鈴の父親に会ってきました。み
清洲にある鈴の実家は名のある武将らしく立派な建物だった。
「私の大事な主人だから丁重に」
鈴の帰宅に驚いた小者に鈴は強く指示を出した。
俺は大広間に案内され、1人置いてきぼりにされた。
遠くから言い争う声も聞こえ、突然の来訪にあわてている様子が感じられた。
特にデートでもないし、ただ父親に会うという希望だから、楓を連れてくれば良かったと思った。
20分ほど待たされただろうか?
難しい顔をした鈴と父親らしき中年男と一緒に現れた。
鈴の父親だから30半ばだろう。
ゴツい猛将のイメージでなく、出来る中間管理職にいそうなタイプだ。
鈴の美しさは父親からも来ているんだな。
テレビでよく見る二枚目俳優と女優の娘の取り合わせみたいだ。
男は俺を睨み言い放った。
「ところで丹羽殿はこの秀隆に何用で参られたのかな」
え?え?俺は単に鈴から父親に会って欲しいと言われたので来たのだが。
それ以外には俺は何も聞かされていないけど?
「娘より丹羽殿の配下、与力になって欲しいと懇願されたが、河尻秀隆は先代の信秀様からの織田家直参である」
「いかに信長様と親しくされ、先の桶狭間で功績を上げ、神子であられる楓様のご主人であっても、領地も持たない若造の丹羽殿の命に従えと?」
「ばかばかしい冗談は辞めてもらいたい!」
秀隆は俺を睨みつけなが大声を出した。
はぁ?いつ、あんたを俺の配下にすると言ったんだ?
確かにあんたから見れば鈴と同じ歳に見えるかもしれないが
前の人生と今の人生を合わせればあんたの倍以上を生きているんだけど。
相手の力を知らずに、若いからと訪問者に対してそんな言い方をするあんたこそ管理職、いや社会人として失格だろう。
それなりの名のある武将だが、俺の指示に逆らう配下など願い下げだ。
あんたが俺の考えについていけると思えないしな。
さっきまでオロオロしていた鈴が口を挟んだ。
「父上、長秀様はつい先日に織田家と松平家の同盟を成功させて、信長様より俸給1000貫を頂くお方なのです!」
「また信長様に捨てられた鈴を大切に扱ってくれ、お役目を与えてくれ、女である私に俸給をも下される凄いお方なのです!」
俺は初めて叫ぶように話す鈴を見た。
どちらかというと静かで知的な感じの鈴が叫んだ。
鈴の言葉に秀隆は驚いていたが、同盟は昨日の事だから知らなくて当然だな。
「鈴!余計なことをしゃべるな」
「松平との同盟は信長様が仕上げる前に今川の耳に入ったなら邪魔が入るかもしれない」
「気をつけなさい!」
俺は鈴を叱りつけた。
「あ!申し訳ありません」
鈴が床に手と頭を付けて謝っていた。
「俺は来年には美濃の城を1つ2つ落として、信長様に美濃を渡すつもりだ」
「俺の指示に従いそうにないあんたより、俺の指示に従い仕事をこなす女、子供、鈴の方がよっぽど有能だし大切な家来だ」
「無能な配下などいらん!」
俺は頭を下げている鈴を見つめ
「俺は帰る。鈴はここに置いて行く」
「鈴は能力も高く、有能でここに置いて行くのは残念だが代わりは見つかるだろう」
俺は立ち上がり、秀隆に背を向けて歩き始めた。
「待て!ワシを無能と申すか?」
「信長様の元で幾つかの武功を上げた黒母衣衆筆頭のワシを!」
秀隆は怒りに身体を震わせて叫んだ。
「あんたがどれほど無能か見せてやるよ!」
「そしてどれだけ鈴が有能か!」
「鈴!刀を持ち秀隆殿と立ち合え!」
「心配するな。俺を信じろ!」
俺は鈴に向かって刀を差し出した。
頭を下げていた鈴が立ち上がり、俺に近づき刀を受け取った。
「長秀、卑怯な。父娘で殺し合いをさせるのか?」
秀隆は顔を真っ赤にして俺を睨みつけた。
鈴にそんな事はさせない。
「俺の大切な鈴に傷1つ付けさせやしない!」
俺は落ち着いた言葉を秀隆に投げつけた。
「創造魔法、金縛り、発動」
ゆっくり立ち上がっていた秀隆は片ひざをついた状態で目を見開き、荒い呼吸になり動きを止めた。
「鈴!ゆっくりと秀隆殿に近づき、首筋に刀をを当てろ」
「はい!」と答え、秀隆に近づいた鈴は「えい!」と掛け声を出して秀隆の首筋に刀を当てた。
鈴の動きに秀隆はぴくりとも動けない。
秀隆の首から一筋の血が流れた。
「金縛り解除!」
「はー!」ため息をついて秀隆は崩れる様にその場に座り込んだ。
少しやり過ぎたか?まぁいいか。
「鈴は旦那様について行きます!」
「連れて行って下さい!」
俺の顔をじっと見つめ鈴が言った。
「鈴の好きにすればいい」
俺は鈴を連れて秀隆の屋敷を出た。
「俺の大切な鈴。俺の大切な鈴」
俺の腕に抱きつきながら鈴は繰り返し呟いていた。
あれ?これ何か何処かで………?まぁいいか。
鈴は着痩せするタイプなんだな。
俺の腕は鈴の胸の大きな膨らみを感じていた。




