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天下統一への一歩

「加治田の調略が成功しました」

「美濃攻略時に織田側に寝返る手筈(てはず)になっています」

俺は信長の屋敷で信長に加治田城の内通を報告していた。

「中美濃にくさびを打ち込みましたので丹羽隊、河尻隊、佐々隊の3隊で準備に入り、中美濃攻略に出陣します」

俺は信長に出陣の話を切り出した。

「ユージ殿、出陣は少し待ってくれないか?米の刈り入れが終わるまで」

「米の刈り入れ前は兵の集まりが悪く、士気も低くなる」

「兵糧の心配も有るが、河尻も佐々も主体は農民兵だ」

「ユージ殿の命令では刈り入れ前は河尻も佐々も動けない」

なるほど、俺の兵は傭兵だから気にしなかったが、河尻と佐々が農民兵なら信長の出陣でないと動かないのだろう。

「中美濃にはもう1軍か2軍を出陣させ、同時に2〜3城を攻める」

「稲葉山城から中美濃に救援が出るから、その(すき)を突いてワシが美濃に出る」

「挟み撃ちをされないように各個別に城攻めをしようと思う」

「織田全軍での戦さとなると刈り入れの後になるな」

「ユージ殿、(あわ)てなくて良いだろう」

全軍での戦さとなると刈り入れの後になるか。

「加治田城に金銭を送り、兵糧を(たくわ)えさせる」

「ひと月かけて陣立てをするから、ユージ殿も河尻と佐々と相談して兵糧、武装、増員を計算してくれ」

「少しぐらいは援助するから」

俺には魔法があるから気楽に考えていたが、美濃には城は1つだけではない。

連戦になるかもしれないし、(うば)った城のその後の事も考えないといけない。

ゲームみたいに簡単じゃないな。

「分かりました。河尻殿と佐々殿と相談して万全の体制を作っておきます」

俺は納得して部屋から出ようとした時。

「待て、ユージ殿」

信長が急に声をかけてきた。

「熱田ではいろいろなことが有ったらしいが、アイドルたちは上手くいっているか?」

やっぱりその話が出るのですね。

「今週中に公開練習を行い熱田での練習を終わりにします」

「信長様にも聴かせてみたい驚くような曲をやりますよ」

「楓神子のお札も売り出しますし」

「順調に進んでいます」

俺はわざと詳しく教えないようにした。

「ユージ殿、ワシがお忍びで観に行くのは不味いかな?」

信長が驚くような事を言い出した。

うーん?どうしよう。

命令になれば断る事は出来ないだろうし、まあいつかは観せるものだろうし。

「信長様、あくまでも公開練習ですので期待しないで下さいね」

「まだ完全なものではないので」

「そうであれば客席の方から観るのは困りますが、裏の本殿側からなら大丈夫だと思います」

「明日から3日間は楓神子の癒しを行い、4日目5日目には公開練習をする予定になっていますので、都合の良い日に来て下さい」

「皆が緊張しますので、来るのであれば慎重に気づかれないようにお願いします」

「お忍びで!」

俺は念を押した。

「わかった。ユージ殿以外に気づかれない様に行くから」

信長は嬉しいそうにガッツポーズを見せた。

まあ、信長さんも気分転換になるだろう、アイドル好きだから。


「公開練習だから、いつもの練習と変わりがない」

「間違えても良い。練習だから問題じゃない」

「客が居てもいつも通りにやって下さい」

「とにかく楽しもう!」

今日、新しい体制になって初めての公開練習の初日を迎えた。

俺は誰にも気づかれない様に朝1番で転移で信長を清洲に迎えに行き、小姓2人と共に本殿裏に(かく)れてもらった。

彩佳たち新しいアイドルたちは客が集まりだしているのを見てからの緊張がハンパなかった。

美玖、操、香の3人は集まり、お互いを励まし合っていた。

玉恵と美穂は音を出さない様にして、笛と琴の練習を続けていた。

これで信長が来ている事を知ったら……どうなるだろう?

新しい巫女服に着替えている彩佳たちは美少女の集まりで、俺自身も見ていて楽しくなる。

「岡崎城に行った時に比べたら、何でもないよ」

雛は鼻歌を唄って、天女の衣装でそう言った。

楓、鈴、雛の先輩の3人は緊張の微塵(みじん)もない。

練習でも今日は鈴と雛は天女の衣装で踊る事になっている。

「やっぱり着物の(すそ)、短過ぎ!」

鈴はずっと手で太ももを(かく)していた。

丹羽家の食事のせいか、鈴の脚の肉づきがエロい!

鈴と雛の2人とも最近、胸も少し大きくなった気がする。

ん?何故、鈴と雛が天女の衣装を着ているんだ?

最初は楓との巫女舞をやって、その後に着替えるはずだが?

「鈴、雛。巫女舞から始めるんだから早く巫女服に着替えて!」

葵の大声が響いた。

文句を言っても鈴も天女の衣装が気に入っているみたいだな。

葵は今日は警護ではなく、アイドルたちの手伝い、裏方をやっていた。

鈴と雛の早着替えが初めてだから、ミスが無いように葵に(まか)せた。

四郎と五作も公開練習の経験があるはずなのに、緊張していた。

俺は四郎と五作にアイドルたちに聞かれないように、細かく注意を与えていた。

「これまでと違い、楓神子の名前が周りの国に伝わっているから、ここに何人かの忍びが(ひそ)んでいるはずだ」

「手を出す事は無いと思うが、気を引き締めて周りに気を配るように」

「たぶん客が熱狂するはずだから、万が一の時は演奏を中断してアイドルたちの安全を最優先で行動するように」

四郎も五作も俺の言葉の意味に気づいて顔が引き締まる。

「いよいよ、これからなのですね」

「長秀様のアイドルたちが活躍し始めるは」

五作は理解して俺に言葉を返した。

そうだ!今日織田信長の天下統一の野望を実現する一歩になる。

そして信長最強の武器が生まれる。

「さあ!みんな始めるぞ!」

熱田神宮に俺の声が響き渡った。








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