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策略には策略です

「半兵衛が考えた『離間の計』か」

「半兵衛め、嫌な所を()いてきたな」

俺と楓が信長の屋敷に着いて直ぐに信長に会える事になった。

信長の耳にも俺の謀反の噂は届いていた。

「ワシとユージ殿の関係をばらす訳にいかないからな」

「謀反は有り得ないが、民と武将が動揺すると厄介(やっかい)だな」

「さすが戦国一の策略家、竹中半兵衛というところか」

信長の顔がさっきから険しい。

「ユージ殿、どうすれば良いかなぁ」

信長は事の解決を俺に任せるようだ。

確かに目立つ行動をしているのは俺の判断だ。

信長自身、内政、外交と忙しく余計な事に時間が()けないみたいだ。

「俺の家来の忍び、四郎と葵の2人が噂を流している間者を探しています」

「間者を(とら)えて……」

どうするか?

忍びならば首を()ねる?

俺も信長も情報の重要性を知っている。

間者が一流の忍びならば排除しないといけない。

四郎と葵は能力を上げて超一流の忍びになっているから遅れはとらないと思うが。

忍びが自由に動き回られるとアイドルたちに危険が及ぶ。

俺に対して半兵衛がハンパな忍びを使うとは思えない。

「竹中半兵衛に(わか)らせるために間者は殺すしかないでしょう」

「織田信長、丹羽長秀に抵抗するのは無駄だと」

俺は非情な判断を下した。

「そうだな。ユージ殿に任せる」

信長はほっとした顔で答えた。

「わかりました。早急に解決致します」

「そして半兵衛を織田の陣営に引き込むよう動きます」

しかし、(しゃく)だな!

これだけ俺を(あわ)てさせて半兵衛がのうのうとしているが。

ん?(ひらめ)いた!

これはどうだ!

「信長様、どうでしょう。このまま半兵衛の策を利用するのは」

俺は信長に近づき耳元でささやいた。

「信長様が長秀を(うと)んじて………」

「……………1日で終わらせて」

「斎藤軍の後方に…………」

「……………攻め込みます」

真顔だった信長が少しずつ口元がゆるみ、笑い顔に変わっていった。

「ユージ殿、出来るのか?」

信長は俺の顔をじろじろ見つめ(つぶや)いた。

「準備なら出来ていますし、俺の魔法ならやれますよ」

「河尻殿と佐々殿が少し危険になりますが、猛将の2人なら問題無いでしょう」

「その後そのまま一気に稲葉山城を攻め落します?」

俺は笑いながら信長に聞いてみた。

「いや、史実通りに西美濃を調略してからにしよう」

「その方が後々、美濃をまとめるのが楽になる」

「しかし、半兵衛の驚く顔が目に浮かぶようだ。は、は、は」

信長のにやけ顔が止まらない。

「では、まず忍びを(つか)まえますね」

(あせ)っていた事が嘘のように俺はゆっくりした口調で言った。

「まぁ(あせ)る事はないから、ゆっくり探してくれ」

信長の言葉にも余裕が出てきた。

半兵衛、倍返ししてやる!


「長秀様、すみません」

「少し外に出てもらえないでしょうか?」

夜中に四郎が屋敷に戻って、信長の屋敷から帰り寝ていた俺に声を掛けてきた。

四郎は間者を捜しに行っていたが、葵に何か問題でも起こったか?

(あわ)てている様子はないから、葵は問題は無いか。

楓に聞かれたらまずいと?

「楓、少し外に出てくる」

俺は楓に断りを入れ、屋敷の外に出た。

「間者を(とら)えました」

「葵が宿で逃げぬよう(つか)まえてあります」

四郎は屋敷の楓に聞こえぬよう小さな声で言ってきた。

捕まえたか。

葵は強いが葵1人で大丈夫なのか?

まぁ行けば分かるか。

「楓に秘密にする必要があるのか?」

何故屋敷に連れて来ない。

みんな噂に対して心配している。

四郎のこの行動に疑問が多いが、楓だけでも連れて行きたい。

「間者に問題がありまして、長秀様が手討ちになされるのなら、楓さんたちには秘密にした方が良いと葵が言いますので」

何が言いたいか分からないけど、葵がそう考えるのならそれなりの理由があるのだろう。

「分かった。案内してくれ」

俺は四郎に付いて間者のいる宿に向かった。

「ここです」

四郎に言われ宿の部屋に入ると葵と1人の少女が座っていた。

少女は下を向き、めそめそ泣いていた。

顔がよく見えないが雛と同じか年下かもしれない少女だった。

「葵、この子が間者か?」

俺の声が聞こえた筈だが、少女は顔を上げず、下を向いて泣き震えていた。

「この子が『楓神子様と信長様のどちらが偉いの?』とか」

「『楓神子様は神さまの使いなのに何故、信長様に従うの?可笑(おか)しいね』とか」

「『楓神子様が尾張の領主になられたら(うれ)しいな』とか言いふらして」

「目立っていたので、直ぐに見つけることが出来ました」

葵の話を聞けば間者にしては、この子はかなりの素人だな。

たいした事を言っていない。

謀反についても言っていない。

普通に話をしていても、おかしくない内容だ。

半兵衛に教えられて話しているだけだろうが、この話で俺が謀反をしようと考えているという噂になるのか?

半兵衛、恐るべし!

「この子を長秀様が手討ちにすれば、楓さん彩佳さんが動揺するかもと思いまして」

「まだ子供ですから」

「四郎さんに楓さんに秘密にするように私が言いました」

葵、良い判断だ!

「私、殺されるの?」

「半兵衛様は丹羽様は優しいから許してくれる。心配無いと言われたのに……」

「助けてください。お願いします」

少女は何度も床に頭をつけて、必死に助けを求めている。

「清洲に行ってこの話をするだけで500文くれるって」

「お父ちゃんお母ちゃんに親孝行出来るって」

少女は床に頭をつけて泣き続けていた。

半兵衛め、俺が少女に弱いと思い、この子を間者にしたな。

しかし、俺が弱いのは美少女だ!

少女なら誰でも弱い訳ではない!

そして俺以外の者、信長の忍びなどに捕まったらどうなるか考えなかったのか?

「葵、この子は許してやるから明日、美濃に送ってくれ」

俺の言葉に少女は顔を上げたが、直ぐにまた床に頭をつけた。

ん?よく見ると、この娘も美少女だな。

楓や彩佳には遠く及ばないけど。

「俺は大変な迷惑を(こうむ)り怒っている」

「全ての責任は間者を命じた半兵衛にあるが、龍興が了承したのであれば罰は龍興が受けてもらう」

「龍興、城の奥で隠れていろ!」

「そうでないと義龍のように変死する事になると半兵衛にしっかり伝えろ」

「そうだな、2日待ってやろう」

「女の足では直ぐに美濃に帰れないから2日だ」

「半兵衛に伝えろ」

「しっかり龍興を守れ!と」

俺は強い口調で少女に命令した。

少女は泣きながら何度も何度も(うなず)いた。

「長秀様よろしいのでしょうか?何も罰せなくて」

四郎は俺の判断に不満そうだ。

「四郎、この娘に罪は無い」

「繰り返し言うが、悪いのは半兵衛だし、龍興だ」

「それより直ぐに岡崎に向かう」

「元康に会いに行く必要があるな」

「清洲でのこの騒動は終わった、直ぐに支度を始めてくれ」

「時間が無いから出来るだけ早く」

「葵、この娘を美濃に送ったら直ぐに戻るように」

四郎はまだ何か言いたそうだったが、何故か葵はニコニコしている。

「さすが長秀様ですね」

葵は小さく(つぶや)いた。

葵、俺の考えている事が分かるのか!?








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