彩佳の行動と勇太の行方
「うーん、ここは少し変えようかな?」
「操さん、そこの音が違います」
ガールズバンドの巫女たちは今は彩佳を中心に動いていた。
鈴と雛の踊りを完成させ、『盆踊り』のまとめを琴の玉恵と笛の美穂に任せて美玖、操、香を特訓して鈴と雛の踊りの曲のさらなるアレンジをしていた。
美玖は小太鼓で正確に拍子を打たせ、操の琴は簡単なベースラインを弾き、香は勇ましく大太鼓を叩いていた。
香は楽器が苦手みたいだ。
「美玖さん、その速さで!速くならない様にしてね」
「ここ、もう少し盛り上げたいけど?」
彩佳が慌しく動いていた。
鈴と雛の踊りの曲の再現はまあまあだけど、オリジナルを知らない人には十分衝撃を受ける出来になっていた。
「彩佳、ありがとう。大変そうだけど、大丈夫か?」
「それにしても、鼻歌だけでここまで仕上げるなんて、彩佳は凄いな」
手を抜く事無く練習をする巫女たちが気になり、俺は練習部屋を覗いた。
誰も俺に気づいていない。
そして練習の合間の休憩中に彩佳に俺は声を掛けた。
声を聞き、彩佳はにっこりと微笑む。
ヤバい!彩佳の微笑みは破壊力抜群だ。
いい加減、慣れる必要があるのに。
「単なる鼻歌ではなく、ご主人様の思う全体の曲の印象が私の頭の中に伝わって」
「太鼓がどんな拍子を取って、笛と琴がどこで重なり盛り上がるのかが」
脳内通信で俺がイメージする雰囲気、盛り上がりが十分に伝わったみたいだ。
「ここまで頑張った彩佳に褒美を与えないといけないな」
「何か欲しい物は有るか?出来るだけの事はするぞ」
俺の言葉に彩佳は顔を赤らめ、頭を俺の胸に押しつけてきた。
玉恵たちが興味深く俺たちを覗き見しているぞ。
「私にも雛さんの様に頭を撫でて下さい」
彩佳が小さな声でお願いしてきた。
突然の彩佳のお願いに俺は驚いたが、彩佳の頭を優しく撫でてやった。
「彩佳、よくやった。偉いぞ!」
勘違いさせない様に周りにいた玉恵たちに聞こえる様に大声を出して彩佳の頭を撫で続けた。
「彩佳、もう少しだな」
「俺の望みが一つ叶うのは」
踊りと演奏を通しで行う全体練習が必要だな。
また公開練習でもしようかな?
「いいえ、もう彩佳はご主人の物です」
「私はいつでも良いです、今からでも」
彩佳は周りに聞こえない様に小さな声で答えた。
ヤバい、俺の股間がムクリと反応した。
清楚な顔に似合わず彩佳も雛と一緒でグイグイ来る方だ。
あー、このまま彩佳を連れて清洲の屋敷に移転したい!
俺は理性をぎりぎり保って彩佳から離れた。
「みんな、頑張ってくれて、ありがとう」
「夕食に美味しい物を用意するから、期待してて」
俺は股間のモッコリを気づかされ無い様に部屋を出て行った。
「彩佳、気付いたかな?処女だよなぁ?知っているよなぁ?」
などと呟きながら。
「『ファースト』行くぞ」
俺は『ドッグラン』を集め、能力上げと食材探しをしていた。
俺の空間収納には食材が300人ぐらい有るが、丹羽家の魅力の一つが食事の豪華さだと思っている。
野ウサギ、猪、川魚、フルーツ、野菜。凄い量になっている。
空間収納は時間が止まるので野菜、フルーツは旬の状態で食べられるから、暇が有れば食材をどんどん集めていた。
『ドッグラン』の能力上げと共に少しづつ狩場は熱田神宮から離れていった。
今日は野いちごのフルーツを大量に集めた。
暑くなってきたから、みんなを集めて潮干狩りにでも行きたいな。
ついでに水着で水遊びて、この時代は水着はどんなのだ?
うーん!諦めて風呂を拡張するしかないか。
9人の裸の美少女たちに囲まれてお風呂に?
想像すると少し怖い!
美少女たちには風呂もフルーツも大切だ、美容の意味で。
よし!帰って野いちごのシャーベットを作ろう。
魔法で凍らせて、みんなで食べよう。
「状況はどうなっているのかな?」
俺は楓と四郎を部屋に呼んだ。
葵が留守の間、2人に細々とした雑用をやらせていた。
「鈴さんと雛さんの天女の衣装、彩佳さんたちの巫女服は出来ました」
「後で希望通りか見てください」
「楽器を乗せる台はもう少し掛かります」
「丹羽家の軍旗、楓神子の幟も出来上がっています」
「宮司からお札が500枚用意出来たと言ってきました」
「明日、佐々殿がお見えになります」
「武功をあげたので感謝したいと前触れが伝えてきました」
報告していた四郎が急に間を開けた。
何か戸惑っているみたいだ。
「後、言いにくのですが、勇太が河尻様の所から居なくなったそうです」
勇太が逃げ出した?何故?
熱田から離れる時は自分のした事を理解して、反省していたはずなのに。
食事は落ちるけど、これから武功を上げるなら河尻殿の所の方が良いと思うが………。
戦さでは河尻殿と一緒に行動する予定だから、別に丹羽家と切れていないのだが。
聞いていた楓も心配そうな顔をしている。
「逃げ出したのなら勇太はそれだけの男であったという事だ」
「気にする必要はない!」
「勝手に実家に行くような奴だ。そのうちひょっこりと戻ってくるだろう」
「楓、鈴たちの様子はどうだ?」
俺は直ぐに話を変えた。
「問題ありません、みんな仲良くしています」
鈴が上手くまとめているだろうな。
「四郎、弥八たちが清洲に来た時に住める家を探しておいてくれ」
「清洲に長く住む訳では無いから安宿でもいいぞ」
「葵が居ない間、雑務を頼むが細かい事でも小まめに報告してくれ」
「以上だ。楓は残ってくれ、まだ話がある」
四郎は引き続き鈴たちの警護と雑務の仕事に戻った。
そして楓が一人残った。




