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アイドルグッズ、作ります。

「四郎さん、勇太の姿が見えないけど一緒ではなかったのですか?」

夕食になっても勇太が居ないので五作が四郎に声をかけた。

「勇太なら長秀様の兵を集めに中村に戻りました」

四郎は悩ましげに五作に答えた。

「長秀様の許し無しで?」

五作は驚きの声を上げた。

「勇太は(あせ)っているのです」

「長秀様に戦さの前線を(まか)せると言われているが、今誰も部下がいない事に」

長秀様は勇太の行動にどう判断するだろう。

前向きな行動として勇太を許すだろうか?

それとも無許可の行動としてお怒りになるだろうか?

四郎は勇太の行動に対して、日頃前向きな行動に対して寛大(かんだい)な考えをする長秀様でいて欲しいと願った。

「新しい巫女たちは、この幸運を離さない様に一生懸命に練習をしています」

「長秀様は勇太がサボっていると思わないと良いですが」

五作の言葉に四郎は頭に嫌な予感がよぎった。

夕食の時間なのに笛と琴の音は止む様子は無い。


「旦那様、熱田に戻ってよろしいのですか?」

俺は1日で負傷者を治癒し、信長の了承を得て熱田神宮に転移した。

直ぐに新しい戦闘は無いだろうという判断だ。

「宮司との癒しの約束もあるし、新しい巫女たちも心配だからね」

俺が熱田に戻ると新しい巫女たちも含めて全員が部屋に集まった。

「喜んでくれ。信長様は斎藤に圧勝した」

「悪いが戦闘では俺の出番は無かったから、四郎と勇太を呼ぶのは()めにした」

ん?勇太がいない。

「勇太は?いないのか?」

俺は四郎に(たず)ねた。

「勇太は兵を集めると言って熱田を離れています」

四郎は直ぐに俺に返答した。

「え?うそ?」

「いいの?」

四郎の言葉に新しい巫女たちからざわめきが起こった。

「わかった!」

俺は了承とも怒りとも取れるトーンで四郎の言葉をサラッと流した。

「明日は楓の癒しを行う日になるので、四郎、葵は手伝ってくれ」

「残りの者は明日も五作の指示で引き続き練習だ」

「明日も大変な1日になるので、今日はもう休んでくれ」

「以上だ!」

ん?誰も動かない?

「長秀様、鈴さんと雛さんの衣装ですが、後2日ほどかかる予定です」

葵が言葉を発した。

「私たちの新しい舞ですが、ある程度の形が出来ましたのでご確認をお願いします」

鈴が続けて話す。

「宮司さんがお札について話がしたいと言っています」

「明日、お時間を作って下さい」

五作が続く。

「練習を頑張っている巫女たちですが、引き続き5人全員で練習を続けてよろしいでしょうか?」

彩佳までも続いた。

そうか!みんなが自主的に考え、行動しているから、報告を聞いてやらないといけなかったな。

頼もしい配下たちだ。

「葵、別任務を頼むつもりだから、衣装などの雑用は五作に引き継いでおいてくれ」

「五作、仕事を増やしてすまんがよろしい頼む」

「四郎、熱田の警備に万全を()してくれ」

「先に宮司さんとのお札の話を終わらせて、後でゆっくり鈴と雛の舞を見せてもらうよ」

「楓の癒し、宮司さんとの話、鈴と雛の舞の順になるな」

「彩佳、仕事を増やして悪いが、五作が忙しくなるのでお囃子の練習の方にも時間を()いてくれ」

「そうだな、彩佳の表情を見る限り、みんな練習を頑張っている感じだな」

「もちろん、5人全員で練習を続けてくれ!」

俺の言葉に緊張していた5人の巫女たちの表情がゆるんだ。

「葵が居なくなるから、5人で話し合って交代で料理をするように」

そして皆が動き出した。


宮司が『楓神子』のお札の見本を持ってきた。

上質な紙に墨で書かれていて、神社特有のミミズが駆け回った文字は俺にはとても『楓神子』には読めない。

しかし、書かれている文字の力強さ。いいじゃないか!

「これを売るのですか?」

楓が自分の名前が書かれたお札を見て、恥ずかしそうに(つぶや)く。

見本のお札を宮司に頼み、(もら)い受けた。

「で、このお札は1文で何枚作れるのですか?」

宮司は俺の質問に不思議そうな顔をした。

いや、コスト管理は必要ですから。

「そうですね、枚数にもよりますが100枚程度で紙、墨、手間賃で2〜3枚ほどですか」

宮司は考えながら俺の質問に答えた。

「500文を先に支払いますから、500枚用意してもらえますか?」

「このお札をここで1枚を2文で売ってもらいたい」

お札が1枚で200円なら大丈夫だと思うけど。

これはあくまでも誘い水だ。

(もう)けは全て宮司に渡します。どうだろう?」

お札はアイドルグッズでは缶バッチみたいな物だ。

とにかく安い物が欲しい。

宣伝グッズだから先ず多くの者が手にする事が大事だ。

「売り子の手間賃が必要になりますので、売れ行きを見て売るをやめても文句は言いません」

宮司がまた不思議そうな顔になる。

「それでは丹羽様の(もう)けが何もありませんが、よろしいのですか?」

確かにこの状態では俺に何も(もう)けは無い。

「そのかわり、これからの楓神子の癒しの玉串料の半分は頂きます」

「宿泊する場合の料金は相談という形で」

まぁ宮司には得しかないな。

俺が(もう)けるためには熱田神宮に定期的に来て楓の癒しをしないといけないからだ。

宮司にとって玉串料の実入りは大きい。

「私には何も文句はありません」

宮司がにこやかに答える。

「後、『楓神子』の御守りを作りたいと思います」

「木製で(ふところ)に入る寸法で、表に『楓神子』裏に丹羽の(しるし)を描いて欲しい」

「出来れば小さな穴を開けて、首から吊るせる(ひも)を付けて」

この御守りを主力商品にするつもりだ。

宮司との話し合いで、とりあえず見本を作ってもらえる事になった。

丹羽の(しるし)は旗印の丸に3枚の楓の葉になる。

裏はつまり宣伝だ。

楓神子に関係する武将と一目で分かれば利点になる。

もちろん、それだけのお札や御守りにするつもりはない。

プレミア要素を入れるつもりだ。




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