和楽器ガールズバンド、始動します。
葵が宮司の福本さんと巫女頭の千代さん、新しい巫女たち5人を連れてきた。
「巫女舞を希望する5人の巫女さんたちを連れてまいりました」
葵はそう言って俺の前に5人の少女たちを並ばせた。
並んだ5人は可愛い、綺麗と言っていい美少女たちだった。
でも楓と彩佳には届かないな。
単に楓と彩佳が俺の好みの美少女なんだけど。
しかし、何故美少女ばかり集まるんだ?
美少女コンテストではないですけど。
「俺の希望はお囃子をする奏者だから、舞をしてもらう予定は無い」
「後、俺たちは信長様と一緒に美濃、京に移住するつもりだから、実家には帰れなくなる」
「それを知ってもまだ俺たちと一緒にやりたいと思う者だけこの場に残って、駄目な者はこの場から離れてくれ」
俺の言葉に誰1人動く者はなかった。
それなりの決意を持って来ているのだな。
「では、笛や琴などの楽器が出来る者は居るか?」
2人が名乗りを上げた。
「巫女頭の千代の妹で玉恵と言います」
「笛と琴が少し出来ます」
千代さん似の透明感のある色白の綺麗な子だ。
鈴と同じ知的美少女という感じ。
期待出来そうだ。
「美穂と言います
「笛が出来ます」
13〜4歳ぐらいか?
小柄で少しふっくらしている。
いかにもイタズラ大好きと言いそうな目がクリッとした子供のイメージを残している美少女だ。
特に太っている訳ではないが、この時代の少女は粗食で痩せているので目立つてしまう。
この2人は合格かな。
残りの3人もルックスでは充分合格だから………。
「葵、俺が帰るまで5人の面倒を見てくれ」
「受け入れる人数はまだ確定していないから」
「時間が無いので、帰って来て誰にするか決めるつもりだ」
「葵、五作。この子たちの性格を含め帰ってきてから状況を聞くから、しっかりと鍛えておいてくれ」
とりあえず5人とも仮合格だな。
「福本さん、千代さん。この5人には巫女の仕事から離れて、楽器の練習をさせますが、よろしいですか?」
俺の問いに2人とも頷く。
「では暫く信長様と一緒に戦さに向かいますので、皆をよろしくお願いします」
「あ!熱田に楓神子のお札を売り出したいと思っていますので、帰って来て相談しに行きます」
さあ、ゆっくりですが彩佳を中心とした和楽器ガールズバンドを始動しました。
「四郎さんと勇太さんは一緒に行かないのですか?」
西美濃の戦場に行こうとする俺に楓が尋ねてきた。
「2人が増えたところで状況は変わらない」
俺は四郎と勇太には戦さに行く準備だけはするように命令していた。
「戦場の状況を見て決めるよ」
「楓を守るのに精一杯だし、四郎と勇太に死なれても困るからな」
「転移を使えば熱田にはすぐ戻れる」
「楓、信長様の所に行くぞ」
『魔法、身体強化。スピードUP』を楓にかけ、西美濃に向かって走った。
「今日中には戦場に着けるだろう」
「着いてすぐに楓神子の出番になるかもしれないから、そのつもりでいろ」
俺は楓を男達が集まっている戦場に連れて行きたくないが、怪我人の治癒が必要になるから、これからも連れて行くのだろうな」
俺たちは3時間もかからず戦場に着いた。
魔法のおかげで俺も楓も息が上がっていない。
西美濃の織田と斎藤の戦さはすでに始まっていた。
戦場が一望出来る丘の上で俺と楓は戦さを眺めていた。
「織田軍が押しているな」
「これなら四郎と勇太を呼ぶ必要は無い」
遠くからでも斎藤軍の士気の低さが見て取れた。
義龍の死が伝わって、軍の統制が上手くいっていないのだろう。
「俺も旗を作らないといけないな」
初めてこの時代の戦さを見た。
桶狭間では単に逃げる敵兵を追いかけるだけの戦さだった。
色とりどりの旗が戦場にひしめき合い、押し合い倒される。
前線の槍隊が打ち合い、崩れた陣形に刀を持った武将が飛び込み敵将の首を刈りに行く。
遠目から見ても整然として進行する織田軍の旗と散り散りに後退している斎藤軍の旗の違いが分かる。
ほぼ勝負は決した。
「旦那様はどの様な旗にするのですか?」
「鮮やかな模様にして、より目立つ物にするのですか?」
考え込んでいた俺に楓がしつこく聞いてくる。
旗なら大漁を示す、めでたい旭日旗にしたいが………。
「楓!」
俺は呟いた。
「はい!なんでしょう旦那様」
楓が答えた。
「ごめん。旗は楓の葉の模様にしようと思う」
「丹羽家と言えば楓神子だからな」
俺はつい、楓をいじめるように言ってしまった。
「嫌です。旦那様が丹羽家の全てです」
「ごめんなさい。許してください」
楓が泣きそうになった。
「ごめん。太陽を旗の絵柄にしようと思ったら、赤い楓の葉が出てきて…………」
「どうせなら赤い楓の葉で太陽を作ろうかなと思って」
俺は近くにある枝をを折り、地面に絵を描き始めた。
「丸の中に3つの赤い楓の葉が外側3方向に向かって開く」
「うん!いいな」
俺は1人で納得していた。
「大きな丸が旦那様で、3つの楓の葉が私と鈴さんと雛ちゃんを表しているのですね」
楓が問いかけてきた。
「いや今3人なら楓と四郎と葵だろうな」
「早く鈴と雛の名前になれば良いな」
俺の素っ気ない返答に楓は顔を曇らせていた。
楓は赤を女性とイメージしたのだろうが、ごめん3人は楓と彩佳と楓が知らない遠い所にいる美少女になるだろう。
よほどの事がない限り、鈴と雛は赤い楓の葉にはならない。
いつの間にか斎藤軍が撤退していて、織田軍の勝ち鬨が上がっていた。
「さあ、楓神子の出番だ!」
俺は楓に移動を促した。




