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028 腐った根性、私が叩き直ーす!

 あれから、どのくらい時間が経ったのだろう。何だか外が騒がしくて、気が付いた。

 えーっと、もう、三日三晩くらい経ったのかな?

 ていうか、寝てた!

 暇すぎ。

 やる事ない。


 スマートフォンの灯りを付けた。画面に浮かび上がる時間・・・・えっと、閉じ込められたのが五時前だったから、今、午後八時。三時間しか経ってないじゃん!

 でもその間、ずっと寝てたんだ、私。寝過ぎか!(一人ツッコミ)


 それよりさあー、放置?

 ひどくない?

 普通、獲得した獲物がどうなったか、確認くらいするでしょーが!

 もしかして忘れ去られてる?

 ひどくない?(二回目)



 あのクソガキをどうやって懲らしめようかな――と思っていたら、ガアン、ガアン、と扉を叩く大きな音がした。

 欠伸をしていた時だったから、そのままびくーって身体が縮こまっちゃったよ!



『美緒っ、美緒っ! 中にいるのかっ! 大丈夫かっ!? 返事をしてくれ!!』



 中松さんの声だ!



 

「へっ、平気です!」


 大丈夫だよー、と間抜けな声を上げるのだけは辛うじて堪え、ドキドキしながら次の展開を待った。


『今開けてやるから! もう少しだけ待ってろっ!』


 扉が中松さんの手によって開けられた。外の灯りと共に仁王立ちになった彼のシルエットが浮かび上がる。


「美緒!!」


 私の姿を認識した中松さんが駆け寄ってくれて、ぎゅうーっと抱きしめてくれた。「無事だったんだな」


 うわーあ。ラッキー! 中松さんに本気のぎゅーってしてもらっちゃったー!

 閉じ込められて最高のご褒美が待っているなんて!

 神様ありがとう!


「は、はい。閉じ込められただけで、怪我はありません」


 ていうか、寝てたし。


 

「良かった」


 中松さん・・・・戻らない私を心配して、ずっと探してくれたんだ。

 ここを突き止めたってコトは、白雪お嬢から聞き出したんだよね。もしかして、鬼に豹変した?

 怖かっただろうなぁー。お嬢。ふふっ。ざまあみろ。


 でも、こんな事やって平然としているクソガキが赦せない。この私が直々に指導してやるんだから!


「心配かけてごめんなさい。何ともありませんから」


「でも、怖かっただろう。こんなに震えて」


 欠伸のせいで目じりに浮かんだ涙を、そっと拭ってくれる中松さんの指、尊い。

 しかも震えているように見えるのは、中松さんが扉をガンガン叩くからびっくりしただけ。

 その上、今まで寝てたって言ったら、怒るかな。



「一矢様も、美緒の家族も心配している。さあ、帰ろう」



 中松さんに肩を抱かれ、そのまま屋敷を去った。

 それにしても白雪お嬢・・・・このままじゃすまさないよっ!

 中松さんからのぎゅーは最高だったし、お嬢のおかげだからそこは感謝だけど。


 腐った根性、私が叩き直ーす!

 明日の朝、今度こそ『たのもー!』で五条の屋敷に乗り込むわよおおお――!!



 

数ある作品の中から、この作品を見つけ、お読み下さりありがとうございます。




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