半兵衛の策略に俺、動揺する。
「長秀殿、何故なのですか?」
俺の屋敷に藤吉郎が駆け込んで来た。
「何だ藤吉郎。俺は今忙しいのだが」
犬山から帰ってから俺は人数が増えたアイドルの屋敷の部屋割りをし、玉恵たちの家事の役割分担と俸給決めなどを慌ただしく行なっていた。
彩佳に棒給5貫、玉恵たちに3貫を与えることにした。
四郎と五作を他の家に引っ越しさせて、俺の屋敷は俺と美少女たちだけのハーレムになっていた。
そんな慣れないハーレム状態の生活の中、部屋割りで揉めていた所に藤吉郎が飛び込んで来たのだ。
藤吉郎も織田の内政に功績を挙げ、俸給が50貫になっていたが1000貫の俺と大きく差が開き、俺は年上の藤吉郎を呼び捨てで呼ぶようになっていた。
信長も藤吉郎を見込んでいるのか俸給の上がり方が凄い。
「長秀殿が信長様に謀反を起こすと噂が立っているが真実か?」
「長秀殿、何故そんな事をするんだ!」
藤吉郎は怒っていた。
え?謀反?
俺と信長との関係を考えれば謀反などあり得ないだろう。
「藤吉郎!何を寝ぼけた事を言っているんだ!」
俺は大声を上げてしまった。
「長秀殿が信長様に謀反を起こし、尾張で楓神子様を領主とする神の国を作るという噂が立っているぞ!」
楓神子の神の国?
信者もいないのに謀反?一向一揆でもあるまいに。
信長の政に不満など無いだろう!
「どうやって謀反を起こすのだ?可笑しいだろう!」
俺は藤吉郎に大声を出す。
俺は早く俺の好きなファンタジーの世界に戻るために信長に天下統一をさせようとしているのに。
「尾張には楓神子を崇拝する武将や民がたくさん居るんだ!」
「楓神子が一言で尾張が割れるんだぞ!」
「長秀、何も知らないのか?」
「そんな事、知るか!」
俺と藤吉郎は顔を近づけ、つばを飛ばし合いながら言い合いをしていた。
何故、俺と信長が争わなければいけない?
噂が立つ?
藤吉郎が怒る?
???????
離間の計?
誰が?
半兵衛の策略か!
藤吉郎のように俺と信長の関係を知らない武将がこの噂を聞けば………。
半兵衛!やりやがったな!
「藤吉郎!これは斎藤の策略だ!」
「竹中半兵衛が考えた俺と信長様との間を裂く『離間の計』だ!」
俺の言葉を聞いて藤吉郎は
「はっ!」と意味を理解した顔に変わった。
「葵!四郎と共にこの噂を立てている者を捕まえろ!」
「噂を止めろ!」
「動け!」
俺は葵に命じた。
葵は直ぐに屋敷を飛び出した。
噂を止めないと尾張の国内が動揺して、美濃攻めなど出来なくなる。
噂に踊らされて俺の屋敷を襲う者も?
「長秀殿、オレも手伝うでな!」
「犯人を捕まえるで!」
そう言い、藤吉郎も屋敷から飛び出して行った。
「すまない、藤吉郎!」
信長はこの噂を信じないから、噂が止まれば尾張の中の動揺は直ぐに落ち着く筈だ。
「楓!直ぐに信長様の所に向かうぞ!」
「みんな心配するな!」
「俺と信長様の信頼関係は噂ぐらいで揺らぐ仲ではない!」
「そうです!」
楓が強く言い放ち、頷く。
俺の言葉と楓の表情を見て、俺と藤吉郎の言い合いを聞いていた鈴たちの緊張が緩んだ。
「美玖!五作を呼んでこい!」
「はい!」
美玖が屋敷を飛び出した。
「五作が屋敷に来しだい、直ぐに俺と楓は出る!」
「鈴!五作に状況を伝え、屋敷の警護を頼め!」
「直ぐに戻るが、みんな屋敷から出るな!」
【『ファースト』!屋敷の警護を頼む】
脳内通信で屋敷の周りの犬たちにも警護を頼んだ。
俺の屋敷が襲われる事は無いと思うが。
信長の居城がある清洲だからな。
半兵衛がこのタイミングで屋敷を狙うような卑怯な事はしないだろうが、俺の弱点は彩佳たちアイドルだからな。
まだ気づかれていないと思うが。
屋敷に向かって走って来る2つの足音が。
よし!五作が来たようだ。




