アイドル達、騒ぎを起こす
「ここ三河の国の安祥でも楓神子の評判は良いみたいだから危ない事はないと思うが、念のため四郎と葵が前、後ろは俺が姿を隠して警護するから3人とも安心して巫女舞を舞ってくれ」
尾張を離れ三河に入ってからのアイドル3人組は緊張しまくっていた。
2ヶ月前に血みどろの殺し合いをしていた国にいるのだからしょうがないけど。
「旦那様の言う通り。旦那様は強く、旦那様は………」
楓、俺を信頼しているのは良いが、少しパニクっているぞ。
「お前たちは可愛い。綺麗だ!」
「お前たちは美しい!舞で見ている者たちをメロメロにするんだ」
楓たちはメロメロの意味は雰囲気で分かるみたいだ。
「雛は可愛いからみんなをメロメロ、クルクルにするんだ」
雛はお俺に色目を使ってきたがメロメロにするのは俺じゃないぞ。
天然ポジティブの雛は扱い易いな。
生真面目な楓と鈴は緊張が取れない。
「創造魔法、リラックス、拡大!」
面倒なので五作と勇太の緊張も解いていく。
「楽しくやろう。楽しくやれば三河でも受け入れてくれる」
「旦那様の言う通り、楽しくやりましょう」
「雛の旦那様は何でも出来ちゃう凄い方なんだから」
え?楓の言葉に雛が言葉をかぶせ、対抗してきた。
で、鈴は?
おい!睨むなよ。
「みんな、ここでは巫女舞の中での癒しはやるつもりは無い」
「いや、宿泊が延長になったなら巫女舞の中での癒しは行うかもしれない」
「とりあえず3日間は舞だけだ」
「観衆が熱田と違う反応をするかもしれないがお囃子を続けろ!」
「舞を止めるな!」
「何故かは舞が始まれば分かると思う」
早朝から境内に200人近い観衆が集まった。
四郎に広めさせた噂のせいだろう。
俺の予想していた以上の人が集まった。
狭い境内が半分くらい人で埋まった。
「ただ今から楓様、鈴殿、雛殿の巫女舞を披露させていただきます」
「危険ですので張られている縄より中に入らないでください」
四郎の声が響き渡る。
ざわざわしていた境内が静まった。
榊と扇で顔を隠し、正座をして五作と勇太が奏でるお囃子を待っている楓と鈴と雛。
お囃子とともに立ち上がり、前に進み出て鈴と雛が左右に扇をずらし、楓は榊を下におろし3人の顔が同時に現れるという振り付けに変えてみた。
ヲタクの俺は3人の美少女が現れる瞬間、好みの推しの子を探せる楽しさを大事にした。
可憐な楓、大人びた美少女の鈴、妹のような可愛らしさの雛。
巫女服の朱色、薄紫色、若草色が一層3人の可愛らしさを引き立たせた。
お囃子が鳴り始めた。
楓たちの後ろで姿を隠していた俺は魔法を発動した。
「創造魔法、魅了小、拡大!」
観衆に顔を見せた3人に
「わー!」「可愛い!」あちらこちらで歓声が上がった。
3人とも可愛いのは間違いないけど、熱田では歓声は無かったな。
魔法に掛かった四郎と葵も楓たち3人に釘付けになっていた。
「四郎!葵!警護を怠るな!」
脳内通信で2人に注意を呼びかけた。
魔法は上手くいったようで「可愛い!」「綺麗!」ざわつきが止まらない。
縄の内側に入ってくる者がいるかもと心配していたが、大きな騒ぎにはならなかった。
舞が終わった3人に
「楓様!」「鈴様!」「雛ちゃん!」の呼びかけが続いていた。
「ビックリしました。どうなっているのですか?」
驚く楓たちを先に魅了の魔法を解いてある四郎と葵がニヤニヤしながら見ていた。
「楓たちがより可愛く見える魔法をかけたんだ」
「3人の可愛さと魔法で増し増しになったんで、俺の予想を超えた騒ぎになってしまったよ」
俺の言葉に楓たちは目を丸くして驚いた。
「では、私も旦那様の魔法でメロメロになっているのかな?」
雛が俺に言い寄ってきた。
俺は雛に構わず
「みんな、明日から2日間、朝夕の2回舞を行う」
「そして最後には1000人の観衆を集めるつもりだ」
熱田の広い境内でも4〜500人だったから、1000人の数に全員戸惑っていた。
まぁそうだよな。でも出来る!
楓たちが舞をする度に観衆が増えていき、3日目の夕には1000人近い観衆になった。
手間賃を払い宮司たち神社の人たちに観衆の整理をしてもらった。
安祥は楓たちの名前が広がり、巫女舞を行わない4日目にも100人近い楓、鈴、雛のファンが集まった。
そして安祥滞在5日目の楓神子の癒しを始めた日に松平元康からの使者が来た。




