表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

52/84

加治田城の使者、梅村が来た。

「彩佳が急に甘えて来たのだが何か知っている?」

楓にアイドルたちの状況を聞いてみたかったのだ。

何故か楓は()ねたような顔をして言った。

「旦那様はみんなに凄い人気なのですよ」

「失敗しても怒らないし、少しの事でも凄く()めてくれるし」

「踊りも演奏も楽しいし、口を挟まず任せてくれるって」

「そして食事も豪華だし、休みもくれる」

「このまま側室になりたいと」

「でも私が旦那様の1番ですよね」

そう言いながら楓は甘えながら俺にもたれ掛かってきた。

『教えて、やらせて、()める』は仕事を教える者の基本だし、元の世界でも『反省していれば、しつこく怒らない』を心掛けてきた。

この時代は男女差別があり、上下主従関係もうるさい。

()めるだけで各自が十二分に能力を発揮してくれれば俺も楽だし、食事も単に俺が美味しい物が食べたいだけだからな。

この時代、俺の普通は特別みたいだ。

「もちろん、楓が1番だよ」

丹羽家には美少女たちが集まっているが、楓といると何故か落ち着く。

「楓の匂い、声、性格、可愛さ、何もかも全て大好きだよ」

俺は楓を抱きしめた。

熱田では忙しく人も多く楓との2人の時間が無いから、たまには2人の時間が有っても良いよね。

俺は楓を抱いて清洲の屋敷に移転の魔法を使った。

さあ、お楽しみの時間を始めますか。


ドンドン!誰かが屋敷の戸を叩く。

「丹羽様はいらっしゃいますか?誰か?」

楓と清洲の屋敷に移転した途端に邪魔者が現れた。

せっかく楓との楽しい時間を。

うるさいなー!居留守でも使おうか。

「はーい!どなた様ですか?」

俺の意思に反して楓が返事をしてしまった。

「わしは梅村と申します」

「丹羽様とお話がしたいのですが、いらっしゃいますか?」

楓が不用意に戸に近づく。

「楓、チョット待て!」

昼間の清洲だから大丈夫だと思うが、用心をした方がいい。

俺は索敵魔法を使った。

外には男が1人、敵意は無い、大丈夫だ。

俺は楓に(うなず)き、梅村を屋敷に入れた。

「わしは行商をしている梅村良澤と言います」

「丹羽様は今日戻られますでしょうか?」

梅村は俺が屋敷の主人だとは気づいていないようだ。

普通に考えたなら、俺と楓の2人だけしか屋敷に居ないなんて変だよな。

「俺が丹羽長秀だか何用かな?」

梅村は俺の言葉を聞いて驚いたが、すぐに納得したみたいだった。

「この様なお札を美濃の国境(くにざかい)の犬山で見せつけるお方であれば、屋敷で女中と2人でいるのも(うなず)けますね」

「大胆というか、怖いもの知らずと言うか」

梅村は俺に楓神子のお札を見せた。

コイツ、俺にケンカを売っているのか?

「そのお札は1文で売る予定の安物だよ」

「安物でも捨てずに大切にしてくれて、梅村殿も楓神子が好きなのかな」

「ちなみに前にいる美少女は女中ではなく、楓神子本人だけどな」

「こんなに可愛い女中などいないだろう、は、は、は」

俺は笑いながらも、目は笑ってなかった。

「信長様にもそのお札はまだ見せていない物でね」

「使い物になるか試しに家来に犬山で使わせた物だが」

「梅村殿がここへ来たということは、うちの家来もしっかり仕事をこなしているな、うれしいよ」

急に梅村は床に手をついて頭を下げた。

「すみません、丹羽様を怒らせた様ですね」

「ご無礼の件、許してください」

「私は中美濃の加治田城主、佐藤忠能の使者として織田信長様と話がしたいのです」

梅村は頭を下げたまま強い口調で言い放った。

美濃にも楓神子の噂は届いているはずなので、このお札の力を知れば梅村のような目先が利く者が現れててもおかしくない。

「佐藤忠能様が斎藤を裏切りと?」

俺は梅村に念を押した。

梅村は顔を上げ

「佐藤様は楓神子の噂を聞き、織田の領地を調べるように命じられ私は犬山に来ました」

「このお札を知って佐藤様、加治田衆の勝ち目が無いとわしは確信しました」

「丹羽様の家来が犬山で動いているのなら、中美濃に丹羽様が出てきます」

「今なら丹羽様を通して信長様に内通の意思を伝えられれば加治田衆は安泰です」

「なにとぞよろしくお願いします」

梅村はまた頭を下げた。

「粗茶ですが、お召し上がりください」

「旦那様は頼りになるお方ですから、頼っても大丈夫ですよ」

いつの間にか楓が俺と梅村の2人分の麦茶を渡していた。

梅村は驚いて湯呑みを受け取った。

そういえば楓は元忍びだったから気配を消して行動しても不思議では無い。

お茶を出すタイミングといい、楓の気配りには俺も驚かされた。

しかし、このタイミングで楓が梅村に可愛く微笑んだなら、梅村の申し入れを拒否出来ないじゃないか。

楓を見ると俺に小さく舌を出し笑いかけてきた。

え?嘘だろう?(はか)ったのか?

楓、お前マジやば!


俺は梅村を連れて信長の屋敷に向かった。

楓には信長が屋敷に居るか確認させるために、先に屋敷に向かわせていた。

この話の内容を事前に伝えておく考えもあった。

斎藤の間者の目を気にして、俺は梅村に認識不可の魔法を掛けて移動した。

梅村も間者を気にしているのか、魔法が掛かっている事に気づかない。

信長の屋敷では楓がすでに入口で待っていて、直ぐに会えると言ってきた。

梅村は部屋の中に入ってからずっと手をつき頭を下げていた。

信長が入ってきても顔を上げない。

これが城主に対しての作法なのか。

「長秀、あのお札は役に立った。ありがとな」

「信益が死なずに済んだ」

「亡くなっていれば最悪、犬山が敵対しいたかもしれん」

「佐々に渡してくれて助かった」

「しかし、あんなお札が有ったなら、まず最初にワシのところに持ってこい」

信長は頭を下げ続けている梅村を無視して俺に話し掛けてくる。

このお札を作ったはいいが、渡そうとと思った時に信長はずっと戦場にいたから渡せなかったのですよ。

「このお札は佐々殿が使った強力なお札と同じ物です」

「これを使えば息をしていれば、直ぐに戦場に戻れますよ」

俺は信長にハイヒールのお札を渡した。

「楓神子のお陰で片手を失って屋敷にこもっていた佐々が奮戦して稲葉を討ち取った」

「今回の活躍で佐々を組頭にした」

「長秀のところにいる妹も喜ぶだろうな」

信長はニヤリと笑った。

なーんだ、信長には俺の熱田の行動が筒抜けじゃないか。

成政が活躍したのか。

明日、熱田に来るから祝ってやるか。

「ところでさっきから隣で頭を下げている者は何者だ?」

楓から事前に聞いて知っているくせに。

「はい、中美濃、加治田城主佐藤忠能の使者、梅村良澤であります」

俺の紹介で梅村は顔を上げた。

「加治田の使者がワシに何用かな?」

信長は普通に梅村に問いかけた。

「加治田城主、佐藤忠能を織田家の末席に置いていただきたくお願いに上がりました」

回りくどい言い方だなぁ。

『斎藤を裏切ります』でいいじゃないか。

「それは織田に内通して斎藤を裏切るという事か?」

信長は単直に梅村にたずねた。

「楓神子の力、このお札の存在、織田様に攻められたら加治田に勝ち目は全くございません」

「加治田城主、佐藤忠能を私が必ず説得します」

「なにとぞ加治田衆をお助け下さい」

梅村はまた深々と頭を下げた。

「わかった!長秀、梅村と一緒に加治田城に行き、忠能を説得してこい」

ですよねー。

楓に伝えていた打ち合わせ通りの展開、かしこまりました。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ