表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

13/46

013 完敗・・・・です。

 肩の筋肉もがっしりと雄々しくセクシーだし、やっぱ好き。何とか勝負に勝って、ニセじゃなくて本物の彼氏になって貰わなきゃ!!

 とりあえず土下座させて、私に忠誠を誓わせる、と。



 私は颯爽と彼に近づいた。「どう? これでしっかり見える――」



 その瞬間、ふわっと身体が浮いたと思ったら、彼の腕に守られた状態でお風呂場の床に押し倒された。



「これって、どこまで契約に含まれてんの?」



 ナヌ!?

 契約!?

 どゆこと!?



 事の成り行きが飲み込めなくてパニックになっていると、鋭い目線の鬼頭が私の耳元で囁いた!


「契約じゃないなら、こんな格好で男の前に来るなんて、お前、バカだろ」


 ふおおっ。


「バカとは何よ! これは契約じゃなくて、セクシー抗争のタイマン勝負・・・・あっ」


 耳を甘噛みされたかと思ったら、更に熱い吐息交じりでヤツは囁いてくる。「こうやって俺に襲われたいのか?」



 ぎええええー。襲われたいけど、今は勝ちたいいいいーっ。



 


「――っ、そうよ!」



 負けたくないので、強気発言で反撃してみた。どうだ、コラ。

 鬼頭め、早く観念しろぉ!

 参りました、美緒様の美しさ(セクシーさでも何でもいい)には勝てましぇん、欲情してしまいますぅー、って言え!

 じゃないと、身体が持ちそうにない!

 この勝負、持久戦は不利だ!!



「物好きだな」



 不敵な笑顔で笑われて、心臓がもげるかと思った。

 また、ずぎゃーん、ってさせられたのだ。

 まずいぞまずいぞまずいぞ・・・・∞(←無限大のマーク)。



 このままじゃ、M・K・R!(まける)



 あたふたしていると、更なる攻撃を受けた。

 わあっ。今のわたわたで、防御が遅れた!


 何と鬼頭の攻撃は、耳攻めだった。ヤツは、耳だけを執拗に攻めて来る。耳の中に舌が這い回り、熱い吐息を吹きかけられ、気のあるそぶりの台詞を吐き続けられ、耳を貪る時にわざと音を立て、卑猥な水音を立て続けに聞かされた。

 言葉攻めというか、なんというか、低音囁き攻めというか、こんなのズルい!

 


 とにかく我慢の限界は、あっという間に超越した。


 

「も・・・・むりぃ。た、助けて・・・・っ――!」


「もうギブアップか? 威勢のいい割に、この程度かよ」


「だ、だってぇっ、耳攻めなんて聞いてなっ・・・・!」


「聞かれなかったし、言ってない。抗争だったら何しても文句言えねーよな?」


 おっしゃるとーり・・・・!


「そう、だけどっ・・・・! や、んんんっ、あ、ふ、ん、も、らめっ・・・・あぁ――っ!」


「降参するか?」


「っ、まだっ・・・・まだっ、まけなっ・・・・あぁ、あん、ああっ」



 のぼせそう。

 ああ、クラクラする――



「そこまでだっ!!」



 その時、お風呂場の入り口で、ばばーん、っていう効果音が似合う登場で、組長が乱入してきた。

 コンパクトビデオカメラで、鬼頭が私に襲い掛かっている――というか耳を弄んでいる図を撮影しているのだ!



 く・・・・組長・・・・。

 今・・・・イイトコなのに、何で来るかな――っ!?


 確かに助けてって言っちゃったけど・・・・あんあん言ってるんだから、空気読んでよ!



 超邪魔なんだけど――――っ!!




 

「中松、この姿は頂けないな。さあ、この動画、バラまかれたくなかったら――」


 ドヤ顔で言う組長に、鬼頭は私から離れてすっと立ち上がり、彼の目の前まで大股で詰め入り、目の笑っていない笑顔を見せて言い放った。


「流したければ、どうぞご自由に。しかし困るのは、一矢様、貴方ですよ」


「なっ・・・・どうしてだ!」


 焦る組長。はい、この時点で負け決定。


「この動画をバラまけば、必ず俺が何処の誰であるかを、こぞって特定にかかるでしょう。そして昨今さっこん、調査をすれば私がこの屋敷に勤めている中松道弘という人物であることは、容易に知られます。その男の背中一面に刺青が入っているとなれば、一矢様が元反社の人間を雇っていたという事が明るみになりますよ。捨てるものの無い俺は別にどうなっても構いませんが、クリーンなイメージで企業を大きくされている三成家にとって、俺は隠すべき存在でございます。それを、自ら公表する等、片腹痛い案件で御座いますね」


 ぐうの音も出ない程に、論破された。

 やっぱ、ポンコツだわ。組長。

 だから鬼頭がいなきゃ、組が回らないんだ。

 

「ビデオカメラ、渡して頂けますね?」


 鬼頭が大きな手のひらを広げた。組長は肩をすくめて黙ってうなずき、持っていたカメラを素直に手渡した。

 いたたまれなくなった組長はひとつ咳ばらいし、邪魔したな、失礼する、と早々に去って行った!(というか逃走?)


 あんの、役立たず!!



「どうする、美緒。まだ勝負する?」



 鬼頭に聞かれた。息が上がってボロボロの私。耳がきゅわーんってなってて、おかしくなっている。もう、ヒットポイント(ライフ)1しか残っていない。これ以上闘ったら、確実に――死ぬ。


「・・・・結構です」


 こんな状態で、鬼に勝てるわけがない。悔しいがここは退いて、出直すしかなさそうだ。


「じゃ、降参って事でいいな?」


「・・・・」


「二言は無いって言ったよな?」


「はい・・・・」


 負けを認めざるを得なかった。

 



 くううううっ――!

 悔しいいいい――――!

 うあああああ――――!



 この屈辱あ”あ”あ”あ”――――っ!!




 絶対勝つつもりだったのにいいいい――――!!




 あああーっ。美緒の任侠物語、組長のせいでハッピーエンドのエンドロールが遠のいたああああ――――!

 鬼頭を討ち取る完璧の映画のエンディングは、どうやったら見れるのよおおお――!



 ヌケ作組長のせいで、完璧勝利する筈だった今回のセクシー抗争は、鬼頭に軍配が上がってしまった。



 あぁ・・・・私も含めて、誰もこの男に勝てる気がしない。



 しかしそこを、勝つのが姐さんクラスになる女!



 次は絶対に勝ってやる!





――今度という今度は、絶っっっ対に負けないんだから!!







 

数ある作品の中から、この作品を見つけ、お読み下さりありがとうございます。




評価・ブックマーク等で応援頂けると幸いですm(__)m




定期更新は、毎日16時の時間帯&ゲリラ更新となります。


固定は毎日16時の時間帯間で更新を必ず行います! よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ