アイドル和楽器ガールズバンド、やりましょう。
「楓、彩佳を鈴と雛と同じじゃない本当の側室にしてはダメかな?」
布団の中から俺は楓に声をかけた。
「彩佳さんの何でも覚えてしまうという話を聞いて旦那様、興奮していましたね」
楓が布団の中で応える。
俺は彩佳の話を聞いたあの時、妄想が広がってしまった。
彩佳とまだ見ぬ熱田神宮の新しい巫女たち。
その2組が混ざり合い、元の世界でも見た事のないミニスカートをヒラヒラさせるアイドル和楽器ガールズバンドが出来ると。
アイドル和楽器ガールズバンドの前をさらに可愛い鈴と雛が唄い踊る。
彩佳が笛を吹きながらセンターで踊る。
新しいメンバーを増やして良いかもしれない。
こんな俺の妄想は彩佳の能力無しでは考えられない。
「楓は旦那様の希望を受け入れます」
楓の声が意外と落ち着いている。
「彩佳の可愛さに惹かれているのは否定出来ないが、彩佳の能力はどうしても欲しい」
「そんな理由で楓を悲しませるのはダメだと思う」
「俺の後ろには楓が居て欲しいし、俺が帰る屋敷は楓が居るところだ」
2人に沈黙の時間が流れた。
「ごめん、彩佳の能力にまだ興奮しているようだ」
「明日、熱田に行って来る」
「鈴、雛、彩佳のことは頼む」
彩佳の事はもう一度ゆっくり考えよう。
熱田に行って落ち着いてくるか。
「彩佳さんを本当の側室にしても大丈夫ですよ」
「しかし、鈴さんと雛さんの事も忘れないで下さいね」
楓の声が優しい。
「鈴や雛は俺が城持ちになった時に本当の側室にしよう」
「それまでに鈴と雛に好きな人が出来るかもしれないし」
「出来ないなら、俺がまとめて面倒をみてやるよ」
俺は笑いながら答えた。
「旦那様ならそんなに先の話ではないですね」
楓が応える。
この時代の女性は婚期が早いから、長く待たせる訳にいかないな。
「楓、彩佳を連れて熱田に行く」
「直ぐに準備をしてくれ」
朝起きてすぐに楓に声をかけた。
「え?旦那様が1人で行くはずのでは?」
楓が驚いて俺を見つめた。
「彩佳を側室にすることに決めた」
「楓の言葉で踏ん切りがついたよ」
「彩佳に俺の力を見せないといけないからな」
「その事は楓と一緒に話をした方が良いと思う」
楓は慌てて布団から飛び起き、彩佳を呼びに向かった。
俺は着替え、彩佳が来るのを待っていた。
雰囲気を察したのか、彩佳は少し緊張気味で俺のところに来た。
楓を彩佳の横に座らせ、俺は彩佳に話し始めた。
「実は大神様から力を与えられたのは楓ではなく、俺なんだ」
彩佳は何の意味か分からずポカンと俺を見つめていた。
「つまり楓には何の力も無い」
彩佳は振り向き楓を見つめ、楓は頷き優しく微笑みを返した。
「では、ご主人様が大神様の神子?」
「何故そんな嘘を?」
彩佳は俺に振り返った。
「俺が神子であることを民が知ると一向宗のように俺を崇め、信長様に一揆を起こすかもしれない」
「それでは争い、殺し合いが起こる」
「俺は争いが起こることを望んでいない」
「信長様の命に従う家臣の正室が神子なら、信長様が神子の上の位置で安定する」
「それに大神様は女性だから、楓に力を与えた方が誰もが納得しやすいし」
彩佳が大きく目を開いて、じっと俺を見つめている。
わ!真顔の彩佳も凄い可愛い!
落ち着け、俺!
「何故、元康様が彩佳を俺に贈ってきたか、解るな」
「元康様は俺の力を知っているんだよ」
「信長様が言ったように元康様は信長様より俺の方を恐れているかもしれない」
俺は彩佳ににっこりと微笑んでみせた。
彩佳は納得した顔をしている。
「ただ俺の力は秘密にしているから、誰にも言ってはいけない、父上にも」
「鈴や雛、屋敷の中の者はみんな知っているから、話をしても良いけどね」
「はい!」彩佳はコックリと頷く。
「楓と一緒に行くよ」
楓が彩佳を後ろからギュッと抱きしめ、俺の腕を掴んだ。
屋敷の中から熱田に向かう。
「彩佳、俺の力を見せるからね」
「空間魔法、転移。熱田神宮!」
「彩佳は大丈夫か?」
熱田神宮に転移した俺は直ぐに楓に彩佳の様子を聞いた。
「はい!大丈夫です」
彩佳を抱きしめていた楓が答えた。
う!失敗した!
楓と彩佳の2人の間に入って転移すればよかった!
楓と彩佳の匂いと胸のふくらみを感じられた快楽のひと時を。
帰りは楓と彩佳に挟まれるぞ、絶対に!
「ここはどこですか?」
彩佳はキョロキョロとあたりを見回していた。
「あ!彩佳には言ってなかったね」
「ここは熱田神宮だよ」
彩佳は俺を見つめる。
「一瞬でここに?」
「凄いですね!ご主人様の力は」
初めて転移をした者は同じ反応をするが、彩佳の驚きはやっぱり嬉しい!
「ここは天照大神を祀っている大きな神社だよ」
「彩佳は岡崎で巫女をしていたから、名前ぐらい聞いたことがあるだろう?」
彩佳は頷きながら社殿を見つめている。
「楓たち巫女舞のお囃子の打ち合わせで、俺の配下がここに来ているので様子を見に来た」
「彩佳には、ここの境内で笛を吹いてもらうよ」
「はい!」彩佳が強い返事をする。
彩佳は熱田神宮の広い境内を見渡していた。
「私がここで……」
彩佳が笛を奏で鈴と雛が踊る。
1ヶ月後か2ヶ月後か分からないが、俺はここでアイドル祭りをやるんだ!




