なんのこっちゃ
「博士!天候制御装置、失敗です!」
立野くんが嵐に吹き飛ばされそうになりながら叫んだ。
「ううむ、こうなったら、アレしかない」
「アレってなんですか?」
「召喚術、出でよ魔王!」
博士がステッキで描いた魔法陣が怪しく輝いた。
ラーラララー。
女声のコーラスのような音楽が流れて、魔法陣の中央に巨大な魔王が出現した。
「ワシを呼び出したのは誰だ」
「立野くんです」
「でええ!違うぅ!」
「何の用だ」
「だから、違うってば!」
魔王は立野くんの方に気を取られていたが、博士が魔王のマントに魔法陣を描いた。
ピカー。
魔王の背中から光と共に天使が現れた。
魔王と天使は睨み合い、掴み合った。
「魔王さん、魔王さん」
「なんだ」
しゅうううう、スポン。
博士の持っている瓢箪に魔王は吸い込まれ、博士は瓢箪に詮をした。
魔王と一緒に悪天候の雲も全部吸い込まれた。
天使の頭上の輪っかの光が太陽を呼び寄せた。
白い雲間から天使の梯子が地上に降りた。
「科学の勝利じゃ」
博士がそう言って微笑んだ。
立野くんは、瓢箪と行き場をなくした天使を見て、これどーすんだ、と頭を抱えた。