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ダイアナヒョウモンの雫  作者: 桜本 結芽
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第6章 救出作戦

 幸仁達が店にこもっている時アカネグサのボス倉智 優奈は3大マフィアの集まりである〔協定会〕に出ていて、先日の襲撃に際しチャイロモズツグミのボスと睨み合いをしていると、厳重なセキュリティが施された部屋の大きな扉が激しく叩かれ1人の男が入って来ると、

 「会議中のところ申し訳ありません、通達です! 前チャイロモズツグミのボス様から現ボスの皆様へ……!」

 そう息を切らせて言うのでチャイロモズツグミのボス植村 玲央が冷静な口調で、

 「見せてくれ」

 と言い手紙を受け取ると封を切り中を読んで行くと最後はため息をつき手紙を捨てるかのように机の上に置き、

 「井野薬品の息子が父によって拘束されたそうだ」

 そう言って優奈ともう1つのマフィア、イズヒメエイのボス文野 利香を見回すと静かな声で、

 「さて、どうしようか……井野薬品社長は生まれて間もない実子をプロジェクトチームに売るほどの人物……そんな奴が子息になんの危害も加えないという保証はない、かといって我々が干渉するほどの事でもない」

 と言うとしばらく沈黙が広がりそれを破るように利香が上品に挙手をしてから、

 「私は助けた方が良いかと思いますわ、前々から井野は気に入りませんし、少々痛い目を見ていただくべきですわ」

 そう淡々と言っていたので優奈はニッと笑って、

 「私も同意見だルリハタ殿、それにあの男は我がアカネグサ前ボスの仇なんだ、思う存分痛めつけてやる……!」

 と瞳に炎を宿しながら握った拳を左手に当てて言うので玲央はため息をつくと諦めたような声で、

 「仕方ない、それなら僕も動くしかないな」

 そう言い先ほどとは違う部下に紙とペンを用意させそれで手紙を書くと封筒に入れずっと待っていた手紙を持って来た部下に手渡すと、

 「これを達治に直接渡してくれ」

 と言うと彼は返事をして出て行き数分が経った頃また扉がノックされ達治が入って来て跪くと玲央は頷き真剣な面持ちで、

 「これから井野薬品社長の元へ乗り込む為の作戦を考えるから、お前はこの手紙をヴェーレス様に届けてくれ」

 そう指示を出すと達治は深く頭を下げ、

 「御意!」

 と言って立ち去り残されたボス3人は桔平を救出し彼の父を失脚させるたまの話し合いを始めた。


 その頃桔平は閉じ込められている部屋の中で自分と幸仁とマスターの3人で決めた合言葉がちゃんと伝わっているか心配していると外からしか開かない扉が開き父の忠人が入って来ると、

 「この部屋はどうだ、桔平?」

 そう微笑みながら尋ねると桔平は睨みながら、

 「とても快適です」

 と仏頂面で答えると忠人は邪悪な笑みを浮かべ、

 「それはよかった、まぁあと数日はここにいる予定だから今はくつろぎなさい」

 そう言って部屋を出て行くと残された桔平は焦ったように舌打ちをして、

 「あと数日いる予定って事はその日が来たら僕を消すんだろうな、幸ちゃん達間に合えばいいけど……」

 などと考えてからベッドに横になると天井を見つめながらなにがあっても待つ決意を固め眠った。

 

 それから5日後ストレの言霊を使って見つけた桔平が幽閉されている場所、元言霊プロジェクト研究所の前に朝姫達3人と三大マフィアのボスや幹部、その後ろには黒いスーツを着たマフィア構成員達が立ち並び、目の前にそびえる施設を睨みつけていて優奈が朝姫達に小さな声で、

 「お前達は友の救出に尽力しろ、我々は親玉とその手下を潰す! くれぐれも足を引っ張ってくれるなよ、分かったな?」

 と言って朝姫に目をやると、

 「活躍を大いに期待しているぞダイアナヒョウモン!」

 そう呟くと同時に建物から警報音がけたたましく鳴り響き建物から武装した男達が出てきたので達治が素早い動きで走り出し一気に5人きり倒すとイズヒメエイの幹部石附 朱希が、

 「チャイロモズツグミにばかり手柄を取られるわけには行かないよ、アタイの言霊もあるんだからね! 覚悟しな!!」

 と言うと左手を銃のようにして人差し指を突き出し大きな声で、

 『毒矢よ飛び出せ!』

 そう言って狙いを定めた男数人に毒矢を刺すと彼等は泡を吹いて倒れて行きそれを皮切りに優奈が腕を前に出し、

 「全員、かかれぇ! 歯向かう者は全て血の海に沈めろ!!」

 と叫び構成員が雄たけびを上げ向かって来る男達に銃を撃ち進んで行くのを、朝姫達とマフィアのボスたちが見守りある程度制圧してから利香が笑顔で幸仁に、

 「そろそろよろしくなったんじゃなくて? 私達はもう少ししてから行きますわ」

 そうマフィアのボスとは思えない程澄んだ瞳で言われた彼は一瞬たじろぐが、首を横に振って気を取り直し頷くと朝姫とストレに、

 「行こう!!」

 と言って建物に入って行ったので残された3人は静かに闘志を燃やしながら玲央が優奈に、

 「彼はとても優秀な幹部だったらしいけど、どうして手放したの?」

 そう尋ねると彼女は玲央を見もせず遠くを見ながら、

 「とある方から助言があったのだ、彼を今開放すれば義父の仇を取れるとな……だから私は幸仁をそそのかし痛みつけて野に放った、それが今このように現実となり私は歓喜に満ちているのだ」

 と答えて玲央と利香に目をやると冷静だがどこか落ち着かない声で、

 「なので邪魔をしてくれるなよ……奴は私が始末する!」

 そう最後は殺気を込めて言っていたので玲央は唾を飲み込むといつもの笑顔で、

 「しかたないですね、あいつを痛めつける役目は君に譲るとしましょう、それでいいですよねルリハタさん?」

 と尋ねると彼女は大きく頷き、

 「よろしいですわ、私達は不穏分子を取り除く事が出来るだけでよしといたします」

 そう穏やかな口調で言うと玲央は頷き建物に目を移して、

 「でもそろそろ僕達も行こうか……悪の親玉を倒しに!」

 と殺気を放ちながらいつもとは違う表情で後ろを歩く2人も殺気を放ち建物内へ入って行き、向かって来る敵を片っ端から倒していき忠人がいるであろう奥の部屋へゆっくりと進んで行った。

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