丹羽が半兵衛の味方になる??
side 竹中半兵衛
「半兵衛様!杏、ただいま戻りました!」
杏は稲葉山城下の半兵衛の屋敷に来ていた。
「大きな声を出すな、驚くじゃないか」
杏は玄関を通らず、塀を登って中庭から会いにきた。
どうしょうもない奴だ。
「良く戻った」
「で、首尾はどうだ?」
「いつ会える?」
私は最悪、杏が殺される事も想定していた。
杏が戻ったということは丹羽との話が上手くいったと判断した。
「丹羽殿は会いたいが、今は会えないとの事です」
何故だ!
1年前に丹羽は突然に菩提山城の私のところに会いに来ている。
その時、話が途中になっているから、この話は丹羽は直ぐに受けると思っていた。
会いたいけど会えない?
「杏、丹羽は何故会えないか理由を言ったのか?」
私に待てと。
丹羽ならば私に揺さぶりを掛けてもおかしくない。
「丹羽殿の屋敷に行ったのですが、屋敷の前に忍びが5~6人ほどいました」
「『離間計』のせいで信長に監視されているらしく」
「美濃に向かう事、半兵衛様に会う事は難しいとの事です」
「私も丹羽に会うのに大変苦労しました」
杏は半兵衛に頭を下げた。
5~6人?そんなに多いのか?
どれほど警戒されているのだ。
丹羽の能力を知っている信長なら不思議な人数ではない。
信長は丹羽に不信感を持っている。
『離間計』は上手くいったみたいだ。
ならば次の戦さで丹羽は本隊にいない。
清洲に留め置かれるだろう。
よし!信長を殺れる!
「分かった。杏、依頼は終了だ」
丹羽を味方にすることも消すことも出来なかったが、私の邪魔をすることは無くなった。
信長がいなくなれば直ぐに味方にすることは出来るだろう。
杏は依頼終了と言ったのにニコニコしていた。
「半兵衛様、依頼が終わっても杏は丹羽の情報を持ってきますので、その時は報酬をいただけないでしょうか?」
まぁ丹羽の情報はこれからも欲しいな。
「丹羽殿から私、依頼を受けています」
「遊びに来なさいと」
遊びが依頼?
「どういう事だ!」
私は杏に怒ってしまった。
「半兵衛様、怒らないで下さい」
「丹羽殿は私に半兵衛様との橋渡しを依頼されました」
「丹羽の人間が半兵衛様に会いに行けないから、話が出来る状況になったなら私を通して日にちを決めて会いたいと言っていました」
「つまり遊びに来れば『小遣い』をあげると」
杏は嬉しそうにしている。
「つまり、丹羽の情報を持って来るから『小遣い』をくれと?」
杏は頷いた。
「丹羽に私や斎藤の情報を流さないなら、情報内容によって報酬を出そう」
丹羽のやる事、考えている事は解らん。
杏を言いくるめて、私に嘘の情報を流して混乱させるつもりか?
丹羽の戦力、丹羽の居場所の客観的情報は私を騙せない。
私に情報が筒抜けになっても良いと?
丹羽は私を味方と考えているのか?
騙すつもりは無いと。
丹羽について深く考えない方が良いかもしれない。
単に丹羽が可愛い杏の事を気に入っただけなのかもしれない。
丹羽を恐れる必要は無いか。
「道三じじい『八咫烏』を知っているか?」
俺は斎藤道三を召喚魔法で呼び出し『八咫烏』の事を聞いてみた。
「お主と新蔵の話は聞いておった」
「すまん、『八咫烏』など聞いたことは無いな」
「お主の事を気づくほどの情報網があるなら、ワシの耳に入ってもおかしくないが……」
「まぁ皇室や公家どもなど金をせびるだけの役立たずだから」
「付き合いたいとも思わぬ」
「金を渡して官職をもらって、それきりだ」
美濃の国司をしていた道三じじいでも『八咫烏』は知らなかった。
「京、山城、大和、河内辺りの国に『八咫烏』は根深く絡んでいるんだろう」
「美濃、尾張辺りは関係ないかもしれん」
道三じじいの言う通り、近畿しか力が及んでいないかもしれない。
ならば南朝があった高野山辺りが『八咫烏』のアジトになるのかな?
敵?の姿が見えない。
「長秀よ、信長の上洛には天皇や公家を利用する予定なのだろう?」
「ならば『八咫烏』と敵対する訳にはいかないな」
「急ぐ必要ではないが……」
仲良くするって事か。
道三じじいの言う通りにするか。
急がず今は美濃国盗りに全力で行こう。
『八咫烏』の事はゆっくりと考えるとしても、味方アピールはしておいた方が良いかもしれない。




