配下が2人出来ました。
信長から路銀を貰った、50貫。
貰ったお金を見て楓が驚いていたので大金なのでしょう。
重過ぎるので異空間収納に入れます。
「楓、半月ほど旅をするけど、これだけで路銀は足りるのか?」
「充分過ぎるほどです。どんな贅沢な旅をするのですか?」
日本円で500万円ぐらいかな?
それだけ使っても良いだけの値打ちがある旅になる予定だけど。
「河野様は何と言っているのだ?」
旅に出る前に、最強の忍び部隊を作る為、河野配下の忍びを数人譲り受けられる様にしてもらった。
「お館様のご命令なれば、お好きなように人を選んでも宜しいとの事です」
「楓、仲の良い者はいるか?」
「生命を預け合う仲になるから、楓が選びなさい」
「同じぐらいの年齢が良いが、こだわるつもりは無い」
「2〜3人かな?」
楓に任せて間違いないだろう。
「あと、河野様に5貫を渡しなさい」
「これからも宜しいお願いしますと伝えて」
楓がウキウキし始めた。
「はい!旦那様、今日中に仲間を連れて参ります」
何か嬉しい事でも有ったのか?
異空間収納から5貫を取り出し、楓に渡した。
重いから気をつけてね。
夕暮れ時に楓が2人の男女を連れてきた。
男の方は18歳ぐらいで背が高く、イケメンだ。
いかにも私は強いですの雰囲気を漂わせていた。
ピンとした背筋から、刀を得意にしていそうだ。
女の方は15歳ぐらいで色黒だけど、綺麗な少女だ。
背は楓より少し低いぐらいで、忍びなりにすらっとしていた。
しかし何故か怯えている。
「四郎と葵です」
「私が河野様配下の時、仲良くしていた者達です」
「恋仲で将来を誓い合った2人で、私を強くしてくれた様に強くなれば、旦那様のお役に立てると思います」
楓が早口に捲し立てた。
楓!やったな!
葵は俺がダメ出しをして、別れ離れになるかもしれないと怯えていたのか。
四郎は葵を守れる力があると意思表示していたのか?
この時代においてリヤ充か?
少し意地悪心がムクムクと、
「楓は俺にとって本当に大切な人だから強くしたつもりなのだが」
「この2人も俺が強くしろと?」
横目で楓の顔色を見た。
「2人は私が苦しんでいた時に助けてくれた、私の大切な友なのです」
楓は嘆願するように訴えてきた。
あまり意地悪が過ぎると嫌われるかな?
「河野様の配下なら忍びの心得は少しはあるのだな?」
「はい、四郎も葵も優秀な忍びです!」
楓は強い口調で言った。
俺は楓に向かってにっこりと微笑んで。
「楓の大切な友なら、俺にとっても大切な者達だよな」
「四郎、葵、宜しく頼むぞ」
3人共ほっとしたのか、さっきまであったピリピリしていた雰囲気が無くなった。
まぁ、誰が来ようと経験値200倍で優秀な配下に変えるつもりだったけど。
「三河の松平元康に会いに行く」
「元康は駿府に居るから厳しい旅になるぞ」
楓、四郎、葵に旅の行き先を告げた。
楓との2人旅を考えていたが、四郎、葵の能力チェックを兼ねて4人で行くことにした。
「駿府は織田家と敵対しているから、気をつけて行動するように」
「途中で狩りをしていくが、生き物を捌き、料理に出来る者はいるか?」
「忍びの者であれば、生き物を捌き、食にする術は心得ています」
葵が直ぐに返答した。
有能であるアピール、良い事だ。
「では、料理は葵に任せる」
翌日早朝、駿府に向かうことにした。
街道の道幅は広く、時々行商人らしき者とすれ違う。
賊に襲われるか?とも思っていたが、何事も無く熱田神宮に着いた。
ここで転移魔法を使っても目立たないポイントを探す
「今日はここに泊まる」
「明日から移動の速度を上げるから、今夜はゆっくり休むように」
参拝を済ませ、神宮近くの宿に入った。
「宿に泊まっている行商人から話を聞いたのですが、今川は尾張攻めの準備を着々と進めているとの噂です」
来年の田植えが済んだ頃、今川が攻めてくる予定になっているから食糧、調略を進めているだろう。
「元康の居所についての情報はあるか?」
「義元の屋敷近くに住んでいるとの事です」
「義元は形として隠居していますので、警固は緩いのでは?」
東海一の弓取りと言われ、北条、武田、上杉の諍いの調停が出来るほどの大大名、今川義元。
そんな義元の屋敷に向かう刺客など、何処にもいないだろう。
俺なら暗殺など難しくはないけど、この旅ではやるつもりは無い。
四郎と葵の2人で聞き込みをさせたが、女連れというので警戒されてないみたいだ。
四郎!なかなか優秀だね。
「隣国の領主とはいえ、今川家の人質、松平元康に旦那様がお会いに行く値打ちなど有るのですか?」
楓が不思議に思うのは理解出来るけど。
元康が信長と同盟を結び、最後に征夷大将軍に成るなんて考えられないよな。
「元康は優秀な人物だ」
「織田方に寝返ってもらうのさ」
楓に元康の凄さが解るのは、3年後ぐらいかな?