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みんなでゲームをしよう②

「葵と五作、始めてくれ」

俺は初戦を葵と五作を指名した。

初戦だったのだろうか、葵と五作の勝負はお互いに永楽銭を1枚掴みの『小!』が続き、5ターン目まで単調な試合を行っていた。

6ターン目の五作の枚数呼びの時に試合が動いた。

五作の『小!』の声に葵はニコリと笑い、ゆっくりとこぶしを開き3枚の永楽銭を見せた。

「おお!」と皆が驚きの声を上げた。

葵が仕掛けて、2人の永楽銭の枚数に差がついた。

五作は葵の顔をじっと見つめ「ふー」とため息をついた。

五作に何か考える事でもあった感じだ。

その後はまた1枚掴みの単調な勝負が続いた。

9ターン目に五作が永楽銭を3枚掴み、葵との差枚をイーブンに戻し、試合が終わった。

「両者、永楽銭30枚で引き分けとする」

「次に行う者への助言になってしまうので、2人の感想は全ての試合が終わった後に聞く」

「仕掛ける事は少なく単調な試合に見えるが、2人の勝負内容は大変に面白い」

俺は葵と五作の顔を見つめ、軽く頷いた。

「情報収集の仕事をさせている葵とアイドル達の世話と会計をさせようと考えている五作の両者とも無謀な冒険をせず堅実な勝負をしてくれた」

「俺の目に狂いはなかった」

「葵、五作。仲間になって感謝する」

俺は葵と五作に頭を下げた。

葵と五作は恐縮していたが、このゲームの意味を理解していたのか試合が無事に終わった事に安堵(あんど)の表情を見せていた。


「次、勇太と四郎。勝負を始めてくれ」

四郎が勇太に奇襲をかけて、この試合が始まった。

1ターン目から四郎が永楽銭を3枚掴み、勇太の『小!』の枚数呼びを破りに行った。

四郎が勇太から永楽銭を1枚奪った。

勇太も2ターン目に永楽銭を3枚掴み、永楽銭を取り戻した。

3.4.5ターン目はお互いに永楽銭1枚掴みの仕掛けのない勝負が続いた。

勝負が動いたのは6ターン目だった。

6ターン目で両者こぶしを前に出した時、四郎がこのゲームで初めて『大!』の枚数呼びを行った。

四郎がこぶしから永楽銭を3枚見せ、勇太も3枚見せた。

勇太が「チッ!」と舌打ちをし、葵は音を立てずに拍手していた。

五作が「ほー」と呟き、何故か鈴がニンマリと笑った。

その後また両者とも永楽銭を1枚掴む勝負になった。

10ターン目に勇太が永楽銭を3枚出し、四郎から1枚奪い、結果は勇太29枚.、四郎31枚になった。

「負けたといえ勇太の積極的な姿勢は素晴らしかった」

「ただ将来100人ぐらいの組頭になって欲しいと思っているから、厳しい事を言うが工夫が足りないな」

俺の言葉に勇太は真剣な眼差しで俺を見つめてきた。


「次、鈴と雛。始めてくれ」

俺の言葉をさえぎるように鈴が言葉を発した。

「旦那様、私と雛が一緒に勝負する意味があるなら教えて下さい」

初めて俺の所に来た時に比べ、鈴は少しづつ良い意味で積極さが出てきた。

雛と違う意味で。

「鈴と雛にはアイドルとしての役割を与えた通りの充分な可愛さと人を魅了する能力を持っている」

「それについては俺は満足しているが、まだ鈴と雛の知らない事が多いから」

「俺の知らない能力が有るなら見せて欲しい」

「つまり俺にとって未知数同士対決を意味する」

「それで良いかな?」

鈴は真剣な顔で頷いた。

鈴は美人顔だから真剣な表情もまた美しいな。

雛はニコニコ笑っているけど、鈴にスイッチが入ったよ。大丈夫か?

『大!』1ターン目から鈴が永楽銭を3枚使ってきた。

雛の永楽銭1枚が鈴に渡った。

鈴が枚数呼びだから雛の1枚の永楽銭を取るのに3枚を出す必要はないのだが?

2ターン目、鈴はまた永楽銭3枚を出した。

『小!』と言った雛の永楽銭1枚が鈴に取られた。

『大!』3ターン目に鈴が2枚、雛が3枚を掴み、まるで予知したかのように鈴は雛の永楽銭3枚を奪って行った。

試合の異様さに周りの皆が驚いていた。

明らかに前の2試合とは違っていた。

4ターン目に雛が永楽銭3枚を持って『大!』と言うが鈴は永楽銭を何も掴んでなく、雛は自爆して行った。

5ターン目はお互いに永楽銭を1枚を掴む勝負だった。

完全にこの試合、鈴が支配していた。

「ごめんなさい!私の負けです」

「許してください!」

雛が泣きそうな顔で俺に訴えてきた。

永楽銭の枚数に差が開き、鈴の永楽銭の出し方に雛は混乱して戦意を失っていた。

「分からないが何故か鈴は雛の出す永楽銭の枚数を読み切っている」

「雛の申し出を許そう」

「俺も鈴と戦って勝てる気がしない」

「優勝は鈴だ!」

「やったー!」鈴は両手を振り回して喜んでいた。

誰もが俺の判定に納得していた。


「鈴以外は皆のやろうとした事が分かるが、とりあえず葵から試合の反省を言ってもらおうかな」

俺は皆の顔を見回し、葵に言葉を求めた。

「四郎さんが優勝すると思っていましたので、私は勝つ必要がないと考え、負けない勝負をしてしまいました、すみません」

葵が頭を下げた。

「葵さんが緩くこぶしを握り、永楽銭の枚数を分かりにくくしていたので、コレは強敵だなと判断して慎重な勝負をしてしまいました」

「後半に仕掛けようと考えましたが、葵さんの守りが固く、仕掛け時を失いました」

「それにしても鈴さんは凄い!」

五作は自分の反省より鈴への驚きを表した。

「五作と鈴以外に葵のこぶしの握りに気づいた者はいるかな?」

「鈴も握りに工夫していたが?」

俺は皆の顔を見回したが、楓、四郎、勇太、雛の4人は首を横に振った。

「鈴さんの勝負を見た後に感想を言うのは恥ずかしいですね」

「長秀様の言う通り工夫せず予想、感だけで勝負をしていました」

「私も同じです」

四郎の言葉に勇太も頷いていた。


「さて鈴、種明かしをしてくれるかな」

「始めから3枚出しを続けて、雛に印象づける工夫をして動揺させたのは分かるが、何故雛が出す永楽銭の枚数が分かったのだ?」

俺の強い追求に鈴は驚いた。

「旦那様は遠くに居て聞こえなかったと思いますが、雛も2枚以上の永楽銭を握る時に永楽銭同士が当たる「カチン」という音がするのです」

「後、枚数を変える時に腕の動きと顔の表情が違いますので」

あ!なるほど。3ターン目は雛が2枚以上持っている事を知って、あえて3枚でなく2枚という中途半端な枚数を鈴は出したのか。

あれには俺も混乱した。

葵と五作は3ターン目の意味は分かっているだろうか?

これから鈴の扱いを考えないと、かなり有能な人材だぞ。


「では、俺を1日自由に出来る鈴の希望は何なんだ?」

「難しい事を言うなよ」

鈴は俺の顔を見つめ、にっこりと微笑んだ。

「私の父に会って下さい!」

え?信長に反旗だったはず?

鈴。父親が生きているのか?

楓、四郎、葵、皆が驚いているぞ。

側室にすると言っているが、あくまでも!今のところ?

ん?会う必要があるかもな。



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