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アイドル達、犬山に来ました

「直ぐに全員で犬山の針綱神社に向かう」

「葵、案内を頼む」

道三じじいを手に入れ、美濃から帰ってきた次の日の朝に全員に向かって俺は言い出した。

突然の話に誰もが『何故?』という顔をしていた。

熱田神宮で信長に犬山に行くと言った事を全員が聞いていたが、清洲に帰って直ぐに犬山に行くとは誰も思っていなかったようだ。

美玖たち新しいアイドルは清洲の俺の屋敷の1室に身の回りの荷物を集めたまま、片付けも終わっていなかった。

片付けをする間もなく犬山に行くことになった。

すまない。俺はせっかちな人間なので。

「犬山に向かう準備はいらない」

と言ったが、若い女の子はそれなりの準備は必要だった。

美玖たちはバタバタと動き回っている。

鈴、雛、彩佳は分かっているので落ち着いてノンビリしていた。

「遠い場所ではないから、何かあれば葵に取りに行ってもらうから心配するな」

と、いい加減な言葉で美玖たちを納得させていた。

「心配いらないよ」

美玖たちに声をかけた鈴は笑いながら俺を見つめた。

そうだよ!取りに戻るのは俺だけど、そんな事言えないじゃん。

斎藤が直ぐに動くとは思っていないが、問題は早く解決した方が良い。

まだ犬たち『ドッグラン』は熱田から清洲に連れてきていない。

熱田神宮の床下に居るから巫女さんたちには迷惑にならないだろう。

騒ぎのような犬山行きの準備を行い、次の朝には俺たちは犬山に向かっていた。


「葵、神社は全員で泊まれる大きさなのか?」

俺たちは総勢12人の大所帯になっていた。

「境内、本殿は広く、雑魚寝であれば大丈夫だと思います」

「もし雑魚寝が嫌であれば宿も有りますが」

まぁ、行けば分かるか。

狭ければ俺と楓、鈴、雛、彩佳の5人は転移で清洲で寝れば良い。

少女たちの足は早かった。

2時間ほどで針綱神社に着く事が出来た。

葵の言う通り、針綱神社の境内はアイドルたちがライブをやるには充分な広さだった。

針綱の宮司は熱田と同じように楓に対して熱烈な歓迎を表した。

楓神子の名前が犬山にも伝わっている事が分かった。

相変わらず俺への挨拶は楓の次になった。

ここ針綱神社では楓神子の癒し3日、アイドルライブ3日の計6日で行う。

楓神子の名前で犬山の民衆の注目を集め、ライブで魔法を使い一気に祭りを起こす。

犬山城主の織田信清への牽制が目的だ。


「道三じじい、俺は信清の謀叛が起こる事を待つしかないのか?」

「謀叛が起こる前に何か出来ないのか?」

俺は道三じじいを呼び出し、対策を(たず)ねた。

策略で美濃1国を奪った道三は俺にとって最高の軍師だ。

織田信清は信長の従兄弟であり、信長の弟の反乱時に味方になった人物だ。

謀叛の疑いだけで動くことは出来ない相手だ。

気軽に犬山城主の信清に会うことも難しい。

信長と信清には対立する噂も無いし、謀叛など誰も信用しないだろ。

信長は信清の謀叛を歴史で知っていると思うが、この前の戦いで信清の弟は助けている。

謀叛をする理由は無い。

このアイドルライブは必要無かったかもしれないが、尾張国境で美濃民衆に見せるのは意味があるだろう。

「もし信清が謀叛を起こすのなら、信清から民衆、家臣を離反させるしかないな」

「おぬしなら出来るのではないか?」

道三じじいは悪顔でニヤリと笑った。

「おぬしは信長の家臣。信長の家臣と信清の家臣であれば対等な立場じゃないか」

「家臣とはいえ、負けると分かっている相手と戦いをする命令は聞けないじゃないか?」

「それが謀叛という形ならば尚更(なおさら)

「命有ってのものだからな」

「信清の手足をもぎ取って動けなくすれば良い」

「おぬしの圧倒的な力を信清の家臣に見せつければ良いのさ」

道三じじいはいとも簡単に答えを出した。

俺は信清の家臣たちに俺の怖さを見せつければ良いのだな。

簡単だ!いつもの事だ!


「楓神子が犬山に来ている」

「楓神子が奇跡を起こすそうだ!」

「怪我人は針綱神社に行けば治してもらえるぞ!」

宮司、巫女、四郎と葵が犬山で噂を流す。

噂を聞いて針綱神社に少しづつ野次馬が集まってきた。

噂が流れるのは早い。

病人や怪我人だけでなく、ただ一目神子を見たいだけの人も集まって来ている。

神子は神々しいほど美しいと噂になっている。

楓の癒しも順調に人を集めていた。

「よし、鈴、雛、彩佳、みんな。明日から踊りをやるぞ」

「犬山の民を全員、お前たちの(とりこ)にするんだ」

俺の言葉に鈴たちアイドルの顔にヤル気がみなぎっている。

みんな良い顔だ!立て札。笛、太鼓の練習の音色。楓の癒し、噂。

針綱神社に犬山の民衆を集めるのに準備が整った。


ライブ初日には300人ぐらいの観客が集まっていた。

集まった民衆は興味深々の顔をしていた。

楓が舞い、鈴と雛が踊り、彩佳たちが(かな)でる。

俺は『魅了』『高揚』の魔法をかけ続ける。

2日目は500人ぐらいか?

犬山の民衆は全て集まったじゃないかな。

3日目には境内一杯の観客が集まった。

もう人数は分からない。

遠くの方まで人で埋め尽くされている。

周りの村や美濃からも人が集まったんじゃないのか?

「今日が最後だ。盛り上がるぞー!」

俺の掛け声と共に2度3度と鈴と雛に踊らせ、『盆踊り』は幾度と繰り返した。

犬山の民衆は祭りのように踊り狂った。

『今年も豊作~♪天国、極楽~♪』

『えんやこらさぁ〜♪どっこいしょ~♪』

あかね色に犬山の空に民衆の歌声が響き続けた。






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