

 実際、人間になってみたら、こんなことを考えてしまうなんて。

 俺も言えたもんじゃないな。


 それとも、これは人間特有の感情なのか。

 人間はこんなに、いやらしいことを常に考えてしまうのか?

 オレニンゲンコワイシワカラナイ。


 神から人間になって、数日。

 このことを含め、一部に過ぎないが、色々と分かってきた。


 神だった時出来たはずの、創造が使えなくなったり。

 現代魔法も使えなかったり。


 おそらく、神だった時に出来た、神特有の能力は人間になって使えなくなり、その代わりに、人間特有のことが出来るようになったと(でも、現代魔法が使えないのはいまだ謎)。

 といっても、神にできなくて、人間にできることなんて言っても。


 んー――。

 んんー―――?

 んー――?


 ないな。


 たかが人間のできることなんて、神もできるに決まってる。

 人間が習得できるなら、神だって習得できるし。

 第一、基本的な能力はすべてにおいて、人間より高いんだから。


 でも、()いて言うならば、生まれつきのものぐらいだが。


 と、考えに考え出した結果として。

 感情や考え方だと思ったわけだ。


 無論、神だった時の記憶は残っているし、すべての、感情が人間として支配されているわけではない。

 でも自分で考えても、その一部が自分の考えじゃない気がすることがたまにあった(特にエロいこと!!)。

 そういうことなのだろう。

 まあ、人間特有の感情なんてものがあるのかは置いといて・・・。


 そんなことを考えながら、町の検問の列に並ぶ。

 フィールについていきながら。


 石造りでがっちりとした、城壁に囲まれたこの町は、フーリエという街らしい。

 看板に書いてあった。

 

 遥かに高い城壁の上には等間隔に騎士が配置されている。

 城壁の上には、多くの馬がいるのが見える。

 どうやって、そんなところまで運んだのかはわからないが、馬がないと移動できない程、町の外周は広いんだろう。



 検問は、大きな門の中心を境に壁を隔て、右と左で分けて行われる。

 右は、検問官が2人で、街に入ってくる一人ずつの荷物をみっちりと調べあげる。

 荷物の中から、服のポケットまで。

 稀にいる怪しい人は、服の下まで。(もちろん下着もね)


 左側は、右側とは雰囲気が全く持って異なる。

 街の旗だろうか。

 そんなものが飾られ、右にいる検問官とは比べ物にならないほどの、綺麗で、身なりの整った服装を着た検問官が4人。

 律儀に直立している。

 検問官というより、兵隊という言葉の方が似合っている。

 フィールとはまた違った無表情をする、その検問官たち。

 優しさと、親切さを含むような無表情だ。


 そんな、対照的な2つの検問所。

 右より左の方がスペースは広いし、誰も並んでいないところを見ると、貴族とか王族とか専用の検問所なんだろう。

 もちろん、俺たちが並んでいるのは右側だ。


 右側の検問所には、いくらかの列ができている。

 アーサーたちは一番後ろ。


 アーサー達の前には、14人並んでいる。

 その並んでいる14人は、全員一人(ソロ)でだ。

 俺たちは2人で並んでいるけど、そういうのは案外珍しい物なのだろうか。

 

「あんた、冒険者か?」

「え? は、はい」


 アーサーの一つ前に並んでた男が、話しかけてきた。

 暇つぶしにもちょうどよかったので、会話に乗る。


 見た目は、60ぐらいだが、それを感じさせない程の、鍛え上げられた筋肉。

 それに似合う焼けた肌。

 薄いシャツ一枚に、短パン一枚。

 今日みたいに、晴れた日にはぴったりの服装だ。


 そして、何よりも目立つのが、このやたらとでかい荷物。

 背中には、今にもこぼれそうな程の荷物をしょい、右手も同じような量の荷物を。

 怪しい雰囲気を醸し出しているこの男・・・。


 もしかして、人身売買?

 その大きな荷物の、中には子供が?


 と、思いながらも会話を続ける。


「あなたは?」

「ああ、俺はちょっと前までは冒険者やってたんだけどな。今はもうやめて旅人になったんだ──それにしても、こんな町で冒険者やるなんて珍しいな、お前さん」


 なんだ。

 人身売買じゃないのか。

 良かった良かった。

 その大きな荷物は、旅に必要な日用品とかだろう。

 

 にしても、珍しいとはどういうことだろう。 

 この町は、冒険者があんまりいないとか?


「え? どうしてですか?」

「あんた知らないのか?」


そういうと、このおじさんは、表情を一層険しくし、話し始める。


「この町は、王都が『光の町』と呼ばれるのに対して、『闇の町』って呼ばれてるんだ。

 実際この町は治安が最悪に悪い。

 殺人も、窃盗も、強姦も。何をしたって捕まらない。

 捕まえる人がいないからな。

 それでも、この町の周りには高く売れる魔物がたくさんいるから、高レベルの冒険者がこぞって集まってくるんだ。

 それによって、実力格差が生じる。

 そして高ランク者のクエストで、たまりにたまったストレスが犯罪という形で発散される。

 負の連鎖が起こってるんだ」

「そうなんですか・・・」

「まあ、あんたも気をつけろよ」

「ありがとうございます」


 この事実を聞きアーサーは愕然(がくぜん)とした。

 そんなことには、興味を示さず今までの通りの沈黙を貫くフィール。

 一切驚いていなかった。

 まるで、この事実を知っていたかのように。


 どうしようか。

 ここがこんな町だったなんて。


 今からでも行先を変えようか。

 でももう、体力も体の各部位も限界を迎えている。

 今から行先を変えることこそ、即ち死を意味する。

 次の町に行こうとしたところで、絶対に途中の道で力尽きる。

 今生きているだけでも奇跡なのだから。


 当然アーサーはそのことにも気づいている。

 だが、この町に入るということにも死の可能性がある。



 さあ、どうしたものかと・・・。

 

 フィールはこの町に入るようだった。

 てか、フィールってこの街出身なのか?


 まあでも、友達が、一緒にいるのであれば問題はないだろう。

 1人と、2人では安心感に歴然(れきぜん)の差があるから。


 と、迷いに迷ったがこの町に入ることを決めた。


 くぅ・・・。

 仕方ないけど、この町に入ることにしよう。


 この町に入ることを望んでいないことは明確だ。

「はぁ」と、一回深いため息をつく。


 この街に、入ることを決めたアーサーは自分の番を待つ。


---


「次の人―」

「はい」

 俺の番が回ってきた。


「君荷物は何も持ってないの?」

 ついに自分たちだと、意気込んでいると、水を差すように言ってきた。

 後ろには、もう数えられない程並んでいる。


 ちなみに、フィールは俺の一つ前で確認され、難なくオッケーだった。

 でも、亜空間魔法の中はチェックされなかったし。

 案外ゆるゆるだった。

 

 検問官はフィールが荷物を持ってないことに不信感を覚えてはいたが、冒険者カードを見てすぐに通した。


 検問官としては、早く終わらせたい気持ちでいっぱいなんだろう。


「え?──は、はい」

 そんな検問官の気持ちを察したアーサーもすぐに答えた。


「じゃあ、何か身分を証明するものは持ってる?」

 これはあれだ。

 冒険者カードを出せといっているのだ。


 でも、もちろんそんな物は持っているわけもなく。

 無言でいる。


 今のアーサーは、身分証を持ってなければ、武器も持ってない。

 検問官から見たら、”不審者”そのものであった。


 やばい。

 そうだよな。

 普通何の武器も持たないで狩りに行く人なんていなよな。

 それに身分を証明するものもない。

 どうしよう。

 このまま何も言わなかったら、間違えなく捕らえられてしまう。

 何か答えないと。


 何を言うか定まってないまま、定まらない何かをしゃべり始める。


「あ、あの──」

 するとアーサーが話している途中で、それを遮るように検問官の一人がしゃべる。


「──もしかして、お前、盗賊に襲われたのか?」

「え?──は、はい。そうなんですよー。4人組の男たちに持ってるもの全部取られてしまって・・・。はは」


 何とも都合のいい話が流れ込んできた。

 もちろんアーサーはその話に乗った。

 苦笑いを浮かべながら話を合わせる。


「またか。これで今年に入って何人目だ」

「ほんと例年に比べて今年は多いな。お前、俺についてこい」


 とまあ、嘘はばれなかったようで。

 俺は、無事(?)検問を通ることが出来た。


 しかし、検問官が向かう先は検問を抜けフィールの待つ方ではなかった。

 検問の真横にある城壁の中へとつながる、扉へ向かっていく。


 俺はすかさず、フィールの方を向くが、特に何も変わらない。

 フィールは無表情で、こちらを向いてくるだけだ。

 特に、俺や検問官に干渉することはない。


 そうして、どうにもならないまま城壁のへと入っていく。

 幾許(いくばく)か、城壁の中を歩いて、正面に現れた外へとつながる扉を通る。

 出た先は、検問所ではなかった。

 おそらくこれは、街の中だろう。

 

 木造の古民家らしきものが数軒。

 道を挟んで、反対側にはレンガ造りの立派な建物が規則正しく(たたず)む。

 扉は、道に直結しており、扉を出れば、右に古民家。左にレンガ造りの建物が建つ。

 この道には、ところどころに花や木が植えられており景観がいい。


 そして、まだ検問官についていくと、俺は古民家の方に案内された。

 中でも、二階建ての古民家だ。

 一階の向かって一番左の部屋。

 そこの部屋のカギを開けてくれて、そのカギを渡される。


「ここにいられるのは3日後までだからな。それまでには、金をためて自分で泊まる場所を見つけろよ」

とそう言い、さっきの扉の中へ戻っていく。


「ありがとうございます」

 俺は一応、聞こえたか聞こえないかわからないぐらいの声量でお礼をした。


 欲を言うなら、レンガ造りの家の方がよかった。

 古民家なら、一階建ての方がよかったし、二階建てならまだ二階の方がよかった。

 二階建ての一階とか絶対にうるさいだろ。

 

(騒音反対!!)


 そういう面では、最悪な物件だ。


 不平不満を垂らしながら家の中へと入る。


---


 部屋にはベッドにタンス、そして机が置いてある。

 ドアの反対側には、窓もついている。

 大きめの大人一人がやっとの思いで通ることが出来そうな大きさ。

 少し小さめのアーサーは、余裕で通れる。


 この大きさだったら、問題はないな。

 燃えてもすぐに、逃げられる。

 安心安心。


 一個フラグがたった。

 アーサーはそのことには気づかなかったが・・・。


 木で出来た、ベットは、骨組みの上に薄いタオルが一枚置かれているだけで、いつ折れてもおかしくない。

 タンスと、机も木造。

 タンスは、引き出しが縦に四つ、丸い取っ手がついている。

 妙にしっくりくるこの取っ手。


 大きさでいうと、女性の乳ぐらいの大きさか。

 個人差はあるが、俗にちょっと大きいといわれるぐらいの。

 ああ──だからしっくりくるのか。


 一度も触ったことはないのに、この取っ手へ愛着が沸く童貞。


 いけないいけない。

 また気持ち悪いところが出てしまった。

 気を付けないと・・・。


 そして、問題は机だ。

 立っても、座っても微妙に高さが合わない。

 というか、椅子がないし。

 机を用意するなら、椅子も用意してくれ!!


 また不平不満。


 部屋は6畳ほどの大きさだ。

 全身伸ばして、横になるには十分すぎるほどの広さ。

 それでも、既存の家具が置かれて、自由に使えるスペースは半分の3畳ほど。

 それに、新たに家具を買って、置くようであれば、もう自由に使えるスペースはほとんどない。


 それを考えたら狭く感じるかもしれないが、無料だ。

 タダだ。

 十分すぎるだろう。


 ちなみに、ここは、盗賊に襲われたり、住む場所がなくなった人に王族が貸し出している宿だそうだ。

 外の看板に書いてあった。


 ●ライム荘

 ●所有者:政府

 ●利用者:家無し

 ●目的:家無しの安全確保

 どうぞごゆっくり。


 とか書いてあった。親切にも。

 ライム荘というのか、この家の名前は。

 3日間お世話になるんだし名前ぐらい覚えておこう。


 元々犯罪が多かったこの町だが、今年は例年に比べて盗賊の出没が多くなったそうだ。

 さっき、一緒に歩いてきた検問官にこの町の色々な事を教えてもらった。

 

 この町に入るときに、『闇の町』って呼ばれてるなんて聞いたから、どんな町かと思ったが、結構いい町だな。

 まだはっきりはわからないが、序盤にふさわしい町って感じだ。


 それにしても、フィールのことが気がかりだ。

 検問所で顔を見合わせたのを最後に、あっていない。


 俺はフィールに嘘をついてしまっていたのだ。

 冒険者じゃないのに、冒険者だといってしまった。

 申し訳ないことをしてしまった。


 フィールも、馬鹿ではない。

 というか、相当頭がいい(と思う)。

 頭の回転が速いし、すぐに行動もできる。

 だから、身分を証明できなかった時点で、気づいているだろう。


 そのことに、落ち込んでしまっただろうか。

 本当に、申し訳ない。


---


 それにしても、流石に、今日は疲れたな。

 まあ、今日というかここしばらくだが・・・。

 とりあえず横になろう。


 何かと言って、ちゃんとしたベットで寝るのは初だ。

 神の時も含めて。


 ベットが折れないかと、ひやひやしながらベットに腰を下ろす。

 そして、折れないことを確認して全身を乗せる。


 良かった。

 折れなかった。


 安堵に、目を(つむ)り呼吸を整えると、間もなく深い眠りについた。


---


「コケコッコーー-」


 絵に描いたような鶏の鳴き声があたりに響く。

 壁の薄いこの部屋にも当然それは聞こえる。

 そして、それがこの狭い部屋の中で反響しあって、より一層うるさいくなる。


 鶏が鳴いている。

 もう朝か。

 起きないと。

 

 と思うのも、これが三度目。


 一度目は、初めての睡眠だからもう一回ぐらいいいだろと。

 二度目は、あとちょっとだけと。


 すでに、二度寝をした時点からは5時間がたつ。

 でも、そんな記憶は残っておらず、一切気にすることはない。


 まあでも、あれだけ歩き回って疲れがたまっていないわけないし、仕方のないことであろう。


 そして、今回も。


 いやぁ。

 頭が痛いから、もうちょっとだけ寝よう。

 一回ぐらいなら大丈夫だろ。


 前回の記憶は飛んでいる。

 だから、常に「次は、次は」と言って、寝てしまう。

 これが負の連鎖というやつだ。


 ちなみに当然、頭などいたくない。

 自分を正当化するための、嘘だ。

 こういうことに関しては、頭が回るのに・・・。


---


 そして、そんな連鎖が続き、ついに丸一日がたった。


「コケコッコーー-」


 昨日と同じ光景。

 だが、今のアーサーにとっては初めて見る光景。


 はぁ。

 起きたくないなぁ。

 でも、もう朝だ。

 起きないと。


 と、やっと起きた。

 時間にして、一日と12時間。


 人間の俺って、朝に弱いのか。

 神の時なんて一回も寝たことなかったから、わからなかったなぁ。

 これでまた一個人間になって学んだな。


 自身が、思ってる以上に朝に弱いことをアーサーは知らない。

 そして、ぴったり自分が12時間ほどで起きたと思っているアーサー。


 きちんと、起きれたことを称賛しよう。

 よくやった俺。


 思いっきりの感違いだが、ここまで堂々としていると、逆に晴れ晴れしい。

 この事実にアーサーが気づくことはあるのだろうか・・・?


 目を覚ましてすぐ。

 頭が回転しない時間だ。


 安定に、おなかはすいていないから、朝ごはんを食べようという思考には至らない。

 これといって、食べる場所があるわけでもないが。

 

 何か行動を起こさないと、また寝ちゃいそうだ。

 2度寝だけは、駄目だ。


 と、何度もしていることにも気づかずに、戒める。


 案外、睡眠時の記憶は残らないものだ。

 例に、アーサーは何にも覚えていない。

 間抜け姿だ。


 

 何も考えずに窓の外を見ると、こちらに微笑んでくる太陽が見える。

 

 今日は快晴だな。

 こんなに晴れた日は外に出たくなるな。


 そうだ!

 冒険者ギルドに行って、冒険者登録をすることにしよう。


面白かったら、ブックマーク、評価よろしくお願いします!!

読んでくださりありがとうございました。

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