俺、鈴と雛のダンスにダメ出しをする。
「この曲がご主人様の希望に沿うか分かりませんが、出来るかぎり再現してみました」
彩佳が演奏について断りを入れてきた。
俺の鼻唄を演奏するのだから原曲の半分も再現出来れば御の字だろう。
俺の記憶も適当だし、逆に良い形でアレンジされれば、それは良い。
「私たちの踊りは旦那様をメロメロにしますよ」
彩佳と違い、雛が強気の発言をする。
自信なのか、単なる性格の違いなのか分からないが、多分いつもの根拠のない自信だろう。
「旦那様の希望通りの踊りだと思います」
鈴も強気の発言をする。
2人とも自信はあるようだ。
俺は3人と一緒に神殿裏の空き地に移動した。
巫女たちの練習の音が聞こえない場所へ。
俺はワクワクしていた。
戦国時代初のアイドルの踊りが見れる、俺のプロジュースの。
元の世界では地下アイドルのライブには、よく行っていた。
地下アイドルの女の子もみな可愛いのだが、どのグループも同じで個性も弱く、不満があった。
この時代だから普通のアイドルでも観る人には凄い個性で衝撃的だろうけど。
ゆっくりでもいい。いや、ゆっくり俺の作りたかったアイドルの形をここに作りたい。
「では、始めます。いいですか?」
彩佳の笛と鈴と雛の踊りが始まった。
「あ!ちょっと待った!」
「先に彩佳の笛だけにして欲しい」
始まってすぐに俺は鈴と雛の踊りを止めた。
鈴と雛の驚きの踊りに彩佳の笛の音が頭に入ってこない。
鈴と雛の踊りがエロ過ぎる。
「あ!私の演奏が間違っていると、鈴さんたちも踊りが変わってしまいますね」
確かに彩佳の言う通りなのだが、しかし今はそうではない。
鈴と雛が踊りを止め、彩佳が再び笛を吹きだした。
俺は目を閉じて彩佳の笛の音に集中した。
ゆっくりとしたリズムで流れていき、高音の伸びも良い。
笛に合う曲だから聴いていても気分が良い。
曲の再現具合は80%ぐらいか。
この時代に合わせたように曲が単純化されていて、それも良いアレンジになっていた。
彩佳の笛だけだと寂しいから、琴や太鼓。更にもう一つぐらい笛を入れたい。
「うん!良いよ!凄いじゃないか」
「ここままで他の者の笛、琴、太鼓を入れて、音に厚みを持たせて更に良くして欲しい」
「頼むぞ、彩佳!」
俺の褒め言葉に彩佳がホッとしたのか最高の笑顔を見せる。
「よし!鈴と雛。始めてくれ」
鈴と雛が彩佳の笛に合わせ踊りはじめる。
なんじゃコレ!
曲に合わせてゆっくり大きく腰を振り、時に脚を見せつけるように片足を前に出し、両手を膝に添る。
着物の裾から鈴と雛の太ももがチラリと見える。
チラリと見えるだけだから、異常にエロい!
前屈みだから、小さくない胸も強調される。
俺を誘うような両腕を広げて手招き、ウインク、投げキッス!
なんか既視感。
もしかして、その腰の振りはハワイアンダンス?
美少女2人のエロダンスはドキドキしますが…………。
戦国時代にこの曲でハワイアンダンスに行き着くのは才能ですか?
「鈴、雛。ちょっと待った!」
俺は2人の踊りを途中で止めた。
「この踊りを認める訳にはいかない!」
「理由は幾つか有るがこの踊りでは困るんだ」
俺の言葉に鈴と雛が驚いていた。
そして直ぐに不満顔に変わっていった。
「鈴と雛の才能は素晴らしい!」
「俺の予想を超えた最高の踊りだと思うけど、今まだ早すぎる」
「こんな素晴らしい踊りを今踊られると、次の踊りでこれを超えるモノが作れない」
「分かるか?」
俺の言葉に鈴と雛は納得していないみたいだ。
俺は褒めているんだけど。
鈴と雛は次は更に良い踊りが出来ると言いたいのだろう。
うーん?この言い方ではダメか?
「鈴と雛は神子としている楓と並ぶ天女として考えているんだ」
「巫女舞と比べて天女の品格が落ちてしまう」
「俺は鈴と雛には可愛く美しい天女としての品格を大事にしたい」
ん!納得し始めたみたいだ。
さっきまでの尖った口が無くなった。
『楓と並ぶ天女』のところが効いているみたいだ。
「旦那様が私たちに着せる衣装を見て、私と雛は話し合いました」
「旦那様は私たちに『スケベ』を求めているのではないかと」
「旦那様が求める『スケベ』はこれじゃないのですか?」
鈴が俺に聞いてきた。
確かに俺は鈴と雛にエロさを求めた。
しかしそれは、冷やし中華に山盛りのマヨネーズをかける下品さを求めていない。
冷やし中華にマヨネーズは美味しいけど。
だからといえ、醤油味かマヨネーズ味か分からなくなる量はダメだ。
少しだから良いんだ。
この踊りではエロ可愛いではなく、単なるエロダンスだ。
「この踊りだと鈴と雛の可愛いさ、美しさ、魅力が充分以上に観る人に伝わってしまう」
「お前たちはこの俺にヤキモチを妬かせるつもりか!」
「とにかくこの踊りはダメだ!」
やっと鈴と雛の顔が緩んだ。
「そうですよね。雛は旦那様のモノですから、ヤキモチを妬かせる踊りなんて出来ません!」
雛が笑顔で答える。
「私も旦那様のモノですので、出来ません!」
鈴も笑顔で答える。
ん?お前たち、俺にこの言葉を言わせるためにワザとこの踊りを考えたじゃないか?
最近、彩佳の事ばかりで鈴と雛に冷たかったかもしれない。
ごめん、反省するよ。
俺と鈴たちのやり取りを見ていた彩佳が安堵の表情を見せた。
もしかして彩佳もこうなる事を予想していた?
まぁ、一緒に練習して踊りを知っていたんだよな。
俺には楓と彩佳がいる。
鈴も雛も俺を慕ってくれている。
俺、頑張らないとな。




