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ダイアナヒョウモンの雫  作者: 桜本 結芽
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第7章 突然の別れ

 桔平を助け出すためマフィアと共に研究施設だった建物に乗り込んだ幸仁、朝姫、ストレの3人は事前に入手した部屋の配置を基に走って行き、現れた敵は幸仁と朝姫が言霊で倒してストレは体術で倒していきひたすら進むと一番奥の部屋に辿り着き朝姫が扉に手をあて、

 『壊れろ』

 と言霊を使い開けると中へ入り目の前でイスに縛り付けられている桔平に気付くと幸仁が、

 「大丈夫か桔平!? 今助けるから待ってろ!!」

 そう言って走り出した時桔平が大きな声で、

 「来なくていい! そこでじっとしてろ‼」

 と必死に言うので幸仁が止まると途端に上から檻が落ちてきて彼らを閉じ込めたので、3人は驚いていると桔平の後ろから忠人が現れ高笑いしながら、

 「バカな言霊使い共だ、ここはプロジェクトの研究拠点だった場所だぞ? 何も仕掛けが無いと思っていたのか⁈ この建物にはいくつもの罠があるんだ、それに加えこの部屋はより強固な仕掛けがあるんだ、飛んで火にいる夏の虫とはこのことだな‼」

 そう叫ぶと背後にあるレバーに近付き下すと大きなスピーカーのようなものが現れ、部屋全体に音波を流すと幸仁達が耳を塞ぎ苦しみだしたので、桔平は彼を大声で呼び縛られているイスから抜け出ようともがくがどうする事も出来ず忠人を睨みつけながら、

 「皆に何したんだよ、父さん‼」

 と叫ぶように尋ねると忠人は桔平に冷たい視線を向け、

 「今彼らの脳にとある周波を叩き込んでいるんだ、これは言霊使いにしか効かない音波だから我々には一切影響しない……素晴らしいだろ?」

 そう言って恐ろしい笑みを浮かべていたので桔平は血の気が引いた顔で父を見ていると幸仁達が気を失い倒れたので忠人はレバーを上げ音波を止めると、

 「さて、再び実験をしようではないか……一孝、彼等をあの場所まで運べ」

 と指示を出すと彼は深く一礼をしてから、

 「かしこまりました」

 そう言い幸仁達に近付き右足を踏み鳴らすと床がスロープのようになり、3人が滑り落ちて行くので桔平は絶望の余りい言葉を失っていると、突然一孝にイスごと持ち上げられさらに驚いていると銃声が近付いて来た次の瞬間、アカネグサのボス優奈が顔を見せたと同時に忠人達3人は緊急脱出用エレベーターで部屋を出た。


 そして忠人を逃した優奈は地団太を踏みながら、

 「くそっ! 我々を愚弄しやがって! あの男、幸仁の友人を連れていた……でも彼らがこの場にいないとなれば何かあったのかもしれない、急ごう!!」

 と言って部屋を出ると先程別れた玲央と利香と合流して状況を説明すると、彼等は忠人が向かったであろう場所を考え数分ほどすると地下室が有力となり、かかって来る敵を倒しながら急いで地下室へ向かい数十分かけて前までたどり着くが、とても頑丈な扉にてこずりさらに数分かけて開けると中は仄暗く、懐中電灯だけで辺りを照らしながら入って行くと突然部屋全体の灯りがつき目が光に慣れるまで手で隠していたが、しばらくして手を降ろすと目の前にベッドに縛り付けられている幸仁達が寝かされていたので驚いていると忠人が横から現れ邪な笑みを浮かべながら、

 「よくここにいると分かったなぁ? 汚れたマフィアどもめ」

 そう言っていたので優奈は歯ぎしりしてから、

 「黙れ外道が! 汚れているのは貴様だろう⁈ 彼らを今すぐ開放しろ‼」

 と怒鳴るが忠人は冷笑を浮かべながら、

 「彼らは私の被検体なんだ、すぐに手放す訳がないだろう」

 そう言っていたので優奈は額に青筋を立てながら、

 「ならば力づくで助けるしかないな……!」

 と言い言霊を使うため口を開いた瞬間空気が薄くなり苦しくて首元を掴みながら膝をつくと突然元に戻ったので激しく息をしていると準人と宏二が慌てて近付き身体を支えると優奈は荒い呼吸で、

 「こ、この言霊は……田宮殿か……! なぜそちら側にいるのだ⁈」

 そう暗がりから出てきた一孝を睨みながら言うと彼はフッと笑ってから、

 「私は忠人様の心意気が心底好きなのです、以前の上司とは比べ物にならないほどに……」

 と言いうっとりとしていたので次は玲央が歯ぎしりをしながら、

 「じゃあチャイロモズツグミを出たのもその男の為と言う事ですか?」

 そう悔し気に尋ねると一孝は、

 「そうだね、あの頃はまだ幹部だった玲央がボスの地位に上がったのはさすがに驚いたけれど、それほど勢力が落ちたの言う事かな……」

 と嘲笑を浮かべながら言われたので達治が前に出て来て普段よりも大きな声で、

 「玲央さんを……侮辱するな……!」

 そう言って刀を構え踏み出すと目に見えない速さで走り一気に間合いに入ったのだが、それを上回る速さで横に飛んだ一孝が、

 『空気を薄くしろ』

 と言霊を使ったので苦しくなった達治が膝をつくとそれを見ていた忠人が、

 「一孝、ここにいる言霊使いを全員連れて来なさい、被検体は少しでも多い方が良いからね」

 そう恐ろしい笑みを浮かべて言うと彼は振り返って深く一礼すると、

 「かしこまりました」

 と言って気を失った達治にかけた言霊を解き優奈の元に走り出すが足が滑り膝をつくと、足元に凍った水たまりが出来ていて立つ事もままならない一孝が驚いていると、背後から吹き出す声が聞こえたので顔を向けると幸仁が苦し気な顔で、

 「ざまぁないな……天下のツバメガンが聞いて呆れるよ」

 そう見下した面持ちで言うと一孝は顔を赤くして震えながら言霊を使おうと口を開きかけたが、それと同時に準人が素早い動きで近付くと頬を力強く殴ると部屋の端まで飛んで白目をむいて気絶させると、忠人に近付き凄みを聞かせながら真顔で、

 「彼らを解放しろ」

 と低い声で言うと言うので忠人は顔面蒼白で何度も頷き準人に鍵を渡すと幸仁とストレを降ろし、幸仁が朝姫を降ろすために振り向いて鍵を開け拘束を解いた瞬間、忠人が折り畳みナイフを取り出し止める間もなく幸仁に向かって走り背後から刺すと、苦痛の顔で倒れる彼を忠人を殴って気を失わせたストレが支え何度も呼ぶが反応が無いので、悔し気に顔を歪めていると朝姫が泣きながら駆けつけ何度も呼ぶが何も反応が無い彼を見て、

 「い、いや……幸仁さん! 起きてよ、ねぇ起きて‼」

 そうパニック気味に叫んでいるので桔平が落ち着かせようとするが彼女には届かず、次第に呼吸が浅くなると地鳴りが起きたので危機を感じた一同は地下室を出ることになり、桔平は朝姫を連れて行こうとするが止められ部屋を出た瞬間幸仁が目を覚まし、ストレから離れると落ちて来る瓦礫を避けて朝姫に近付き抱き着くと、

 「大丈夫、俺は大丈夫だから……」

 と囁くとパニックが落ち着いた朝姫が涙を流すと幸仁の傷口に落ちると見る間にふさがって行き驚いていると、2人の間に大きな瓦礫が落ちて来て朝姫の退路が断たれると彼女は諦めたように微笑むと、

 「行ってください、私は大丈夫、ですから」

 そう大声で言うが幸仁は助けようとしているとストレに手を引かれ外に出ると、間もなくして建物が跡形もなく崩れたので幸仁と桔平は絶望の余り膝をついていると遠くからパトカーの音がして、数分後に駆け付けた警察官に忠人と一孝の事とマフィアの事を説明して事情聴取のため警察署に行き、言霊プロジェクトとそれに伴う犠牲についての全てを聞いた警察官は言葉を失った。

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